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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
雷霆対神装
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———時を同じくして、アテナとゼウスの方では。
彼らも壮絶な争いを繰り広げていた……わけではなく、未だに互いに見合ったままであった。
が、その時間はアテナの一撃によって終わりを告げる。
背より金属の羽根を生やした幼女、機神アテナ。彼女の周りにて渦巻く金属の粒子は、彼女の意思のままにその形を形成する。
『月天使徒殲滅制圧用、最終兵器機構———完全解放。
標的:おとうさま』
彼女の腕、肩、脚部に、砲身の形を成した兵器が具現化してゆく。魔力と神力を溜め込みながら、今にも発射せんとそれらは光り続けていた。
『———来るか』
対するゼウスは……その重い腰をようやく上げる。そしてその『白』のものである瞳を見開き、発してみせた。
『天空事象境界線定義、権能:全能天空最高権限機神、ゼウス~アレン・セイバー。
権能該当武装———断罪斬魔天空雷霆、創生。
撃退殲滅目標:月天使徒殲滅制圧用最終兵器機神・アテナ』
『とめて……みせる……っ!』
先に動き出したのはアテナだった。一瞬にして繰り出された最高速度で、ゼウスに対し単身で突撃する。
しかし———ゼウスの手に握られていたのは、雷霆。
自身そのものを『敵』とみなした者を引き裂く、最高位レベルの概念武装だった。
『……はっ!』
が、アテナはゼウスに接触する寸前の一瞬にして、今自分が置かれているあまりにも危険な状況を察知する。
『ヘファイストス擬似神核接続、顕現:神防アイギスッ!』
一瞬にして状況は好転。振り下ろされるゼウスの雷霆を、アテナは間一髪のところで顕現させた盾にて防いでみせた。
そして、アテナはその身に纏った砲台をフルに起動させ、全砲塔を以てゼウスに対し攻撃を仕掛ける。
『な———』
『わたしの、勝ちっ!』
発せられた閃光が、ゼウスの身体を包み込んだ。
アテナは完全に勝ったと思い込み、そこから後退してしまう。そこがゼウスの狙いどきだった。
『立ち去るがよい、ここからは!』
爆煙の中より出でる雷霆———ソレはアテナの臓腑を貫かんと一直線に掲げられる。
『始祖民族機神12番、パラス・パラディオン!
真なる神槍を以て———敵を打ち砕くっ!』
アテナが口にしたように、その右腕に顕現した光り輝く大槍はその力のままに投擲され、機神ゼウスに向かい一直線に発射される。
そして、一瞬の刹那、その閃光の狭間にて。
弾丸のように———否、弾丸なぞ亀に見えるほどの光速を以て射出された両者の擬似概念武装は衝突し、互いにその進行を停止させる。
『スペアボディ分解再構成……概念武装ヨルムンガンド再現、拡散波動ゼロ・サード承認……!』
そして互いの攻撃が終わった瞬間———先に動き始めたのはアテナの方だった。
彼女の周りに再び集まり始めた金属粒子は、瞬く間にその形をいくつもの小砲台へ変化させ、計6つ構成されたソレらは、アテナの四肢と腰部に接続される。
『権能:全能天空最高権限機神、ゼウス~アレン・セイバー。
擬似概念接続、接続縁:アレン・セイバー。
顕現せよ———神威』
対するゼウスは、紅き焔を身に纏い、その右腕より一閃の刀を取り出す。
その名は擬似再現概念武装、神威。
その身に纏いし擬似真体———『白』より結んだ縁より抽出された、神たる刃であった。
『決める……っ!』
アテナが身に纏った6門のヨルムンガンド、その全てより神力砲が、ゼウスの身体に向かって一直線に放たれる。同時に上がる爆煙。
その爆煙の中より飛び上がったゼウスは、その身体の持つ圧倒的すぎる身体能力を以て一瞬のうちにアテナまで近づき———、
『偽神刀、一閃』
『アイギスッ!』
振り下ろされた神なる刃、ソレは同じく神のものたる盾によって完全に防がれた。
一寸の貫通すら許さぬ本物の神防は、例え担い手が幼女の姿をしていようと、その真価を発揮する。
『……もう、やめようよ』
———時を同じくして、アテナとゼウスの方では。
彼らも壮絶な争いを繰り広げていた……わけではなく、未だに互いに見合ったままであった。
が、その時間はアテナの一撃によって終わりを告げる。
背より金属の羽根を生やした幼女、機神アテナ。彼女の周りにて渦巻く金属の粒子は、彼女の意思のままにその形を形成する。
『月天使徒殲滅制圧用、最終兵器機構———完全解放。
標的:おとうさま』
彼女の腕、肩、脚部に、砲身の形を成した兵器が具現化してゆく。魔力と神力を溜め込みながら、今にも発射せんとそれらは光り続けていた。
『———来るか』
対するゼウスは……その重い腰をようやく上げる。そしてその『白』のものである瞳を見開き、発してみせた。
『天空事象境界線定義、権能:全能天空最高権限機神、ゼウス~アレン・セイバー。
権能該当武装———断罪斬魔天空雷霆、創生。
撃退殲滅目標:月天使徒殲滅制圧用最終兵器機神・アテナ』
『とめて……みせる……っ!』
先に動き出したのはアテナだった。一瞬にして繰り出された最高速度で、ゼウスに対し単身で突撃する。
しかし———ゼウスの手に握られていたのは、雷霆。
自身そのものを『敵』とみなした者を引き裂く、最高位レベルの概念武装だった。
『……はっ!』
が、アテナはゼウスに接触する寸前の一瞬にして、今自分が置かれているあまりにも危険な状況を察知する。
『ヘファイストス擬似神核接続、顕現:神防アイギスッ!』
一瞬にして状況は好転。振り下ろされるゼウスの雷霆を、アテナは間一髪のところで顕現させた盾にて防いでみせた。
そして、アテナはその身に纏った砲台をフルに起動させ、全砲塔を以てゼウスに対し攻撃を仕掛ける。
『な———』
『わたしの、勝ちっ!』
発せられた閃光が、ゼウスの身体を包み込んだ。
アテナは完全に勝ったと思い込み、そこから後退してしまう。そこがゼウスの狙いどきだった。
『立ち去るがよい、ここからは!』
爆煙の中より出でる雷霆———ソレはアテナの臓腑を貫かんと一直線に掲げられる。
『始祖民族機神12番、パラス・パラディオン!
真なる神槍を以て———敵を打ち砕くっ!』
アテナが口にしたように、その右腕に顕現した光り輝く大槍はその力のままに投擲され、機神ゼウスに向かい一直線に発射される。
そして、一瞬の刹那、その閃光の狭間にて。
弾丸のように———否、弾丸なぞ亀に見えるほどの光速を以て射出された両者の擬似概念武装は衝突し、互いにその進行を停止させる。
『スペアボディ分解再構成……概念武装ヨルムンガンド再現、拡散波動ゼロ・サード承認……!』
そして互いの攻撃が終わった瞬間———先に動き始めたのはアテナの方だった。
彼女の周りに再び集まり始めた金属粒子は、瞬く間にその形をいくつもの小砲台へ変化させ、計6つ構成されたソレらは、アテナの四肢と腰部に接続される。
『権能:全能天空最高権限機神、ゼウス~アレン・セイバー。
擬似概念接続、接続縁:アレン・セイバー。
顕現せよ———神威』
対するゼウスは、紅き焔を身に纏い、その右腕より一閃の刀を取り出す。
その名は擬似再現概念武装、神威。
その身に纏いし擬似真体———『白』より結んだ縁より抽出された、神たる刃であった。
『決める……っ!』
アテナが身に纏った6門のヨルムンガンド、その全てより神力砲が、ゼウスの身体に向かって一直線に放たれる。同時に上がる爆煙。
その爆煙の中より飛び上がったゼウスは、その身体の持つ圧倒的すぎる身体能力を以て一瞬のうちにアテナまで近づき———、
『偽神刀、一閃』
『アイギスッ!』
振り下ろされた神なる刃、ソレは同じく神のものたる盾によって完全に防がれた。
一寸の貫通すら許さぬ本物の神防は、例え担い手が幼女の姿をしていようと、その真価を発揮する。
『……もう、やめようよ』
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