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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-セン: 1つの決着
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「僕……の、勝ちだ、さあ教えろ、あの4本の道はどこに繋がっている、どこに行けば神核へと至れる?!」
脳天から割れ、その間に肉の生えつつある、だとかいうふざけた状態の死体に話しかける。
「……どう、か……どうか私に……神の祝福を……エデンへと至れる切符を……」
「———話が、まるで……噛み合って、ないな…………死ぬ前に教えろ、罠はあるか、神核へ至れる道はどこだ……!」
「…………」
くそ、何が何でも言わないつもりか……!
「塵と化すも我が宿命……タルム、ヴォレイ、カレン……今、私も逝くぞ……そちらへと……」
「……」
「『永遠』は———どこへむかうのか……刹那、お前は……どう動く……?…………いやしかし……本当にくだらない事を思いついたものだ……。
なあ、なぜだ、刹那。なぜ永遠を呪った貴様が、永遠を与えようとするのだ……?
我が主のご意志ならば仕方のないことだ、しかし…………しかしなぜ……我らが出らねば…………ならなかった、のだ……?
……永遠を、得るのならば……衝突の必要は……我らが武力行使をする必要は……ないはず、だ……であれば…………やはり救世主が反発する方法故、か———」
「さっさと……!」
もはやそんなものを聞いていたくなるような余裕すらも、なかったのだ。
だから、さっさと……
「話さないなら、死ね……っ!」
神威コピーのその刃をもって、灰や塵と化し始めたその身体を薙ぎ払う。
「くたばれ…………!」
普段の口調とはとても似合わない言葉を吐き捨て。
静かな怒りは、青い焔へと差し代わる。
「はあ、そうですよね。……貴方があそこまで言ってくれたんだ。その死を嘆き、今ここで立ち止まる事は———許されない」
泣きたい。
吐き出したい。
縋り付きたい。
何度思った事か。
でも、そんな弱さは———捨てなきゃいけないんだ。
———まあ、今日の僕は……ここで終わりだけど。
「やっぱり、そうか……あまりにも負担をかけすぎた」
足は動かない。
動かそうとしたとて、全くもって反応がないのだ。
力が入らない———痺れた時と同じ感覚。……まあ、感覚などしなくなっているのだが。
「でも、せめて———僕が動けないとしても、あの人が来た時のために———」
下より力が抜ける。
立ち尽くした身体は瓦解する、が、せめて身体を揺さぶり倒れ込む角度を変える。
その先には。
「……あ、った、トランシーバー……」
そうだ、いくら僕が『戦うな』と言ったとは言え、どう考えたってあの人は来るはずだ。
……あの可愛らしい機神を連れて。
だからせめてその時のためにと、大破したサイドツーの中へと手を伸ばし、ソレを回収する。
『……あー、あー、これでいいのか? おーい、おーい、聞こえてますかーー?』
……そら見ろ。
どう止めたって、来るのは分かってたはずなのに。
……そう言えば。
『影』に呑まれていた時、イデアさんは何を考えていたのだろうか、何をしていたのだろうか———いや、考えたって無駄だ、今は……とりあえず報告するべきだろう。
「……やっぱり来たんですね、白さん———!」
脳天から割れ、その間に肉の生えつつある、だとかいうふざけた状態の死体に話しかける。
「……どう、か……どうか私に……神の祝福を……エデンへと至れる切符を……」
「———話が、まるで……噛み合って、ないな…………死ぬ前に教えろ、罠はあるか、神核へ至れる道はどこだ……!」
「…………」
くそ、何が何でも言わないつもりか……!
「塵と化すも我が宿命……タルム、ヴォレイ、カレン……今、私も逝くぞ……そちらへと……」
「……」
「『永遠』は———どこへむかうのか……刹那、お前は……どう動く……?…………いやしかし……本当にくだらない事を思いついたものだ……。
なあ、なぜだ、刹那。なぜ永遠を呪った貴様が、永遠を与えようとするのだ……?
我が主のご意志ならば仕方のないことだ、しかし…………しかしなぜ……我らが出らねば…………ならなかった、のだ……?
……永遠を、得るのならば……衝突の必要は……我らが武力行使をする必要は……ないはず、だ……であれば…………やはり救世主が反発する方法故、か———」
「さっさと……!」
もはやそんなものを聞いていたくなるような余裕すらも、なかったのだ。
だから、さっさと……
「話さないなら、死ね……っ!」
神威コピーのその刃をもって、灰や塵と化し始めたその身体を薙ぎ払う。
「くたばれ…………!」
普段の口調とはとても似合わない言葉を吐き捨て。
静かな怒りは、青い焔へと差し代わる。
「はあ、そうですよね。……貴方があそこまで言ってくれたんだ。その死を嘆き、今ここで立ち止まる事は———許されない」
泣きたい。
吐き出したい。
縋り付きたい。
何度思った事か。
でも、そんな弱さは———捨てなきゃいけないんだ。
———まあ、今日の僕は……ここで終わりだけど。
「やっぱり、そうか……あまりにも負担をかけすぎた」
足は動かない。
動かそうとしたとて、全くもって反応がないのだ。
力が入らない———痺れた時と同じ感覚。……まあ、感覚などしなくなっているのだが。
「でも、せめて———僕が動けないとしても、あの人が来た時のために———」
下より力が抜ける。
立ち尽くした身体は瓦解する、が、せめて身体を揺さぶり倒れ込む角度を変える。
その先には。
「……あ、った、トランシーバー……」
そうだ、いくら僕が『戦うな』と言ったとは言え、どう考えたってあの人は来るはずだ。
……あの可愛らしい機神を連れて。
だからせめてその時のためにと、大破したサイドツーの中へと手を伸ばし、ソレを回収する。
『……あー、あー、これでいいのか? おーい、おーい、聞こえてますかーー?』
……そら見ろ。
どう止めたって、来るのは分かってたはずなのに。
……そう言えば。
『影』に呑まれていた時、イデアさんは何を考えていたのだろうか、何をしていたのだろうか———いや、考えたって無駄だ、今は……とりあえず報告するべきだろう。
「……やっぱり来たんですね、白さん———!」
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