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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-セン: 一触即発(一触既発)
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そうか、この男が———ゴルゴダ機関、その元締め———!
『つまり、あなたを倒した先の道は、機神へと繋がっている、と』
「———知りたいのならば、我が身を打ち砕き後試してみよ。もはやこちらも後へは戻れぬ。……手駒を消費し切った後なので、な」
「やはりゴルゴダ機関隊員をロストに使っていたか———全く、どこまでも気色悪いヤツらだ」
———場の空気が、鉄のように冷たく重く変貌する。
それは誰かの覇気ではない、あの男———レインの重圧なのだ。
眼前にてただ有るだけで、そびえ立つ山の如き威圧を放つ男。
その覇気だけでも気絶してしまいそうなほどに、僕たち2人はそれに気圧されていたのだ。
……と。
「さあて……どうする?……貴様らは我が主に逆らった身———抗いには贖いを、どのような方法でその罪を拭う、人類よ?」
「どのような方法———そうだな、ちょうど俺も、どのような方法で貴様を嬲れば、機神への道を聞けるか模索していたところだ」
イデアさんが———その口で反撃し始める。
「話がまるで噛み合っていないではないか、やはりマトモに意思疎通も叶わぬ野蛮な下等生物、東大陸のゴミ溜めが貴様らにはお似合いだ。
……もっとも、貴様らの首は全て、我が主へと捧げるのだが」
「同じ人間、本質的にはどこも変わらんと言うのに———機神らに植え付けられた優生思想によって、自分らの方が上だと思い込んで驕り高ぶりやがって……どこまでも傲慢で滑稽で、自分勝手なスィナーだよ、貴様らは」
「我が身体は既に魂の枷を越え、神への道へと至った聖体。……傲慢で滑稽とは、その神への道も侮辱することになるが———」
「ならばますます滑稽じゃないか、神への道へと至った誰かさんが、こんなゴミ溜めのカスとまともに話し合ってくれるとは!……どこまでも滑稽だ、呆れすぎて笑いも起きん」
「なぁらば殺り合うか、下等生物に相応しい敗北の道を、貴様には未来永劫見せ続けてやろうとも。
貴様の首はお預けだぁ、なぜなら貴様はこの戦いにて敗北を期し、永遠にロストとして生き地獄を味わい続けるからだ……!」
「……っふ、ふはは、ははははははっ!!……ならばこちらも同意見だ、貴様のようなヤツとソリが合うなどとは俺ながら腹立たしいが……それでも貴様とはとことん殺り合いたい!
一切合切全て確実に殺し切ってやるぞ、プリーストっ!!!!」
気圧されていたのは、僕だけだったらしい。
一触即発、そんな状況はたった今終わりを告げた。
「……セン!……俺は久々に血が激ってきた!……勝手に暴れさせてもらうぞ……!」
『いやいやいや、勝手に暴れ回って勝てるような相手じゃないでしょうアレ……!』
さっとサイドツーの肩より飛び降りたイデアさんは、次の瞬間既にレインの爆剣と拮抗していた。
「ぎぃ……!」
———がしかし、組み合っているイデアさんの背後より迫り来る『影』が。
『C-キャノン、次弾装填、砲身冷却完了』
Cキャノンと魔力式伝道接続されたサイドツーの、その操作系より漏れ出す機械音声。
———がしかし、概念弾は使わない。
操作系を少しばかり弄り、簡易換装の用意を進める。
『C-キャノン、自動小銃形態へ移行』
わずか2秒。
その間にも、イデアさんの背後よりには影が未だ有る。
『残り弾数:30』だのと曰う機械音声、次秒でディスプレイ上には、円状の残弾数表示が現れる。
煙で敵が見えない———そんな些細な問題も、サーモグラフィーカメラで既に克服済だ。
無駄な迷いはいらない、必要とあらば———イデアさんだって切り捨てる。
だが、最善は尽くす。これはイデアさんがそれを察知するだろうと踏まえての攻撃だ。
何の躊躇いもなく、その引き金をそっと引く。
『つまり、あなたを倒した先の道は、機神へと繋がっている、と』
「———知りたいのならば、我が身を打ち砕き後試してみよ。もはやこちらも後へは戻れぬ。……手駒を消費し切った後なので、な」
「やはりゴルゴダ機関隊員をロストに使っていたか———全く、どこまでも気色悪いヤツらだ」
———場の空気が、鉄のように冷たく重く変貌する。
それは誰かの覇気ではない、あの男———レインの重圧なのだ。
眼前にてただ有るだけで、そびえ立つ山の如き威圧を放つ男。
その覇気だけでも気絶してしまいそうなほどに、僕たち2人はそれに気圧されていたのだ。
……と。
「さあて……どうする?……貴様らは我が主に逆らった身———抗いには贖いを、どのような方法でその罪を拭う、人類よ?」
「どのような方法———そうだな、ちょうど俺も、どのような方法で貴様を嬲れば、機神への道を聞けるか模索していたところだ」
イデアさんが———その口で反撃し始める。
「話がまるで噛み合っていないではないか、やはりマトモに意思疎通も叶わぬ野蛮な下等生物、東大陸のゴミ溜めが貴様らにはお似合いだ。
……もっとも、貴様らの首は全て、我が主へと捧げるのだが」
「同じ人間、本質的にはどこも変わらんと言うのに———機神らに植え付けられた優生思想によって、自分らの方が上だと思い込んで驕り高ぶりやがって……どこまでも傲慢で滑稽で、自分勝手なスィナーだよ、貴様らは」
「我が身体は既に魂の枷を越え、神への道へと至った聖体。……傲慢で滑稽とは、その神への道も侮辱することになるが———」
「ならばますます滑稽じゃないか、神への道へと至った誰かさんが、こんなゴミ溜めのカスとまともに話し合ってくれるとは!……どこまでも滑稽だ、呆れすぎて笑いも起きん」
「なぁらば殺り合うか、下等生物に相応しい敗北の道を、貴様には未来永劫見せ続けてやろうとも。
貴様の首はお預けだぁ、なぜなら貴様はこの戦いにて敗北を期し、永遠にロストとして生き地獄を味わい続けるからだ……!」
「……っふ、ふはは、ははははははっ!!……ならばこちらも同意見だ、貴様のようなヤツとソリが合うなどとは俺ながら腹立たしいが……それでも貴様とはとことん殺り合いたい!
一切合切全て確実に殺し切ってやるぞ、プリーストっ!!!!」
気圧されていたのは、僕だけだったらしい。
一触即発、そんな状況はたった今終わりを告げた。
「……セン!……俺は久々に血が激ってきた!……勝手に暴れさせてもらうぞ……!」
『いやいやいや、勝手に暴れ回って勝てるような相手じゃないでしょうアレ……!』
さっとサイドツーの肩より飛び降りたイデアさんは、次の瞬間既にレインの爆剣と拮抗していた。
「ぎぃ……!」
———がしかし、組み合っているイデアさんの背後より迫り来る『影』が。
『C-キャノン、次弾装填、砲身冷却完了』
Cキャノンと魔力式伝道接続されたサイドツーの、その操作系より漏れ出す機械音声。
———がしかし、概念弾は使わない。
操作系を少しばかり弄り、簡易換装の用意を進める。
『C-キャノン、自動小銃形態へ移行』
わずか2秒。
その間にも、イデアさんの背後よりには影が未だ有る。
『残り弾数:30』だのと曰う機械音声、次秒でディスプレイ上には、円状の残弾数表示が現れる。
煙で敵が見えない———そんな些細な問題も、サーモグラフィーカメラで既に克服済だ。
無駄な迷いはいらない、必要とあらば———イデアさんだって切り捨てる。
だが、最善は尽くす。これはイデアさんがそれを察知するだろうと踏まえての攻撃だ。
何の躊躇いもなく、その引き金をそっと引く。
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