Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-イデア/セン: 機動戦

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 同じく、イデアの視点にて。

********

「……っ!」

 引き金が引かれる。
 破裂音と共に飛び交う銃弾、全弾30発。

 音を立て穴の空いた地面に、その足を落とす。




 ———先程のセンの攻撃、おそらくは俺を囮に使ったのだろうが……そんなものじゃヤツは倒せない。

 コイツに対して、遠距離から一方的に撃つのは……どちらかと言えば不利だ。

 俺が顕現させている魔術領域、今はこれがあるからこその先程の動きをとった訳だが———コレがいつまで持つかは分からない。

 先程までの戦いにて、俺は既に体力を大幅に消費している、いつこの魔術領域だって切れるか分からないのだ。


 だからこそ、そうなった時に———センをサポートすることは……できない。もはや敵の投擲し得る爆剣を弾く手段が無いからだ。

 ……サイドツーなんてデカブツに乗ってる暇など……ないぞ……セン!





「……来ない、と」

 そう言いつつもレインは両手で合計6本の爆剣を指の間に構える。


「セン、決めるならば短期決戦だ、俺の魔力が切れたら最後、そのサイドツーはただの的にしかならない……!」

『いいえ、大丈夫です。そんなことは既に想定済み、だからこその魔力機関です』

「魔力障壁を纏わせる気か?……魔力の無駄だ、それに魔力機関を用いるのならお前の魔力回路だって———さっさと降りるべきじゃないのか、お前ならば白兵戦の方が———」

『それでも突破力、殲滅力ははこっちが上です、言われた通り、短期決戦で決着をつける!!』


********




『残り弾数———』その機械音声に指摘される前に、先に弾倉を入れ替える。

 なんだかそれを言われるとどこか癪なのだ、特に機械に言われてるって事実が。



『残り弾数———』

 もういいから。


「ロボット……奇妙な兵器だ、脆そうなものだがよくできて~~」

 ……あなた方の主というか、という存在も、もこちらからしたら奇妙以外の何物でもないのですが。
 


 くだらない思考を巡らせた後、足のペダルを思い切り踏ん付けサイドツーを動かす。

『っ!』

 すぐさま手でレバーに付いている引き金を指切りで引き、数発の弾がレインに向かって放たれる。ディスプレイ上の残弾数は26という数字を示している。


 ……その様はイデアさんから見たらよっぽど奇妙だったのだろうか。

「何してる?!……どうせデカい図体だ、どれだけ動こうと当たるもんは当たるだろ!」


 その言葉は確かにそうだ、現に赤く染まった体温のみのレインを見ると、既に投擲の体制を整えている。


 ———が、5回にもなる発砲の末、その男は、もはや投擲の構えをとっておらず、既に爆剣でその弾を弾くことに専念していた。


 この弾が『Cキャノン専用中口径弾』だということは既に見破られているのか……!
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