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第三章 王子の秘密
相談
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エレナが部屋の掃除を終えて人心地ついたすぐ後、部屋の扉がノックされた。
戸を開けてみると、寮母のカミラが立っていた。学園の寮では大抵のことは寮生たちの自治に任されており、寮母が部屋を訪ねて来たのはこれがはじめてだ。
「緑色の家からお手紙が届いております。寮生ご本人ではなくお付きの方宛に。すぐに読むようにと言伝てされております」
寮母は用件だけを伝えると、手紙を渡してさっさと行ってしまった。緑色の家とは、学園男子寮の名前である。ちなみに女子寮は桃色の家だ。
「リディアじゃなく私に手紙って、男子寮の誰から……げっ」
差出人を確認して、エレナは潰れたカエルみたいな声をあげた。差出人は『エルネストの従者エリオ』。そして、封蝋にはヴァンダリア王家の印が押されている。
エルネスト王子の従者がエレナ宛に手紙など出す理由など一つしかない。リディアが王子に何かやらかしたのだ。
ペーパーナイフで封を切り、中の書面を読む。おいおいおい、これ王子より先に衛兵にでも捕まってたら今ごろ牢屋行きだったんじゃない?
ほどなくして帰宅したリディアが部屋の扉をきっちり閉めるのを待ってから、エレナはリディアを叱り飛ばした。
「おい! 何してくれてんだコラ!」
リディアは申し訳無さそうな表情で、顔の前で両手を合わせて拝むポーズをした。
「学校の外がすぐ王家の御用邸だとは思っていなかったんです! ローゼさんから、学園の外に出る抜け道を教えられまして、ハーレムルートに入るために必要な謎解きのヒントがあるかもしれないと思って、つい――」
「ついじゃないわアホンダラ!」
思わず声が大きくなりすぎてしまい、エレナは口を抑える。部屋の中での会話は廊下には意外と漏れているし、あまり大声だと隣の部屋にも聞こえかねない。主人が粗相をすれば侍女が叱り飛ばしても不思議はないが、さすがに主人に向かってアホンダラなどと言う侍女がいたら、取り替え児だと疑われてもおかしくない。
「とにかく、流石に王族の方に迷惑をかけてしまったからには、なにか謝罪の品を送らないわけにはいかないけど、エリオ様からのお手紙には、大事にしたくないとも書いてあるんですよね。さてどうするのが正解なんでしょう……」
リディアに対してはまだ怒り足りない気もするが、起きてしまったことへの事後対応をどうするかも大事だ。本来なら事の次第をエチェバルリア家に申告して、エチェバルリア家から直々にエルネスト王子とフアナ王女に謝罪に伺うのが正しいのだろうが、事を大きくしたくないと言われているのでそれはまずい。事件を内密にしつつ謝罪するならば、できることはせいぜい、エチェバルリア家から毎月いただいている自由に使えるお金の範囲内で手土産を買って、リディアとエレナでエルネスト王子に謝罪に行く程度だが、あまりにつまらない手土産だと馬鹿にしていると思われかねない。むしろ手ぶらで謝罪に行ったほうがマシという可能性もある。
「でしたら、ローゼさんと侍女の方にご相談するのはどうでしょう」
「お前は黙ってろ。……でも、一理ありますね」
リディアのせいで困っているというのに一丁前に提案してくるのにムカついて条件反射で叱りつけたが、考えてみればそれが一番良い。一人で考えるより誰かに相談した方がいいのだけれど、騒ぎを大きくしないためには、相談相手は選ばなければならない。その点ローゼはこの騒動の当事者だし、その侍女にもエリオから連絡が行っているだろう。寮にいる侍女たちはエレナと同年代が多い中でローゼの侍女は少し年嵩で経験豊富そうだし、一国の公女の侍女ともなれば礼儀作法にも詳しいだろう。礼を失しない謝罪方法の相談相手にぴったりだ。
「でしょう? では、早速ローゼさんのお部屋に参りましょう」
そう言ってそそくさと部屋の外へと向かうリディア。さてはこのまま二人で部屋にいるとまだまだ怒られそうだから他人のいる場所へ逃げたかったんだな、と思いながらも、エレナは後を追った。
*
ローゼの部屋はリディアの部屋から五部屋ほど隔てたところにある。知り合いの部屋の中では一番近い。その部屋のドアを、エレナはためらいがちにノックした。
「エチェバルリア公爵家のリディアとその侍女エレナです。お話があります」
少し間をおいて扉が開き、侍女が顔を出した。
「公女の乳母のルイーゼと申します。お話の内容はおおよそ見当がつきます。どうぞお入りください」
促されるままエレナたちが入室すると、ルイーゼは二人を奥の応接室に通すよりも先に、玄関口で深々と頭を下げた。
「この度は公女がとんでもないことにリディア様を巻き込んでしまいまして、お詫びのしようもございません」
エレナは慌てて首を横に振る。
「頭をお上げください。謝罪していただきに来たのではありませんし、手前どもにも責任はございます。うちの令嬢がいかに破天荒かはルイーゼ様もご存知かと思います。ローゼ殿下もそういう人物と連れ立っていなければ、このような悪戯をなさったりはしなかったでしょうし」
「いえいえ、公女の言うところによれば、学園外へ出る扉の鍵を持っていたのも、鍵を開けて外へ出ようと誘ったのも公女の方だそうで、リディア様は本当に巻き込まれただけですので」
ルイーゼは何度も繰り返し頭を下げた後、ようやく「どうぞ奥へ」と二人を部屋へ案内した。導かれるままに、エレナたちは応接室へ入る。
(……え?)
部屋に入って最初に目に飛び込んできたものを、エレナは二度見した。部屋の正面に大きな二枚の肖像画が掛けられていて、それがローゼ自身とエルネスト王子に見えたからだ。自分と婚約者の姿を並べて応接室に飾るなんて、どれだけラブラブなんだろう。
「驚かれましたか。これ。わたくしではなくて母なんです」
エレナたちのすぐ後に入ってきたローゼが、そう解説する。言われてみれば肖像画の女性はローゼよりほんのちょっと大人びて見える。男性の方も、ヴァンダリア王家ではなくローゼンブルク公国の紋章をあしらった服を着ていて、王子だとすると違和感がある。
「まあ、お座りくださいな」
勧められてエレナたちがソファに座ると、ローゼはテーブルを挟んで向かい側のソファに座った。ルイーゼはお茶の支度をしに行ったようだ。
ルイーゼを待つ間の手持ち無沙汰を埋めるように。ローゼは肖像画の話を続ける。
「母の隣の絵は父です。結婚してまもなく、夫婦それぞれ別の宮廷絵師に描かせたんだそうです。絵の完成後まもなく母はわたくしを身籠り、わたくしを産んですぐに亡くなりました」
さらっと重い話をするローゼに、エレナもリディアもどう言葉を返してよいかわからない。二人が黙っていると、ローゼは話を続ける。
「エルネスト殿下の母上は亡くなってこそいませんが、滅多にお会いすることができないそうで。殿下の場合、お父上がいらっしゃいませんから、なおさらお寂しいでしょうね」
エルネスト王子の複雑な家庭の事情は、エレナも少しは知っていが、なぜ父親がいないのかとか、母のフアナはなぜ一切公の場に姿を現さず、一人息子にすら稀にしか会えないのかと言ったことについては知らない。ヴァンダリア社交界に関わる人間ならうすうす知っていることのようだが、取り替え児であるエレナはそのあたりの知識が抜け落ちているのだ。
「ローゼ様は、その……エルネスト殿下のお母上様のことについて、どのくらいまでご存知ですか?」
エレナが問うと、ローゼは目論見どおり色々なことを話してくれた。フアナ王女が言葉を話せないこと、それを理由にヒラソル宮から一歩も出ず外界から隔離されて育てられていたにも関わらず、熾天使の祝福を得て王子を身籠ったこと。
そんな話をしているときに、ルイーゼが紅茶とお茶菓子を運んできた。話の内容を聞いて「ローゼ様、その話は」とたしなめるが、ローゼは話をやめるどころか、ルイーゼに挑戦的な視線を投げる。
「ルイーゼは何かを隠しているのです。ルイーゼが歌ってくれた子守唄通りの場所にあった扉の向こうに、母にそっくりなフアナ殿下がいらっしゃったこと。エルネスト殿下が父にそっくりなこと。きっとルイーゼにはなにか心当たりがあるのでしょうに、なにも教えてくれないんです。ひどいでしょう?」
ルイーゼはなにも答えず、ただ黙々と給仕を続ける。ローゼはそんな彼女に、問いかけるような視線を送り続ける。それを無視し続けるのがつらいのか、ルイーゼは苦しそうな表情をしている。
「あ、あの。本日ご訪問しましたのは、エルネスト殿下への謝罪方法についてルイーゼさんにご相談いたしたく……」
いたたまれなくなって、エレナは話題を変えた。もともとそちらが本題だったのだし。
「大事にしたくないと書かれてありますので、学園で王子殿下のご教室を訪ねて謝罪なされば十分かと。わたくし供と連れ立って行くと目立ちますので、別々に参りましょう」
「手土産などは……」
「必要ないと思います」
話題がそれたのが嬉しかったのか、ルイーゼは親身になって相談に乗ってくれた。
戸を開けてみると、寮母のカミラが立っていた。学園の寮では大抵のことは寮生たちの自治に任されており、寮母が部屋を訪ねて来たのはこれがはじめてだ。
「緑色の家からお手紙が届いております。寮生ご本人ではなくお付きの方宛に。すぐに読むようにと言伝てされております」
寮母は用件だけを伝えると、手紙を渡してさっさと行ってしまった。緑色の家とは、学園男子寮の名前である。ちなみに女子寮は桃色の家だ。
「リディアじゃなく私に手紙って、男子寮の誰から……げっ」
差出人を確認して、エレナは潰れたカエルみたいな声をあげた。差出人は『エルネストの従者エリオ』。そして、封蝋にはヴァンダリア王家の印が押されている。
エルネスト王子の従者がエレナ宛に手紙など出す理由など一つしかない。リディアが王子に何かやらかしたのだ。
ペーパーナイフで封を切り、中の書面を読む。おいおいおい、これ王子より先に衛兵にでも捕まってたら今ごろ牢屋行きだったんじゃない?
ほどなくして帰宅したリディアが部屋の扉をきっちり閉めるのを待ってから、エレナはリディアを叱り飛ばした。
「おい! 何してくれてんだコラ!」
リディアは申し訳無さそうな表情で、顔の前で両手を合わせて拝むポーズをした。
「学校の外がすぐ王家の御用邸だとは思っていなかったんです! ローゼさんから、学園の外に出る抜け道を教えられまして、ハーレムルートに入るために必要な謎解きのヒントがあるかもしれないと思って、つい――」
「ついじゃないわアホンダラ!」
思わず声が大きくなりすぎてしまい、エレナは口を抑える。部屋の中での会話は廊下には意外と漏れているし、あまり大声だと隣の部屋にも聞こえかねない。主人が粗相をすれば侍女が叱り飛ばしても不思議はないが、さすがに主人に向かってアホンダラなどと言う侍女がいたら、取り替え児だと疑われてもおかしくない。
「とにかく、流石に王族の方に迷惑をかけてしまったからには、なにか謝罪の品を送らないわけにはいかないけど、エリオ様からのお手紙には、大事にしたくないとも書いてあるんですよね。さてどうするのが正解なんでしょう……」
リディアに対してはまだ怒り足りない気もするが、起きてしまったことへの事後対応をどうするかも大事だ。本来なら事の次第をエチェバルリア家に申告して、エチェバルリア家から直々にエルネスト王子とフアナ王女に謝罪に伺うのが正しいのだろうが、事を大きくしたくないと言われているのでそれはまずい。事件を内密にしつつ謝罪するならば、できることはせいぜい、エチェバルリア家から毎月いただいている自由に使えるお金の範囲内で手土産を買って、リディアとエレナでエルネスト王子に謝罪に行く程度だが、あまりにつまらない手土産だと馬鹿にしていると思われかねない。むしろ手ぶらで謝罪に行ったほうがマシという可能性もある。
「でしたら、ローゼさんと侍女の方にご相談するのはどうでしょう」
「お前は黙ってろ。……でも、一理ありますね」
リディアのせいで困っているというのに一丁前に提案してくるのにムカついて条件反射で叱りつけたが、考えてみればそれが一番良い。一人で考えるより誰かに相談した方がいいのだけれど、騒ぎを大きくしないためには、相談相手は選ばなければならない。その点ローゼはこの騒動の当事者だし、その侍女にもエリオから連絡が行っているだろう。寮にいる侍女たちはエレナと同年代が多い中でローゼの侍女は少し年嵩で経験豊富そうだし、一国の公女の侍女ともなれば礼儀作法にも詳しいだろう。礼を失しない謝罪方法の相談相手にぴったりだ。
「でしょう? では、早速ローゼさんのお部屋に参りましょう」
そう言ってそそくさと部屋の外へと向かうリディア。さてはこのまま二人で部屋にいるとまだまだ怒られそうだから他人のいる場所へ逃げたかったんだな、と思いながらも、エレナは後を追った。
*
ローゼの部屋はリディアの部屋から五部屋ほど隔てたところにある。知り合いの部屋の中では一番近い。その部屋のドアを、エレナはためらいがちにノックした。
「エチェバルリア公爵家のリディアとその侍女エレナです。お話があります」
少し間をおいて扉が開き、侍女が顔を出した。
「公女の乳母のルイーゼと申します。お話の内容はおおよそ見当がつきます。どうぞお入りください」
促されるままエレナたちが入室すると、ルイーゼは二人を奥の応接室に通すよりも先に、玄関口で深々と頭を下げた。
「この度は公女がとんでもないことにリディア様を巻き込んでしまいまして、お詫びのしようもございません」
エレナは慌てて首を横に振る。
「頭をお上げください。謝罪していただきに来たのではありませんし、手前どもにも責任はございます。うちの令嬢がいかに破天荒かはルイーゼ様もご存知かと思います。ローゼ殿下もそういう人物と連れ立っていなければ、このような悪戯をなさったりはしなかったでしょうし」
「いえいえ、公女の言うところによれば、学園外へ出る扉の鍵を持っていたのも、鍵を開けて外へ出ようと誘ったのも公女の方だそうで、リディア様は本当に巻き込まれただけですので」
ルイーゼは何度も繰り返し頭を下げた後、ようやく「どうぞ奥へ」と二人を部屋へ案内した。導かれるままに、エレナたちは応接室へ入る。
(……え?)
部屋に入って最初に目に飛び込んできたものを、エレナは二度見した。部屋の正面に大きな二枚の肖像画が掛けられていて、それがローゼ自身とエルネスト王子に見えたからだ。自分と婚約者の姿を並べて応接室に飾るなんて、どれだけラブラブなんだろう。
「驚かれましたか。これ。わたくしではなくて母なんです」
エレナたちのすぐ後に入ってきたローゼが、そう解説する。言われてみれば肖像画の女性はローゼよりほんのちょっと大人びて見える。男性の方も、ヴァンダリア王家ではなくローゼンブルク公国の紋章をあしらった服を着ていて、王子だとすると違和感がある。
「まあ、お座りくださいな」
勧められてエレナたちがソファに座ると、ローゼはテーブルを挟んで向かい側のソファに座った。ルイーゼはお茶の支度をしに行ったようだ。
ルイーゼを待つ間の手持ち無沙汰を埋めるように。ローゼは肖像画の話を続ける。
「母の隣の絵は父です。結婚してまもなく、夫婦それぞれ別の宮廷絵師に描かせたんだそうです。絵の完成後まもなく母はわたくしを身籠り、わたくしを産んですぐに亡くなりました」
さらっと重い話をするローゼに、エレナもリディアもどう言葉を返してよいかわからない。二人が黙っていると、ローゼは話を続ける。
「エルネスト殿下の母上は亡くなってこそいませんが、滅多にお会いすることができないそうで。殿下の場合、お父上がいらっしゃいませんから、なおさらお寂しいでしょうね」
エルネスト王子の複雑な家庭の事情は、エレナも少しは知っていが、なぜ父親がいないのかとか、母のフアナはなぜ一切公の場に姿を現さず、一人息子にすら稀にしか会えないのかと言ったことについては知らない。ヴァンダリア社交界に関わる人間ならうすうす知っていることのようだが、取り替え児であるエレナはそのあたりの知識が抜け落ちているのだ。
「ローゼ様は、その……エルネスト殿下のお母上様のことについて、どのくらいまでご存知ですか?」
エレナが問うと、ローゼは目論見どおり色々なことを話してくれた。フアナ王女が言葉を話せないこと、それを理由にヒラソル宮から一歩も出ず外界から隔離されて育てられていたにも関わらず、熾天使の祝福を得て王子を身籠ったこと。
そんな話をしているときに、ルイーゼが紅茶とお茶菓子を運んできた。話の内容を聞いて「ローゼ様、その話は」とたしなめるが、ローゼは話をやめるどころか、ルイーゼに挑戦的な視線を投げる。
「ルイーゼは何かを隠しているのです。ルイーゼが歌ってくれた子守唄通りの場所にあった扉の向こうに、母にそっくりなフアナ殿下がいらっしゃったこと。エルネスト殿下が父にそっくりなこと。きっとルイーゼにはなにか心当たりがあるのでしょうに、なにも教えてくれないんです。ひどいでしょう?」
ルイーゼはなにも答えず、ただ黙々と給仕を続ける。ローゼはそんな彼女に、問いかけるような視線を送り続ける。それを無視し続けるのがつらいのか、ルイーゼは苦しそうな表情をしている。
「あ、あの。本日ご訪問しましたのは、エルネスト殿下への謝罪方法についてルイーゼさんにご相談いたしたく……」
いたたまれなくなって、エレナは話題を変えた。もともとそちらが本題だったのだし。
「大事にしたくないと書かれてありますので、学園で王子殿下のご教室を訪ねて謝罪なされば十分かと。わたくし供と連れ立って行くと目立ちますので、別々に参りましょう」
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