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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-レイラ: 大敵
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———でも、終わったんだ。
あまりにもあっさりしすぎていたけど、とりあえずここでの戦闘は終わりを告げ———?!
「………………また、爆発…………?……本当に、芸のない…………下等共が……っ!」
生きていた。
赤髪の女は、あの爆発を至近距離で喰らいながらも———未だ生きていた。
爆発を避けたのでは———そんな考えはない。
その仮説を否定するのは、もはやチリ屑と化した彼女のフードと、吹き飛びながらも赤い断面を見せつつ再生し行く彼女の左腕だった。
というより、アイツ———ソウルレス、だったのか。
再生する人間……といえば、ソウルレス以外には考えられない。
……いいや、今はそんなこと……どうでもよかったんだ。
『芸のない…………下等共が……っ!』
言ったな。
『芸のない…………』
確かに、お前は今そう口にしたな。
『下等共が……っ!』
決死の攻撃を、馬鹿にしたな……っ!
捨て身の攻撃を、自らが犠牲になると分かっていても尚、勇気を張って散った者の命を———芸がないと笑ったな……!
想起されるは、先に散った隊長の姿。
死を眼前に見据えながら、それでも『行く』と言ってみせた勇ましき姿。
無意識に重ねていたんだ。
———だから、お前は……!
「クソでも食らうのはそっちよ、こんなふざけた事しやがって、さっさと悲鳴でも撒き散らかして死んでくれれば、おかずにでもなったってのに———?!」
「黙れ、クソ溜めぇぇぇえっ!!!!」
もはや我慢など効きやしなかった。
憎しみのみだ、死を笑った憎しみのみだった———!
「……っふふ、誰、誰よ、誰よっ!」
「答える義理なんてない、さっさとお前も———地獄に逝けぇぇっ!」
3度、杭と鎌の刃が退け合う。
鎌を振り回すヤツに対して、重量がエゲツない杭打ち機で挑むなんて正気の沙汰ではないのだが、生憎今の私は正気なんかじゃない。
「———お前はいい声で泣いてくれそうね、だからさっさと傷付いて、その甘美な声をあたしに聞かせてみせてっ!」
「っ、ぎあぁぁぁあっ!」
斬られた。
両断、とまではいかないが、吹き上がる血がその凄絶さを助長させる。
「……っ、ああ……っ、は……っ……」
「———全っ、然……」
———なんだって?
「全っ然、いい声じゃない……!」
……は?
「全っっっ然、いい声で鳴かないじゃない……クソみたいに濁った声ばっか出しやがって、雌豚らしく高い声で喘いで見せろよぉっ!」
———何を言っている?
既に大量出血で滲んだ頭に、眼前の女の訳の分からない持論を、高速で振り回される鎌と共にぶつけられる。
———どうにか、してほしいもんだ。
「さっきからずっと喋ってばっかで……っ!」
なんとかパイルバンカーで凌いでみせるが、こんなものじゃあ多分押し切れはしない。
敵の女は一体誰だ、ここまでの実力なんてあまりにも強すぎる気が———。
「にぃ……っ!」
———あ。
思い出した。
そうだ、そうだコイツ。
この赤髪。
そうだ、私はコイツと会ったことがある。
「———そう、そういうこと」
私がそう発した瞬間、相手の女は鎌の動きを停止させる。
「そうだ、見たことあると思ったら……あっし、お前に既に会ってた……って、訳か……」
「———なんだよ、言ってみろよ、あたしが何者か!!」
『随分と、久しぶりね———ラースっっっ!!!』
あまりにもあっさりしすぎていたけど、とりあえずここでの戦闘は終わりを告げ———?!
「………………また、爆発…………?……本当に、芸のない…………下等共が……っ!」
生きていた。
赤髪の女は、あの爆発を至近距離で喰らいながらも———未だ生きていた。
爆発を避けたのでは———そんな考えはない。
その仮説を否定するのは、もはやチリ屑と化した彼女のフードと、吹き飛びながらも赤い断面を見せつつ再生し行く彼女の左腕だった。
というより、アイツ———ソウルレス、だったのか。
再生する人間……といえば、ソウルレス以外には考えられない。
……いいや、今はそんなこと……どうでもよかったんだ。
『芸のない…………下等共が……っ!』
言ったな。
『芸のない…………』
確かに、お前は今そう口にしたな。
『下等共が……っ!』
決死の攻撃を、馬鹿にしたな……っ!
捨て身の攻撃を、自らが犠牲になると分かっていても尚、勇気を張って散った者の命を———芸がないと笑ったな……!
想起されるは、先に散った隊長の姿。
死を眼前に見据えながら、それでも『行く』と言ってみせた勇ましき姿。
無意識に重ねていたんだ。
———だから、お前は……!
「クソでも食らうのはそっちよ、こんなふざけた事しやがって、さっさと悲鳴でも撒き散らかして死んでくれれば、おかずにでもなったってのに———?!」
「黙れ、クソ溜めぇぇぇえっ!!!!」
もはや我慢など効きやしなかった。
憎しみのみだ、死を笑った憎しみのみだった———!
「……っふふ、誰、誰よ、誰よっ!」
「答える義理なんてない、さっさとお前も———地獄に逝けぇぇっ!」
3度、杭と鎌の刃が退け合う。
鎌を振り回すヤツに対して、重量がエゲツない杭打ち機で挑むなんて正気の沙汰ではないのだが、生憎今の私は正気なんかじゃない。
「———お前はいい声で泣いてくれそうね、だからさっさと傷付いて、その甘美な声をあたしに聞かせてみせてっ!」
「っ、ぎあぁぁぁあっ!」
斬られた。
両断、とまではいかないが、吹き上がる血がその凄絶さを助長させる。
「……っ、ああ……っ、は……っ……」
「———全っ、然……」
———なんだって?
「全っ然、いい声じゃない……!」
……は?
「全っっっ然、いい声で鳴かないじゃない……クソみたいに濁った声ばっか出しやがって、雌豚らしく高い声で喘いで見せろよぉっ!」
———何を言っている?
既に大量出血で滲んだ頭に、眼前の女の訳の分からない持論を、高速で振り回される鎌と共にぶつけられる。
———どうにか、してほしいもんだ。
「さっきからずっと喋ってばっかで……っ!」
なんとかパイルバンカーで凌いでみせるが、こんなものじゃあ多分押し切れはしない。
敵の女は一体誰だ、ここまでの実力なんてあまりにも強すぎる気が———。
「にぃ……っ!」
———あ。
思い出した。
そうだ、そうだコイツ。
この赤髪。
そうだ、私はコイツと会ったことがある。
「———そう、そういうこと」
私がそう発した瞬間、相手の女は鎌の動きを停止させる。
「そうだ、見たことあると思ったら……あっし、お前に既に会ってた……って、訳か……」
「———なんだよ、言ってみろよ、あたしが何者か!!」
『随分と、久しぶりね———ラースっっっ!!!』
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