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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
拮抗
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「行かせはしねえっ!」
技量の差———この俺がそんなことを感じることになるとは思わなかったが、ソレを一身に感じながら、ヤツの刃と拮抗する。
『無駄、無謀、無力、無想……未熟、未熟、未熟!……所詮その程度———よくもまあ、人を護る剣を選べたものだな、雪斬白郎っ!』
「何でテメェが、その名前を知ってやがる———!」
かつての名。その身で拭いきれぬほどの罪を背負った、人斬りの呪われし名前。
———だが、今の俺は『アレン・セイバー』でも『白』でもない。
「今の俺は…………白じゃねえ、今の俺は雪斬ツバサ! 大空へ羽ばたくための、羽を手に入れた救世主だっ!」
『いくら空を舞おうと、人は地に伏す運命からは逃れられない!……その翼も、いつかは凍りつき堕ちるのみ!』
幾度となく擦れ合う敵の刃は———その先端から、白の魔力を纏いゆく。
「何を———!」
『『月光雪下』』
何か、身に覚えのある危機感を感じ、後退した瞬間———俺の胸は、ヤツの刃によって斬り裂かれた。
一瞬のみ痛みはなかった。感触すらなく、そもそも攻撃を食らったという事実すらも自認できぬ錯乱状態。
がしかし、胸元から飛び散る血を見てようやく、俺は俺の置かれた現状を思い知った。
「っは!……ふっ……っあ……っ!」
2秒後、刻まれた傷を見た瞬間、視界の全てが転びゆく。
少しずつ奥から滲み出る暗黒。俺の視界が切れる寸前、サナやくいなの叫び声が俺の耳に走る。
「終わ———った……?」
呆気ない声。俺はここで終わりなのか、と。
…………おかしい、おかしいだろ———この俺が、こんなところで、こんなあっけなく……負けてたまるかってんだ……!
「———テ……アテ…………ナ……!」
刹那がその手を、刃を伸ばす先にいる少女———アテナの名を呼ぶ。
『白はちょっと休んでて、大怪我してるんだから今は動かないでっ!』
『アイ…………たちが、踏ん張る……!』
倒れ込む視界に、一瞬のみ映り込んだサナの影。
『行くな』と、『お前らじゃ勝てる相手なんかじゃない』と言っても、もう遅い。
『俺が倒れられるわけがないんだ、俺が行くべきなんだ』なんて声に出そうとしても、そんなものは激痛に全てかき消される。
「行くな———」
◆◇◆◇◆◇◆◇
2人の金切り声が、耳の奥で何度も残響していた。……でも、身体は動かない。
今、アテナの下へヤツを行かせるわけにはいかない。アテナのゼウスへの説得が終わるまでは、絶対に。その場を、ヤツに台無しにさせるわけにはいかないのだ。
……それはそうと、分かっておきながらも、俺の身体は言うことを聞かない。
それどころか、勝手に夢まで見始めた。
いつの夢だろう、誰の夢だろうか———そんなことすらも分からないまま、俺の意識は夢に呑まれていった。
技量の差———この俺がそんなことを感じることになるとは思わなかったが、ソレを一身に感じながら、ヤツの刃と拮抗する。
『無駄、無謀、無力、無想……未熟、未熟、未熟!……所詮その程度———よくもまあ、人を護る剣を選べたものだな、雪斬白郎っ!』
「何でテメェが、その名前を知ってやがる———!」
かつての名。その身で拭いきれぬほどの罪を背負った、人斬りの呪われし名前。
———だが、今の俺は『アレン・セイバー』でも『白』でもない。
「今の俺は…………白じゃねえ、今の俺は雪斬ツバサ! 大空へ羽ばたくための、羽を手に入れた救世主だっ!」
『いくら空を舞おうと、人は地に伏す運命からは逃れられない!……その翼も、いつかは凍りつき堕ちるのみ!』
幾度となく擦れ合う敵の刃は———その先端から、白の魔力を纏いゆく。
「何を———!」
『『月光雪下』』
何か、身に覚えのある危機感を感じ、後退した瞬間———俺の胸は、ヤツの刃によって斬り裂かれた。
一瞬のみ痛みはなかった。感触すらなく、そもそも攻撃を食らったという事実すらも自認できぬ錯乱状態。
がしかし、胸元から飛び散る血を見てようやく、俺は俺の置かれた現状を思い知った。
「っは!……ふっ……っあ……っ!」
2秒後、刻まれた傷を見た瞬間、視界の全てが転びゆく。
少しずつ奥から滲み出る暗黒。俺の視界が切れる寸前、サナやくいなの叫び声が俺の耳に走る。
「終わ———った……?」
呆気ない声。俺はここで終わりなのか、と。
…………おかしい、おかしいだろ———この俺が、こんなところで、こんなあっけなく……負けてたまるかってんだ……!
「———テ……アテ…………ナ……!」
刹那がその手を、刃を伸ばす先にいる少女———アテナの名を呼ぶ。
『白はちょっと休んでて、大怪我してるんだから今は動かないでっ!』
『アイ…………たちが、踏ん張る……!』
倒れ込む視界に、一瞬のみ映り込んだサナの影。
『行くな』と、『お前らじゃ勝てる相手なんかじゃない』と言っても、もう遅い。
『俺が倒れられるわけがないんだ、俺が行くべきなんだ』なんて声に出そうとしても、そんなものは激痛に全てかき消される。
「行くな———」
◆◇◆◇◆◇◆◇
2人の金切り声が、耳の奥で何度も残響していた。……でも、身体は動かない。
今、アテナの下へヤツを行かせるわけにはいかない。アテナのゼウスへの説得が終わるまでは、絶対に。その場を、ヤツに台無しにさせるわけにはいかないのだ。
……それはそうと、分かっておきながらも、俺の身体は言うことを聞かない。
それどころか、勝手に夢まで見始めた。
いつの夢だろう、誰の夢だろうか———そんなことすらも分からないまま、俺の意識は夢に呑まれていった。
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