Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

奮起する人界軍

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「レイちゃん、残った人界軍……どれくらいいるのか、どこにいるのかとか……わかる?」

「分かるわけないでしょ、もう軍として活動するのは無理。陣形が崩れ、敵軍自軍の境界線が曖昧になった今となっては、個として自らを守りながらコイツらを殲滅するしか道はない。

 ……元より犠牲なしで終われるとは、私も思ってないし、サナもそうは思わないはずでしょ……!」


「そうね、イデアたちによって救われたことが奇跡だわ。……だからこそ、まだまだ戦わないとね……!」






 ———そんな彼女らを横目に。


「……さて、そういえば聞いてなかったが———貴様、名前は———」

「レイラっすよレイラ。……ったく、共闘する人の名前ぐらい、覚えたらどーなんすか!」

 不機嫌そうに怒鳴る少女———レイラを横目に、爆剣の投擲のタイミングを伺う。

 見据えるは、ロストのコア。
 コアの部分に当てれば、一撃で倒せるこの武器、ならば効率よく倒さない手などないじゃないか。


 しかし———気になるのはロストの量だ。
 何度倒そうったって、何度だって無尽蔵に湧いてくる。
 一体どこまで、ヤツらはロストを貯蔵している?

 一体いつになれば、ゴルゴダ機関の隊員は出てきて———、


「……ワレ…………ワレラガ…………シュ、ノ……タメ、ニ……」

 いつの間にやらイデアのそばに近づいていたロストは、そのような言葉を残す。




 ……そういうことか。

 使えない隊員なら、だと。
 そういう魂胆か、機神……!

 ……ならば意味はない、何度だって湧いてくるし、下手すれば民間人を使っている可能性だってある。

 ……ならば、早めに切り上げるべきか……!





「レイラ。……ロストの殲滅は諦めろ、多分ヤツらは、今この場でロストを作り出している……!」

「今この場でって……いや、なんで部外者が、ロストの生態を知って———」


「……とりあえず、この場は通過することが先決だ。マトモに戦っても意味がない、戦った時点で詰みだ……!」

「じゃあどうする気っすか、あの量のロストを切り抜けるなんて———」

「……いいや、できるさ。……世界最高峰の魔術師さんならな……!」






「ほぇ、私?……名前を呼ばれた気がしたんだけど……」

 名前を呼んだわけではないが、そのフレーズに反応して、サナはイデアの方に振り向く。




「そうだ、この場で戦ったところで、俺たちは体力を浪費するだけだ。……だからこそ、お前の爆裂魔法で……薙ぎ払って先に進む」

「強引ね、後から挟み撃ちにされても大丈夫なの?」

 レイが質問してくるのも分かる———が、コレはあくまで、俺が導き出した『最適解』なのだ。


「後のことは———その時になって考えればいい。……それに、進んだ先に待ち構える敵にロストをぶつけることだって可能だ。……そう考えれば、ここで停滞するよりかは幾分マシだと思うんだが?」

「…………妙に頭が回るのね、貴方って」

「———それを言うのも、今更な気もするがな」
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