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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
寿命
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……その頃、オリュンポスに残ったサナは。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……行っちゃった……か。
別に、ここで抱こうと何しようと、私は構わなかったのに……」
サナは1人。飛びゆくサイドツーを見送りながら、寂しそうに呟く。
それは、アテナの攻撃の数分前の事であった。
「ここで抱こう……と…………ね……
ソレ、アンタが……大丈夫、なの……?」
「レ…………レイ?!?! ちょっとちょっと、貴女一体どうしたのよ?!」
サナのすぐ横に現れたレイ———その姿は、首から下が黒い鱗でびっしりと埋め尽くされた、あまりにも酷い姿だった。
「どうした……も、こうした、も、ちょっと…………全力、出した…………だけよ。アンタに心配……される話じゃ……ないし。
それに……何なの、さっきの発言。抱くとか、何とか———アンタだって、白が好き……なんでしょ?」
「———っ、そりゃあ……私は、白のことが好き。今ならいくらでも言葉にできるけど……いつまでも、いつまでも……好きだと思う。
……でもね、それはそれとして……あの子たちが結ばれるって言うのなら、私はソレを応援したいだけなの」
「……そ、れ……本……当?……他、に思うとこ……あるんじゃ、ないの……?」
「他に?………………ああ、いや……多分貴女が思ってることとは違うけど、それでも……思うところは、もちろんある。
レイは———知ってる?……どうして、機神が今この段階で『エターナル』を起こしたか」
「そりゃ……人類……を、永遠に……とか、言う……傍迷惑な……話、じゃ……?」
「———私が言っているのは、もっと他にタイミングがあったんじゃないかって話。……いくら魔王が死んだとしても、色んな面でもここまで急ぐ必要はなかった。
……刹那が———黒幕が言ってたわ。レイを向かわせたりしたのも、白がその神技を覚醒させるためのステップだったって。
白は無事———計画的に言えば全く無事じゃないんだけども、色々あってここで覚醒してしまった。……でも、わざわざ貴女を送りつけるぐらいのステップを踏むのならば、ここで覚醒させる必要なんてなかったはず。
もっと時間をかけて、ゆっくり丁寧にやれば……人界軍にも勘付かれる可能性はなかった。……その場合、私たちにとっても手詰まりだったのよ」
「じゃあ、ヤツらには……事を急かしてでも……成し遂げねば、ならない、理由が……あったと。……でも、それのどこが…………関係、あるっての……?」
「導き出した結論は、こう。
機神は———寿命がもうすぐだった。……全く分からないけれども、残った情報の中で一番有力なのが、コレ。
ヤツらまで一緒に『永遠』の存在になるつもりなのかは分からない、けど……機神は確実に、時間を———年を追うごとに、その神力反応量が低下していた。
黒から教えてもらった話なんだけどさ。ヘファイストス神殿国……そこには、機神ゼウスの動向を監視し続けている組織が存在していた。
その組織の取っていた統計データ……ソレを見るに、機神ゼウス———他、全機の機神が……年を追うごとに、神力反応量が年々低下していっていたのよ。
だから、寿命。……もうきっと、長くはないだろうからさ……
あの子だって」
「それ……って、まさ……か……」
「本当かどうかは分からない———分からないわよ?!……でも、もしそうだとしたらさ……ね……
あの子の———アテナちゃんの笑顔は、紛れもなく……太陽みたいな笑顔だった。
思いっきり笑ってる姿を……見たかったなって、私が思わされるくらいに」
「確かに、それ……は…………あまりにも……」
そこで、彼女たちの会話は終わった。
あまりにも、微妙に……後味の悪い事実を残して。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……行っちゃった……か。
別に、ここで抱こうと何しようと、私は構わなかったのに……」
サナは1人。飛びゆくサイドツーを見送りながら、寂しそうに呟く。
それは、アテナの攻撃の数分前の事であった。
「ここで抱こう……と…………ね……
ソレ、アンタが……大丈夫、なの……?」
「レ…………レイ?!?! ちょっとちょっと、貴女一体どうしたのよ?!」
サナのすぐ横に現れたレイ———その姿は、首から下が黒い鱗でびっしりと埋め尽くされた、あまりにも酷い姿だった。
「どうした……も、こうした、も、ちょっと…………全力、出した…………だけよ。アンタに心配……される話じゃ……ないし。
それに……何なの、さっきの発言。抱くとか、何とか———アンタだって、白が好き……なんでしょ?」
「———っ、そりゃあ……私は、白のことが好き。今ならいくらでも言葉にできるけど……いつまでも、いつまでも……好きだと思う。
……でもね、それはそれとして……あの子たちが結ばれるって言うのなら、私はソレを応援したいだけなの」
「……そ、れ……本……当?……他、に思うとこ……あるんじゃ、ないの……?」
「他に?………………ああ、いや……多分貴女が思ってることとは違うけど、それでも……思うところは、もちろんある。
レイは———知ってる?……どうして、機神が今この段階で『エターナル』を起こしたか」
「そりゃ……人類……を、永遠に……とか、言う……傍迷惑な……話、じゃ……?」
「———私が言っているのは、もっと他にタイミングがあったんじゃないかって話。……いくら魔王が死んだとしても、色んな面でもここまで急ぐ必要はなかった。
……刹那が———黒幕が言ってたわ。レイを向かわせたりしたのも、白がその神技を覚醒させるためのステップだったって。
白は無事———計画的に言えば全く無事じゃないんだけども、色々あってここで覚醒してしまった。……でも、わざわざ貴女を送りつけるぐらいのステップを踏むのならば、ここで覚醒させる必要なんてなかったはず。
もっと時間をかけて、ゆっくり丁寧にやれば……人界軍にも勘付かれる可能性はなかった。……その場合、私たちにとっても手詰まりだったのよ」
「じゃあ、ヤツらには……事を急かしてでも……成し遂げねば、ならない、理由が……あったと。……でも、それのどこが…………関係、あるっての……?」
「導き出した結論は、こう。
機神は———寿命がもうすぐだった。……全く分からないけれども、残った情報の中で一番有力なのが、コレ。
ヤツらまで一緒に『永遠』の存在になるつもりなのかは分からない、けど……機神は確実に、時間を———年を追うごとに、その神力反応量が低下していた。
黒から教えてもらった話なんだけどさ。ヘファイストス神殿国……そこには、機神ゼウスの動向を監視し続けている組織が存在していた。
その組織の取っていた統計データ……ソレを見るに、機神ゼウス———他、全機の機神が……年を追うごとに、神力反応量が年々低下していっていたのよ。
だから、寿命。……もうきっと、長くはないだろうからさ……
あの子だって」
「それ……って、まさ……か……」
「本当かどうかは分からない———分からないわよ?!……でも、もしそうだとしたらさ……ね……
あの子の———アテナちゃんの笑顔は、紛れもなく……太陽みたいな笑顔だった。
思いっきり笑ってる姿を……見たかったなって、私が思わされるくらいに」
「確かに、それ……は…………あまりにも……」
そこで、彼女たちの会話は終わった。
あまりにも、微妙に……後味の悪い事実を残して。
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