106 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
傭兵仕事
しおりを挟む
「……それじゃあニトイ、帰るか』
ゴルゴダ機関管轄地、アルファポイントに俺たちは再び戻ってきた。
そして———まるで当たり前だったかのように、ニトイと再会してしまった。
「カレン……さん、きょうは……ありがとう、ござい、ました……!」
小さくお辞儀をしながら、ぎこちなくもニトイは感謝を伝えた。
……というかコイツ、色々って一体何をしてきたんだ……?
「いやいや、別にいいのよニトイちゃん!……何たって、実は私意外と暇なので……もっともっと私に詰め寄っちゃってください!」
「あい!」
「あいじゃねえよ」
……俺たちがコイツらに追われてるかもしれないリスクも忘れて、か……
「ん~ふふ!……ホントいい子、まるで娘みたいね!」
「娘…………そう、ニトイ、むすめ! お父様の、娘!」
……でも、あんなにも愛おしくニトイを抱きしめこね回すカレンさんを見てると、そんなことまるでなかったかのように思えてくる。
「……じゃあ、カレン……さん、は、母親……?」
ニトイがそう言った瞬間、思い詰めたようにカレンさんは動きを止める。
「カレン……さん……? 急に止まって、一体どうして……」
「え?……あ、ええ、別に、何でもないわよ……別にね」
何で、そんなに暗そうな顔をするんだ。
……母親……みたいじゃ、ダメなのか?
◇◇◇◇◇◇◇◇
帰路に着いた。
見ているだけでも眠くなりそうな夜の道を越え、ようやく安堵の家にたどり着き、転がり込む。
「ただ……いま……っ!」
「はいはーい、ただいま~」
ご飯……とも思ったが、どうも今日は眠気がすごい。……よく身体を動かしたからであろうか。
「アイスクリーム、アイスクリーム~♪」
……ニトイは何をソワソワしてるんだろうか。……まさか、アイスクリームを買ってこい、と……?
「……俺は疲れた。今日はもう寝るからな」
「アイスクリームは?」
「アイスクリームぅ?……んなもんいらねえだろ……いくら時給高いからって、何でか知らんけど俺たちは元々貧乏。生活が充実するまでは、贅沢はできないってもんだろ」
「うぅ……」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「おっはようっ! さあツバサ、出勤の時間だ!!」
———朝になったみたいだ。
ドアの向こう。差し込んだ光に目を覚ます。
「……ディル……か、相変わらず、お前は…………早いなあ、本当に……いつ、寝てるんだ……」
「ニトイ……も、ねてない……よ?」
あん?
何だって??
「ちょっと待った寝てない、って何なんだ?! お前一体どんだけ夜更かししてんだ?!」
「寝る必要、ない……から」
……淡々と言わないでくれよ。
それは『異常』なんだ、もしかしなくてもそうなんだ。
……怖いよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「おはようございます、ツバサさん、ディルさん、そして……ニトイちゃん!!」
ゴルゴダ機関、アルファポイント。
そこで出くわしたカレンさんは、何故だか分からないがとてもご機嫌そうだった。
「カレン、さん、おはよう……ございます……!」
「うん、ちゃんと挨拶も身についてます!……よくできましたね~!」
「ういうい」
ご機嫌そうで……何より、なんかめっちゃニトイと親しくなってる。
何でこんな、家族みたいに馴れ馴れしくなってしまったのだろうか。
「……それで、カレン。……今日、俺たちは何をするべきなんだ?」
「ええと、今日は……防衛戦ですね~。
オリュンポス外壁付近で現在戦ってる兵士に依頼されて、傭兵として戦場に赴く……ようです、貴方がたの他にも、第1番隊も同行する……とか何とか」
オリュンポス、外壁付近……?
戦ってる、ってことは、やっぱり敵がいるってことなのか……?
「依頼内容は……オリュンポス内部に、ヤツらの侵入を許すな、とありましたが……まあ、ただの防衛戦と思っていただいて大丈夫でしょう。
敵は、西大陸———人界軍勢力の機動兵器、『サイドツー』なる人型ロボット……だそうです、なんなら銃とかも撃ってくるそうなので、かなり警戒しておけ……と」
人界軍……サイドツー……何にも分からない。
「っとおツバサ! お前大丈夫か、何でそんなフラフラしてんだ?!」
「いや……人界軍……って何……話難しすぎて分かんねえ……」
「まあ、要するに———敵としてロボットが攻め込んでくるから、ソイツらを全機倒す……ってことらしいです!」
素晴らしく分かりやすい説明、ありがとうございますカレンさん。
「じゃあ……ニトイちゃんは! 私が! 預かりますので! 心配ご無用ですからね!!」
「あい! 心配、ごむよー!」
……なんかの掛け声だったりするのか、ソレ。
ゴルゴダ機関管轄地、アルファポイントに俺たちは再び戻ってきた。
そして———まるで当たり前だったかのように、ニトイと再会してしまった。
「カレン……さん、きょうは……ありがとう、ござい、ました……!」
小さくお辞儀をしながら、ぎこちなくもニトイは感謝を伝えた。
……というかコイツ、色々って一体何をしてきたんだ……?
「いやいや、別にいいのよニトイちゃん!……何たって、実は私意外と暇なので……もっともっと私に詰め寄っちゃってください!」
「あい!」
「あいじゃねえよ」
……俺たちがコイツらに追われてるかもしれないリスクも忘れて、か……
「ん~ふふ!……ホントいい子、まるで娘みたいね!」
「娘…………そう、ニトイ、むすめ! お父様の、娘!」
……でも、あんなにも愛おしくニトイを抱きしめこね回すカレンさんを見てると、そんなことまるでなかったかのように思えてくる。
「……じゃあ、カレン……さん、は、母親……?」
ニトイがそう言った瞬間、思い詰めたようにカレンさんは動きを止める。
「カレン……さん……? 急に止まって、一体どうして……」
「え?……あ、ええ、別に、何でもないわよ……別にね」
何で、そんなに暗そうな顔をするんだ。
……母親……みたいじゃ、ダメなのか?
◇◇◇◇◇◇◇◇
帰路に着いた。
見ているだけでも眠くなりそうな夜の道を越え、ようやく安堵の家にたどり着き、転がり込む。
「ただ……いま……っ!」
「はいはーい、ただいま~」
ご飯……とも思ったが、どうも今日は眠気がすごい。……よく身体を動かしたからであろうか。
「アイスクリーム、アイスクリーム~♪」
……ニトイは何をソワソワしてるんだろうか。……まさか、アイスクリームを買ってこい、と……?
「……俺は疲れた。今日はもう寝るからな」
「アイスクリームは?」
「アイスクリームぅ?……んなもんいらねえだろ……いくら時給高いからって、何でか知らんけど俺たちは元々貧乏。生活が充実するまでは、贅沢はできないってもんだろ」
「うぅ……」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「おっはようっ! さあツバサ、出勤の時間だ!!」
———朝になったみたいだ。
ドアの向こう。差し込んだ光に目を覚ます。
「……ディル……か、相変わらず、お前は…………早いなあ、本当に……いつ、寝てるんだ……」
「ニトイ……も、ねてない……よ?」
あん?
何だって??
「ちょっと待った寝てない、って何なんだ?! お前一体どんだけ夜更かししてんだ?!」
「寝る必要、ない……から」
……淡々と言わないでくれよ。
それは『異常』なんだ、もしかしなくてもそうなんだ。
……怖いよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「おはようございます、ツバサさん、ディルさん、そして……ニトイちゃん!!」
ゴルゴダ機関、アルファポイント。
そこで出くわしたカレンさんは、何故だか分からないがとてもご機嫌そうだった。
「カレン、さん、おはよう……ございます……!」
「うん、ちゃんと挨拶も身についてます!……よくできましたね~!」
「ういうい」
ご機嫌そうで……何より、なんかめっちゃニトイと親しくなってる。
何でこんな、家族みたいに馴れ馴れしくなってしまったのだろうか。
「……それで、カレン。……今日、俺たちは何をするべきなんだ?」
「ええと、今日は……防衛戦ですね~。
オリュンポス外壁付近で現在戦ってる兵士に依頼されて、傭兵として戦場に赴く……ようです、貴方がたの他にも、第1番隊も同行する……とか何とか」
オリュンポス、外壁付近……?
戦ってる、ってことは、やっぱり敵がいるってことなのか……?
「依頼内容は……オリュンポス内部に、ヤツらの侵入を許すな、とありましたが……まあ、ただの防衛戦と思っていただいて大丈夫でしょう。
敵は、西大陸———人界軍勢力の機動兵器、『サイドツー』なる人型ロボット……だそうです、なんなら銃とかも撃ってくるそうなので、かなり警戒しておけ……と」
人界軍……サイドツー……何にも分からない。
「っとおツバサ! お前大丈夫か、何でそんなフラフラしてんだ?!」
「いや……人界軍……って何……話難しすぎて分かんねえ……」
「まあ、要するに———敵としてロボットが攻め込んでくるから、ソイツらを全機倒す……ってことらしいです!」
素晴らしく分かりやすい説明、ありがとうございますカレンさん。
「じゃあ……ニトイちゃんは! 私が! 預かりますので! 心配ご無用ですからね!!」
「あい! 心配、ごむよー!」
……なんかの掛け声だったりするのか、ソレ。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
グレイス・サガ ~ルーフェイア/戦場で育った少女の、夢と学園と運命の物語~
こっこ
ファンタジー
◇街角で、その少女は泣いていた……。出会った少年は、夢への入り口か。◇
戦いの中で育った少女、ルーフェイア。彼女は用があって立ち寄った町で、少年イマドと出会う。
そしてルーフェイアはイマドに連れられ、シエラ学園へ。ついに念願の学園生活が始まる。
◇◇第16回ファンタジー大賞、応募中です。応援していただけたら嬉しいです
◇◇一人称(たまに三人称)ですが、語り手が変わります。
誰の視点かは「◇(名前)」という形で書かれていますので、参考にしてください
◇◇コンテスト期間中(9月末まで)は、このペースで更新していると思います
しおり機能で、読んだ場所までジャンプするのを推奨です…




サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる