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第15話 【ガン&オートシルド】
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【決闘!】と書かれた教室のプレート、またも田武攻周防子に連れられやって来たこの石のバトルステージの上。だが、月無五百里はため息をつくことはなかった。向かい合った両者。
「貴様のジンジュは把握した。【ガン&オートシルド】。……シルドじゃなくてシールドだ底辺。だがボロ雑巾にしては中々にバランスに優れた能力を思いついたものだな」
「なぜこのマジナイにした、言え」
破れた紙の一部を手に持った周防子は妖しげに口角をすこし上げ、問うた。
「……俺はケンカもろくにしたことのない素人、なら防御重視にしないと話にならない、と思った。それにあのときは……いやメプルさんを守るため……目の前の敵戦士を倒すには素人でもフルに活かせる能力に頼って、その上で戦い方で勝つしかなかった……かと」
顎と頬に手をやり考えおもいだし絞り出し答えた。訥々と喋り終わると斜め下を向いていた目線を正面の紅茶色に合わせてうかがった。
「ふむ…………それは仕方ないな。よく咄嗟に考えた、今更そこは責めないでおこう」
すこし見開いた紅茶の瞳は真似するかのように顎と鼻の下に手をやり。
「だがまずひとつ。貴様の能力はフツウ過ぎる、それは自覚しているな?」
手の甲を下にし左の人差し指をスナップさせ五百里を刺し見つめ貫いた。
「……いや、自覚していない」
ソレを受け、うなじの毛を7度ほどかきながら五百里はぼそりとこたえ。
「なんだと?」
周防子の訝しむ目と間が彼の次のこたえをうながす。
「俺は俺の能力の1割も引き出せちゃいない」
「フフ、何故だ? 言え」
「マジナイチカラってやつが神呪使いのエネルギータンクなんだよな?」
「あぁそうだ」
「ならわかる。俺のオートシルドは24時間常に発動していて止めることが出来ない、これのせいで俺のエネルギータンクは常に底をつきかけている、と感覚的にそんな気が……」
かいていた左手を地にはなし、傾げていた首を元にもどして五百里は周防子に自分の推論と感覚が合っているのかを確認をした。
鼻で笑い歪む左の口角、紅茶色の瞳は一瞬ワラい田武攻周防子は。
「……ふ、正解だ。そのシールドのせいでお前はマジナイチカラを回復するのが他より遅くなっている」
「やっぱり遅いのか……」
「あぁお前は常に万全な状態ではないという事だ。むしろ戦う度に弱くなっていくだろう。そしてお前のガン、何故使えないのかは分かるな」
「はい……なんとなく」
「なんとなくではダメだ。……おそらくお前はこう考えたのだろう。シールドのエネルギーをガンにスイッチし攻守の高速切り替えによる攻撃型の能力、敵の攻撃を強力なシールドで防ぎ肉弾戦にもこのシールドの格闘術で対応、離れた敵はシールドを解きエネルギーをスイッチし様々な技で撃ち抜きインファイトにもガンは拳と合わせて敵の虚を突き使える」
「それがお前の【ガン&オートシルド】の理想とする戦い方であり能力だ、器用貧乏ではなく器用富豪といったところか?」
顎に手をやり推論を吐き出しながらコツコツとヒールの音を立て歩き回った。最後には紅茶色の瞳で得意気に顔を覗かれ微笑んだ。
「!? ……そ、その通りです! え、丸っ切りまじ……」
五百里は目をおおきく見開き、口をぽかんとあけ、やがてありのままの感想を吐き出していた。
「フ、丸っ切りその通りか。それは力説した私も気持ちのいい事だが、使えない理由を言っていなかったな」
「スイッチ出来ないからですよね」
「ちゃんと内容を詰めろ」
クールな声でそう言われて、五百里は黒髪をぐしゃぐしゃとかき乱しながら目を細めて熟考に耽ていく。
「えっと、エネルギー回路が2つあって……んーと……なんだろ……」
「左と右だ。貴様は見えないシールドとガンの出力を同時にあいこで上げてあの吸血鬼との戦いで回路がショートして気絶していた、使い物にならない程の馬鹿の底辺の不器用という事だボロ雑巾! まぁこの前の戦いでは少しは頭を使えていたようだがな」
目の前に立つ黒スーツの人物は何故か両手でじゃんけんをしている。静寂のなか幾度もいくども、驚いたことにずっと右が勝ち続けやがて今度は左が勝ち続けているのであった。
「な、なるほど……!!」
不気味な間、こちらに向けられた不気味な微笑み。やがて五百里も真似をしてみたが、あいこばかり。目の前の人物のように頭の切り替えが上手くいかない。
「まぁ、こんなじゃんけんには意味はない。まずはシールドの制御からだ。技はそれが出来てからだ分かるな?」
五百里の不恰好を見守った教頭はブラウンショートカットの前髪を大きくかき上げて笑った。一区切りがついたかのように。
「はい、ビシバシ分かりましたァァァ!! すわちゃん先生ィィィ!!」
「貴様は躁鬱か、急に元気になるな」
たかがじゃんけん。だが子供をだますには十分。目の前のパフォーマンスと自身の差をそんな身近すぎる古の遊びで教えられた月無五百里は教頭先生に元気の良すぎる返事をした。
「貴様のジンジュは把握した。【ガン&オートシルド】。……シルドじゃなくてシールドだ底辺。だがボロ雑巾にしては中々にバランスに優れた能力を思いついたものだな」
「なぜこのマジナイにした、言え」
破れた紙の一部を手に持った周防子は妖しげに口角をすこし上げ、問うた。
「……俺はケンカもろくにしたことのない素人、なら防御重視にしないと話にならない、と思った。それにあのときは……いやメプルさんを守るため……目の前の敵戦士を倒すには素人でもフルに活かせる能力に頼って、その上で戦い方で勝つしかなかった……かと」
顎と頬に手をやり考えおもいだし絞り出し答えた。訥々と喋り終わると斜め下を向いていた目線を正面の紅茶色に合わせてうかがった。
「ふむ…………それは仕方ないな。よく咄嗟に考えた、今更そこは責めないでおこう」
すこし見開いた紅茶の瞳は真似するかのように顎と鼻の下に手をやり。
「だがまずひとつ。貴様の能力はフツウ過ぎる、それは自覚しているな?」
手の甲を下にし左の人差し指をスナップさせ五百里を刺し見つめ貫いた。
「……いや、自覚していない」
ソレを受け、うなじの毛を7度ほどかきながら五百里はぼそりとこたえ。
「なんだと?」
周防子の訝しむ目と間が彼の次のこたえをうながす。
「俺は俺の能力の1割も引き出せちゃいない」
「フフ、何故だ? 言え」
「マジナイチカラってやつが神呪使いのエネルギータンクなんだよな?」
「あぁそうだ」
「ならわかる。俺のオートシルドは24時間常に発動していて止めることが出来ない、これのせいで俺のエネルギータンクは常に底をつきかけている、と感覚的にそんな気が……」
かいていた左手を地にはなし、傾げていた首を元にもどして五百里は周防子に自分の推論と感覚が合っているのかを確認をした。
鼻で笑い歪む左の口角、紅茶色の瞳は一瞬ワラい田武攻周防子は。
「……ふ、正解だ。そのシールドのせいでお前はマジナイチカラを回復するのが他より遅くなっている」
「やっぱり遅いのか……」
「あぁお前は常に万全な状態ではないという事だ。むしろ戦う度に弱くなっていくだろう。そしてお前のガン、何故使えないのかは分かるな」
「はい……なんとなく」
「なんとなくではダメだ。……おそらくお前はこう考えたのだろう。シールドのエネルギーをガンにスイッチし攻守の高速切り替えによる攻撃型の能力、敵の攻撃を強力なシールドで防ぎ肉弾戦にもこのシールドの格闘術で対応、離れた敵はシールドを解きエネルギーをスイッチし様々な技で撃ち抜きインファイトにもガンは拳と合わせて敵の虚を突き使える」
「それがお前の【ガン&オートシルド】の理想とする戦い方であり能力だ、器用貧乏ではなく器用富豪といったところか?」
顎に手をやり推論を吐き出しながらコツコツとヒールの音を立て歩き回った。最後には紅茶色の瞳で得意気に顔を覗かれ微笑んだ。
「!? ……そ、その通りです! え、丸っ切りまじ……」
五百里は目をおおきく見開き、口をぽかんとあけ、やがてありのままの感想を吐き出していた。
「フ、丸っ切りその通りか。それは力説した私も気持ちのいい事だが、使えない理由を言っていなかったな」
「スイッチ出来ないからですよね」
「ちゃんと内容を詰めろ」
クールな声でそう言われて、五百里は黒髪をぐしゃぐしゃとかき乱しながら目を細めて熟考に耽ていく。
「えっと、エネルギー回路が2つあって……んーと……なんだろ……」
「左と右だ。貴様は見えないシールドとガンの出力を同時にあいこで上げてあの吸血鬼との戦いで回路がショートして気絶していた、使い物にならない程の馬鹿の底辺の不器用という事だボロ雑巾! まぁこの前の戦いでは少しは頭を使えていたようだがな」
目の前に立つ黒スーツの人物は何故か両手でじゃんけんをしている。静寂のなか幾度もいくども、驚いたことにずっと右が勝ち続けやがて今度は左が勝ち続けているのであった。
「な、なるほど……!!」
不気味な間、こちらに向けられた不気味な微笑み。やがて五百里も真似をしてみたが、あいこばかり。目の前の人物のように頭の切り替えが上手くいかない。
「まぁ、こんなじゃんけんには意味はない。まずはシールドの制御からだ。技はそれが出来てからだ分かるな?」
五百里の不恰好を見守った教頭はブラウンショートカットの前髪を大きくかき上げて笑った。一区切りがついたかのように。
「はい、ビシバシ分かりましたァァァ!! すわちゃん先生ィィィ!!」
「貴様は躁鬱か、急に元気になるな」
たかがじゃんけん。だが子供をだますには十分。目の前のパフォーマンスと自身の差をそんな身近すぎる古の遊びで教えられた月無五百里は教頭先生に元気の良すぎる返事をした。
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