Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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激震!勇魔最終戦争…!

サナの心境

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 白、コックさんといい感じ……だなあ。

 なんだかいつの間に仲良くなってたし。……私なんて心配すらせず、白はすぐにコックの元に駆け寄ったし。

 ……どうしようかな。

 この旅が———魔王との戦いが終わったら、私……




 、のに。


 ずっと、多分好きだったんだ。
 いつからか、ふとした時に白のことばっか考えるようになった。

 胸が熱く———弾んで、跳ねて、溶け出して。

 全部終わったら……白と何をしようかな、どこに行こうかな———って。
 ここ数日は色々と起こりすぎたけど、ふとした隙間の時間に私は———そんなくだらないことを考えていた。

 白といることが、当たり前に思えてきてしまった。
 本来それは当たり前なんかじゃないはずなのに、いつのまにか———そんな関係になってた。

 でも一線は超えてない。
 やっぱりどこまで行っても、私は告白を———気持ちを打ち明けることができずにいた。

 何度言おうと思っても、そのたびに締め付けられて。抜け出せずに、結局言えないで。

 今の今まで、それを切り出すタイミングを失ってしまったのだ。

 


 ……どうしようか。イデアに相談してみる……のもアリ……いや、ナシか。

 ……そもそも他人に頼るのがいけないのかな、自分の手で言わなきゃ、それじゃないと意味がないのかな。

 でも、何とかしてこの気持ちは伝えたい。
 伝えたい、伝えたい、伝えようと思うたび、何かが私の奥底から湧いてきて、『やめておけ』と水を差す。

 

 不釣り合い……なのかな。
 私、別に強くないし。


 だって、コックって言う上位互換みたいなのが出てきたじゃん。

 私よりふくよかで……美人で、胸も……大きくて———って違う。

 それでも私より……めちゃくちゃ強くって。

 だからもう、魔術要員はいらないって———思われてるのかな。




 ……じゃあ、想いを伝えたって———意味がないのかな。

 結局、私のおじさんジェーンさんとの約束で、仕方なく旅をしていただけなんだ。




 ———私を、ちゃんと取ってもらうつもりだった……んだけどなあ。


 このまま———もう魔王との戦いは終わって、私たちの旅は終わっちゃったわけだけど、まだ私は———白と一緒にいれるかな……?

 だって、あれだけ……『もしも願いが叶うなら』って、願い続けたんだから。

 だから、もっと一緒に———いさせてほしいのに。



◆◆◆◆◆◆◆◆



「———さて、コックの件もとりあえずは収集ついたけど———どーすっかなあ、この王都」

 
 王都は既にボロボロ。
 人1人、住めたものじゃなかった。
 住宅を成していたものは完全に崩壊し、壁と影をその場に残すのみとなってしまった。

 辺りに人はあまりいない。
 ほとんどの人が、王城地下の避難シェルターにて匿われているからだ。


「……とりあえず……住む場所決めっかなあ……」

 積み上がった瓦礫の上にて、白はあぐらをかきながら話し始める。……と、次の瞬間、座っていたはずの白はすぐさま瓦礫から飛び降りる。

「まあ、まずは———行くか!」
「ふぇっ?!」

 


 手を———握られた?!

「え……ちょ、ちょちょちょっとぉっ?!」
「行くぞサナ、黒の家を貸してもらおう、な?!」

「え———いや、貸してもらおう……って、一緒に住むってこと?!」

 さも当然の如く、黒の家を借りる———なんてことには目もやらず。

「そりゃあそうだろ、同じパーティなのに一緒にいないなんて、締まりがないだろ?」

 ———イデアに関しては触れないのね?!

「———ま、まあ、そりゃあ……そう、だけど……?!」

「っしゃあ行くぞ、黒の家制圧作戦だーーっ!」


 まるで、子供のようにはしゃぐ白。
 そんな姿も、儚くもいいな、と思ってしまう。

「———うんっ!」
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