Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-レイ: 剛鉄襲来

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「…………へェ、なかなか面白そうなことやってんじゃねえか」

 響く鉄音。
 ジャラジャラと音を立てる灰の小道具。

 そう、向かうは———鉄。

「楽しそうだなぁ、そんなに必死になって殺り合って、なんだから、俺を混ぜたって構わねえだろぉ?」


 ———剛鉄、襲来。
 男———運良くもその場に居合わせたクラッシャーは、その鋼鉄の身体の恐るべき脚力をもって、ヤンスのサイドツーとヘキの間に割って入る。


「———よぉヘキっ!……会いに来たぜぇ、仲間としてなっ!」

『……んなっ?! いきなり何でヤンスかコイツぅっ?!』

「ほう……これはこれは、そういえば私たちは仲間、ね」

 唐突に詰められた間合い、クラッシャーはその剛腕をもってしてその拳を何度も繰り出すが、その攻撃は全てヘキの爆剣にいなされる、が。


 おかしいのだ。

 何せよ、ヘキは今の今まで、その鋼鉄の如き恐るべき硬度を持った自らの身体で攻撃を全て弾いてきた、のだが。

 なぜかヘキは、今ここに来て———のだ。

 そんなことする必要などないはずだと言うのに、なぜヘキは武器を用いて防御行動をとるのか。


 ———やっぱりそうだ、


 ……だからこそ、私はもう一度———サイドツーに乗る必要がある。

「ヤンス!……今のうちよ、乗り換えましょう!」

『えぇっ?! 俺が戦えないでヤンスよぉっ?!』

「うるっさいわね、アイツを倒すには……まずは試してみるしかないのよ!……ソレに、運がいいことに———クラッシャーが来てくれた。
 
 あの男は……味方、何をしでかすか分かんないけど、ある程度は時間稼ぎになってくれるでしょ……っ!」




『搭乗ライセンス、承認』

 感情のない機械音声が、ユニットコンテナに響く。

「……あの……何で俺、降ろさせてもらえないんでヤンスか……?」

「何で?……何で、って、ヤンスは降りたらまずいでしょ、自衛の手段がなくなっちゃう」

「それもそうでヤンスが……だからって、わざわざ俺が膝の上に乗る必要だってない———」

「もういいでしょそんなの、むしろ私の膝に乗れるんだから、感謝されたっていいくらい……よっ!」

 レバーを引いた瞬間、外の景色がコンテナ内のモニターに映り込む。
 戦況に———以前変化は無し、未だにクラッシャーとヘキの攻防は続いている。



「感謝って言うか……どっちかと言えば困惑してるんでヤンスよ———おっ?!」

 そう口にするヤンスなぞ放っておきながら、ペダルを踏みサイドツーの足を進める。


「ヤンス、ちょっと揺れるけど我慢してね……っ!」
「そんなこと言う前に踏み出してたでヤンしょーっ?!」
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