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断章Ⅰ〜アローサル:ラークシャサ・ラージャー〜
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「コック、センたちの食糧、とってきた……!」
「あら家畜さん、ありがとうございます~!」
……今コックに家畜呼ばわりされた女の子は、世にも珍しい『獣人』の、くいなである。
獣人の特徴とも言えるモフモフの耳、尻尾! おまけに金髪!……そして貧乳。
露出の高い『着物』なる日ノ國の伝統の衣装を身につけた、和風の少女。
……ただ。
「ありがとう、くいな。いつも助かってるよ」
「……」
完全無視。
……コックのその魔力についてきたまでであり、この僕にはついてきたわけではない為、僕に対してはこの有り様である。
……ただ当の本人もコックからは家畜呼ばわりされているが。
このヘンテコ集団、いや、くいなは半分入っているようで入ってないものなのだが、今はこの4人で生活している。
僕たちも食糧がないからか、くいなが(なぜか)僕たちの分まで食糧とってきてくれるおかげで、生計を立てることができている。
だからこその金欠。僕たちは今、膨大な金を欲していた。
そんな最中に飛び込んで来た話———否、白さんが口にしたものは。
「魔武道大会、出るぞーーーーっ!」
「勝手に入ってこないでください、めちゃくちゃビックリしました」
僕には全くもって無縁だと思っていた、魔武道大会についての話だった。……と言うか、いきなり来るのは流石に少しビビる。
「……お?…誰だ、そいつら?……まあいっか、とりあえずセン、魔武道大会出て優勝するぞ!」
「……いや、僕が出たって勝てはしな……」
「大丈夫だって、バトルロイヤルなんだから俺がサポートする、優勝賞金だってお前らにやるからとりあえず出るぞ! 安心しろ、負けたって死にはしないから!」
「賞金が出るってなら……もちろんやりますよ、ただでさえコックの修復で金欠なんですから」
「マスター、いらしたのですね!」
「ああ———なあセン、コックの修復はいつになりそうだ? 修復が終わったら連れて行かせたい場所があってな」
「修復は……分かりません、後1年くらいはかかると……」
「おっけ、ありがとな、セン。それじゃまた2週間後、王都で会おう」
颯爽と、その人影は姿を消した。
********
そして、視点はまた白に移る。
……そう、魔武道大会は2週間後の王都にて。……否、王都を中心とした西大陸全域で行われる。
……まあ、まあ? 俺が出れば優勝は間違いなしだが?
だが、だがと、念の為にサナもセンも呼び寄せて、パーティを総動員させるのは、敵にあのイデア———兄さんとレイ……など、かつてしのぎを削って殺し合った化け物も混ざり込んでいるからだ。
……それにサナが、
「今の魔導大隊は私が育てたのよ! なんたって全員の力を合わせて黒騎士だって追い払えたくらいだから!」
……だとか言ってたし、そもそもこれはバトルロイヤル。相手が何人でチームを組んで、何人がかりで俺に襲いかかるか、だなんて分かりきったものじゃないからな……
……だからこそ、準備は怠るべきじゃない。確実に勝ってみせるさ……久しぶりだ、こんなにワクワクする戦いは…!
「あら家畜さん、ありがとうございます~!」
……今コックに家畜呼ばわりされた女の子は、世にも珍しい『獣人』の、くいなである。
獣人の特徴とも言えるモフモフの耳、尻尾! おまけに金髪!……そして貧乳。
露出の高い『着物』なる日ノ國の伝統の衣装を身につけた、和風の少女。
……ただ。
「ありがとう、くいな。いつも助かってるよ」
「……」
完全無視。
……コックのその魔力についてきたまでであり、この僕にはついてきたわけではない為、僕に対してはこの有り様である。
……ただ当の本人もコックからは家畜呼ばわりされているが。
このヘンテコ集団、いや、くいなは半分入っているようで入ってないものなのだが、今はこの4人で生活している。
僕たちも食糧がないからか、くいなが(なぜか)僕たちの分まで食糧とってきてくれるおかげで、生計を立てることができている。
だからこその金欠。僕たちは今、膨大な金を欲していた。
そんな最中に飛び込んで来た話———否、白さんが口にしたものは。
「魔武道大会、出るぞーーーーっ!」
「勝手に入ってこないでください、めちゃくちゃビックリしました」
僕には全くもって無縁だと思っていた、魔武道大会についての話だった。……と言うか、いきなり来るのは流石に少しビビる。
「……お?…誰だ、そいつら?……まあいっか、とりあえずセン、魔武道大会出て優勝するぞ!」
「……いや、僕が出たって勝てはしな……」
「大丈夫だって、バトルロイヤルなんだから俺がサポートする、優勝賞金だってお前らにやるからとりあえず出るぞ! 安心しろ、負けたって死にはしないから!」
「賞金が出るってなら……もちろんやりますよ、ただでさえコックの修復で金欠なんですから」
「マスター、いらしたのですね!」
「ああ———なあセン、コックの修復はいつになりそうだ? 修復が終わったら連れて行かせたい場所があってな」
「修復は……分かりません、後1年くらいはかかると……」
「おっけ、ありがとな、セン。それじゃまた2週間後、王都で会おう」
颯爽と、その人影は姿を消した。
********
そして、視点はまた白に移る。
……そう、魔武道大会は2週間後の王都にて。……否、王都を中心とした西大陸全域で行われる。
……まあ、まあ? 俺が出れば優勝は間違いなしだが?
だが、だがと、念の為にサナもセンも呼び寄せて、パーティを総動員させるのは、敵にあのイデア———兄さんとレイ……など、かつてしのぎを削って殺し合った化け物も混ざり込んでいるからだ。
……それにサナが、
「今の魔導大隊は私が育てたのよ! なんたって全員の力を合わせて黒騎士だって追い払えたくらいだから!」
……だとか言ってたし、そもそもこれはバトルロイヤル。相手が何人でチームを組んで、何人がかりで俺に襲いかかるか、だなんて分かりきったものじゃないからな……
……だからこそ、準備は怠るべきじゃない。確実に勝ってみせるさ……久しぶりだ、こんなにワクワクする戦いは…!
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