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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-白: 白閃炸裂
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*◇*◇*◇*◇
同時刻。サナとくいなは、床が青く染まった回廊を歩き続けていた。
……サナに関してはくいなのサイドツーに乗せてもらっているため、歩いているとは言い難いのだが。
「気味が悪いわね、こんな場所……ずっと先も暗いまんまだし、横も後ろも暗い……一回倒れたら、どっちが進む方向か分からなくなりそう」
『…………でも、アイ……サイドツーの、おかげで…………意外と、見える』
「ぶっちゃけどうなってるわけ、この辺?」
『横の、壁に…………デカいロボットがいる』
「はあっ?!」
くいなの発言を受け、サナは一瞬にしてその体内の魔力を開放する。
「ちょちょちょっと、もうちょっと早くそういいうこと言ってよ!……え、でも何で襲ってこないの……?」
『アイが…………分かる、ワケ……ないでしょ』
「……それもそっか、でも警戒は怠らないで、いつ動き出すかも分からないから」
そうして、一度は歩みを止めたくいなのサイドツーが、もう一度足を進めた時。
『っ!』
「ひうっ?! なになになに、今のなにぃ?!」
彼女らのすぐ後ろより発せられた音———着地音?
『サナさん、戦い!…………動いてる、ヤツら!』
一面の暗がり———横にまで広がっていたそれらに生え始めた、赤い点が爛々と煌めく。
「嘘でしょ、まさかコレ全部…………敵ぃーーーーっ?!」
彼女らに、その腕の銃を向ける人型機動兵器、その数———18。
最初は横だけだったものの、いつの間にかそれらは移動しており———いつの間にか、彼女ら2人を取り囲んでいた。
『…………コレ、まさか……!』
「ええ、オリュンポス周辺で発見された機動兵器……ケイと戦った、アイツら……!」
言葉を発しながらも、サナは頭の中でイメージを固める。
「グレイシア・フリーズクリスタルッ!」
サナはそう言い放つと、自分の右手に持った木製の杖を、地面に思いっきり突き立てる。……瞬間、敵機の直下より浮かび上がるは、氷の結晶体。
「くいな、今よ!」
『分かって……るっ!』
一部の機体は逃げ出したものの、巻き込まれた機体にくいなは照準を合わせ、その引き金を引く———途端、暗がりに光が灯り、1機目が爆散した。
「後18機……コレ、魔力足りるかしら……?」
『サナさん、上に逃げたヤツらは……!』
「大丈夫、今からや———っ?!」
サナが上を見上げた瞬間、彼女は横から接近する巨大な影を一見してしまう。
「ま———っっ……!!」
悲鳴を上げる間もなく、接触してしまう。……一瞬、ほんの一瞬、死を覚悟して———それでもまだ、抗おうと心に決めた瞬間だった。
『———背水の、陣ッ!!!!』
一閃———それを両断するように、光が影を貫いた。
「はぇ……っ」
「…………危ねぇ、よかった、助けられて」
光の下に、立っていたのは……金色の刀を携えた、白髪の少年だった。
勇者をやっていた頃の、古ぼけた服と、イデアの昔の服をマフラー代わりに纏った、とても救世主とは思えないほどに薄汚れた姿。
……しかし、その刃は、その髪は、その顔は、その声は———。
「し…………白ぉっ!」
誰もが待ち焦がれていた、救世主の姿だった。
同時刻。サナとくいなは、床が青く染まった回廊を歩き続けていた。
……サナに関してはくいなのサイドツーに乗せてもらっているため、歩いているとは言い難いのだが。
「気味が悪いわね、こんな場所……ずっと先も暗いまんまだし、横も後ろも暗い……一回倒れたら、どっちが進む方向か分からなくなりそう」
『…………でも、アイ……サイドツーの、おかげで…………意外と、見える』
「ぶっちゃけどうなってるわけ、この辺?」
『横の、壁に…………デカいロボットがいる』
「はあっ?!」
くいなの発言を受け、サナは一瞬にしてその体内の魔力を開放する。
「ちょちょちょっと、もうちょっと早くそういいうこと言ってよ!……え、でも何で襲ってこないの……?」
『アイが…………分かる、ワケ……ないでしょ』
「……それもそっか、でも警戒は怠らないで、いつ動き出すかも分からないから」
そうして、一度は歩みを止めたくいなのサイドツーが、もう一度足を進めた時。
『っ!』
「ひうっ?! なになになに、今のなにぃ?!」
彼女らのすぐ後ろより発せられた音———着地音?
『サナさん、戦い!…………動いてる、ヤツら!』
一面の暗がり———横にまで広がっていたそれらに生え始めた、赤い点が爛々と煌めく。
「嘘でしょ、まさかコレ全部…………敵ぃーーーーっ?!」
彼女らに、その腕の銃を向ける人型機動兵器、その数———18。
最初は横だけだったものの、いつの間にかそれらは移動しており———いつの間にか、彼女ら2人を取り囲んでいた。
『…………コレ、まさか……!』
「ええ、オリュンポス周辺で発見された機動兵器……ケイと戦った、アイツら……!」
言葉を発しながらも、サナは頭の中でイメージを固める。
「グレイシア・フリーズクリスタルッ!」
サナはそう言い放つと、自分の右手に持った木製の杖を、地面に思いっきり突き立てる。……瞬間、敵機の直下より浮かび上がるは、氷の結晶体。
「くいな、今よ!」
『分かって……るっ!』
一部の機体は逃げ出したものの、巻き込まれた機体にくいなは照準を合わせ、その引き金を引く———途端、暗がりに光が灯り、1機目が爆散した。
「後18機……コレ、魔力足りるかしら……?」
『サナさん、上に逃げたヤツらは……!』
「大丈夫、今からや———っ?!」
サナが上を見上げた瞬間、彼女は横から接近する巨大な影を一見してしまう。
「ま———っっ……!!」
悲鳴を上げる間もなく、接触してしまう。……一瞬、ほんの一瞬、死を覚悟して———それでもまだ、抗おうと心に決めた瞬間だった。
『———背水の、陣ッ!!!!』
一閃———それを両断するように、光が影を貫いた。
「はぇ……っ」
「…………危ねぇ、よかった、助けられて」
光の下に、立っていたのは……金色の刀を携えた、白髪の少年だった。
勇者をやっていた頃の、古ぼけた服と、イデアの昔の服をマフラー代わりに纏った、とても救世主とは思えないほどに薄汚れた姿。
……しかし、その刃は、その髪は、その顔は、その声は———。
「し…………白ぉっ!」
誰もが待ち焦がれていた、救世主の姿だった。
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