Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-レイラ: まさかの接敵

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*◇*◇*◇*◇

 その戦闘が佳境に差し掛かった頃。
 時を同じくして、レイラたちが進んだ道は———罠だった。




 
 いや、罠ならばまだ良かったかもしれない。

 だって今、私たちはどこにいるのかと言うと———外だ。

 外、そうだ外だ。
 もはやヒトの面影など———ほとんどなく。
 この帝都を覆う巨大にして壮大な外壁が、その姿をある程度晒すほどに荒地と化した外。

 ……とは言え、あの機神の砲撃を受けてなお、未だ崩壊には至らぬ建物も多々あり、その中にはヒトの住んでいる証とも言えよう明かりが灯っていた。

 だが、やはり異常はそこにあった。
 外、だからと言って、ここは外ではない。

 ———いいや、元々中場所なんだろう。

 既に崩れ去った建物の外壁、床に散らばった本の数々、外の光を受け入れるが為に設置されたステンドグラス。

 順当に考えれば、ここは元々教会だった場所だろう。


 ———というより、ここは見覚えがあった。

「カレンさん……」

 そう、シスター・カレンの働いていた教会———それがここだった。

 その証拠に、私たちが出てきた地下の入り口以外にももう1つ、この真下へと繋がる地下の入り口が隠されているからだ。

 ———今となっては、その隠蔽も全て無駄になるほどに、ここは崩壊しきっているが。



 しかし、このような狭い場所に———私と、私が引き連れてきた———汎用人型機動兵器……サイドツー。それも12機。

 いくら機動性の高い兵器とは言え、この狭い場所にて戦闘になれば———間違いなくこちらがやられる。

 道があったから敵がいる、なんて考えは持っちゃいないが、度々聞こえてきた———イデアさんやらの声が、道の先には敵がいるのでは、という不安を煽り続けていた。


 ———だが、その不安はまさかの的中することとなる。


『02より各機、レーダーに反応アリ! 7時方向より敵影接近! 繰り返す、7時方向より敵影接近!』

 わざわざスピーカーでもそう発したのは———私が今その肩に乗っている機体だった。

『既に地上に出ている03、4、5、6機は地上で迎撃を開始する。地下残存機は地上に出た後、体制を整え合流だ、いいな?』

 ……あちら側の声は聞こえないが、どうやら私にも分かるようにしてくれているようだ。

『おい、嬢ちゃん聞こえるか?』
「あ———はい、一応聞こえはします」

『……ふ、やっと話してくれたじゃねえか……どうする? 必要なら、サイドツー内部で匿うが?』

「———いや、大丈夫です。……あっしだって、ゴルゴダ機関だったんすから……!」

『……3秒後に出るぞ、銃撃音と流れ弾に注意しろ……!』

 3……
『……それとサイドツーにしっかり捕まってろよ!』

 2……
 1……

『……っ!』

 横にスライドし、崩落した壁の影から顔を出すサイドツー02機。
 チラッと見えた後方には、残り4機のサイドツーも既にライフルを構えていた。

 ———空から向かってきていた敵は———神話的概念生命体。

 兵器として使われている、としか学校では習ったことがなかったが、実物を見るのは初めて———っ!

 ズガガガガガガガッ!
 連続する発砲音と敵の金属が抉れる音が混じり、掘削作業をしているようなやかましい音が響き渡る。
 
 一時は黒い煙が場を覆い尽くしたが、その中でも未だ十数機の敵機が突進してくる。
 ———と。

『02より各機! 同x座標、3時方向にも敵影確認! 数……約50っ!』

 同座標———つまり、横から……っ?!

『残存機の加勢は遅れそうだ、このまま持ち堪え———っ?!』
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