Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-レイラ: 存在、覚醒

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◆◇◆◇◆◇◆◇

「それじゃあ、おやすみ……そして、さような…………らっ!」


 ———が。振り下ろされた大鎌は、あっしのパイルバンカーによって防がれていた。


 ……普通、あり得るはずもない。そんな重量武器を、あんな一瞬で持ち上げられるなどと。


「何……で、何で、何で何で何で何でっ、何で起きてるのよっ!

 早い……早いのよ、起きるのがぁっ!」

「———あっしたちの邪魔を———しないでもらいたいっすね……!」

 大鎌を受け止めたパイルバンカーは……その存在そのものが光に包まれ、概念ごと改竄される。

 ……そう。これこそ、これこそが。

「何、何が起きてるのよ、ねえっ!」

「覚悟、決めたんすよ。

 もう絶対に、過去は振り返らない。……だってそれらは、既にあっしが———だからっ!」

 そう———この覚悟に応じ、ずっと使ってきた武器は、新たなる変化を遂げる。その概念そのものを、あっしが望む姿に。


「だから……だから、何なのよ! 過去を乗り越えた……それだけで、こんなことは……なくって……!」

 光の中より出でる、新生せしその杭は———刃へと置き換わっていた。

 そう、祝福儀礼の爆剣———十字を思わせるソレの大きさを、さらに倍増させた十字大剣。




「レ……レイラちゃん?! 一瞬で起きたけど……大丈夫だったのぉ?!」

「大丈夫っすカーオ、心配は……いらないっすよ。

 あっしはもう、迷わないし……あっしはあっしの、道を進むだけっす。

 それにあっしは、あっしだけの居場所を護りたい———もはや、隊長すらいなくなった第3でも、それはあっしにとって、唯一の居場所だったから」

「レイラ……ちゃん、その剣、まさか、タルムの……!」






「…………さあ、行くよ———ラース。

 あっしは……もう、本気っすからっ!!!!」




「———ぁあ……っふふ、ははははははっ!」

 ふらついた足を前進させながらも、ラースは高笑いを続ける。


「そう言うの———大っ嫌いっ!!!!!!」

「はあああああああっ!!!!」

 そうと決まれば、あとはコイツを倒すだけだ。
 ああそう、理由なんて知らない。なんでここにいるのか、エターナルとは関係があるのか———なんて知らない。


 そう、イチゴ隊長は、殿ずっと、エターナルの阻止に固執していたけれど、あっしはそんなの関係なかった。

 エターナルの阻止、オリュンポスの実態の解明———それよりも先に、あっしが第3に向ける感情と言えば、それはきっと『その場所を護りたい』という、一途なものだけだろうから。


 だから、もう邪魔はさせない。
 あっしは、あっしを———個人として、唯一のあっしを認めてくれた第3に、恩返しがしたいんだ———!
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