73 / 256
激震!勇魔最終戦争…!
『Ⅱ』の目覚め
しおりを挟む
*◇*◇*◇*◇
オリュンポスにて。
神々ですら、この異常事態には騒然としていた。……主神であるゼウスすら、
「何の異常事態だ、ポセイドン、海の様子は……ポセイドン、ポセイドン! 応答せよ!」
このザマであった。
とてもカミとは思えぬ揺らぎ様だが、裏を返せば、それほどまでに深刻な事態であるという証拠だった。
『███████』
———ポセイドンからの報告は、この通り。どこまでも黒いノイズに包まれていた。
「カイン、貴様が仕組んだか、この呪いは……!」
「ええ、終末戦争以来の素晴らしい機会。使わない訳がないでしょう。
世界を呪いで染める為に。エターナル、プランBの開始です」
*◇*◇*◇*◇
「……なんだ、コレ。何で俺……何も見えない……?」
突如として暗黒に染まった空に、全く辺りが見えず、白は慌てふためく。
……そこに。
「俺の声がわかるか?」
「……黒……!」
炎魔術で辺りを照らし、手を差し伸べてくれたのは黒だった。
「よくやったな、白。だがお前には、もう一仕事———やるべき事が増えた」
「この事態の収拾、か」
「もちろんだ。まず状況を説明しておかなくてはな」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……それで、魔王軍幹部、総勢6体より吹き出た呪力が、この世界を包み、今現在全てこの世界の中心、大穴に吸い込まれている、という状況でございます」
コックの迅速にも正確なる説明を、サナは集中して聞き込む。
「……いやコック、結局私にはその重大さが分からないんだけど」
「呪力です。しかもこの量ともなると、募らせた想いは『世界』そのものに向けられたものでしょう。
まさにその存在すらも呪うような……」
「つまり放っておいたら……世界がヤバいって事?!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……んで、俺は何をしろと。そんな呪いだなんて専門外。そもそも……刀で斬れるのか?」
「俺の師匠……お前の師匠でもある宗呪羅は、呪術に長けていたからこそ、少しその呪術を使ってもらった事があるんだが……斬れるには斬れる。だが、」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「呪力に対して、物理攻撃は効きにくい。そこで、サナ様の出番でございます」
「私? え、もしかして、最大級の魔術で吹き飛ばすとか……」
「大正解でございます!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ともあれ、アレが呪いの中心部だ」
浮遊法で浮かび上がり、黒が指差した先は…………暗黒だった。
「アレって言われたって、結局全部見えないんだから分かるわけないだろ……?」
「とりあえず、アレに触れでもしたら終わりだ。悪意に飲み込まれ、死ぬまで苦しむ羽目になるからな」
「じゃあ、どうすればいい……って……?」
「耐えるんだよ、現世界最強の魔術師の、到着までな」
*◇*◇*◇*◇
……そう、この騒ぎを巻き起こしたのは間違いなく、元魔王軍幹部、『ダークナイト』であり。
元殺生院、現ゴルゴダ機関の長、である『刹那』でもあった。
「プランB……まさか貴様、軍神アレスの死体を……この呪力反応……大穴か……っ!」
オリュンポスの主神、ゼウスすらも、このプランの進行については全くの予想外だった。
「もちろん。使えるものは全て使わせてもらいます」
「しかし、ここまでの呪いをどうやって貴様は……」
そう、世界中から降り注ぐ『呪い』であった。
「もうすぐにして、災厄の、呪詛の神は完成する。古き戦いにて散った軍神と、雑兵の腐った命。
そして先程散った魔王が、アベルがいつか置いてきた恨みの感情をもって。散ったオーディンに代わる新たな一柱、そしてエターナルの完全遂行の為に」
「我が同胞を……貴様……っ!」
大穴。魔王軍幹部、リーの死体が眠るその中にて。
「現在進行中の———戦争で散った怨念」、「大戦末期に死した軍神アレスの死体」、そしてそのカミを構成するに必要不可欠なマテリアルとして、「いつかの魔王が、アベル・セイバーが置いてきた、救世主としての怨み」。
この3つを基盤とし、今ここに、新たなるカミを生み出す呪術式が完成しようとしていた。
だからこそのプランB。
カミのもたらす呪いが、この世界を救うのだ。
「歌え、破滅を。踊れ、終末の2番手よ。
人類は、古き人類と時代は今日をもって、そのカタチごと終末へと向かう!!!!」
『Ⅱ』の、目覚め。
『終末』は、すぐ、そこに———。
オリュンポスにて。
神々ですら、この異常事態には騒然としていた。……主神であるゼウスすら、
「何の異常事態だ、ポセイドン、海の様子は……ポセイドン、ポセイドン! 応答せよ!」
このザマであった。
とてもカミとは思えぬ揺らぎ様だが、裏を返せば、それほどまでに深刻な事態であるという証拠だった。
『███████』
———ポセイドンからの報告は、この通り。どこまでも黒いノイズに包まれていた。
「カイン、貴様が仕組んだか、この呪いは……!」
「ええ、終末戦争以来の素晴らしい機会。使わない訳がないでしょう。
世界を呪いで染める為に。エターナル、プランBの開始です」
*◇*◇*◇*◇
「……なんだ、コレ。何で俺……何も見えない……?」
突如として暗黒に染まった空に、全く辺りが見えず、白は慌てふためく。
……そこに。
「俺の声がわかるか?」
「……黒……!」
炎魔術で辺りを照らし、手を差し伸べてくれたのは黒だった。
「よくやったな、白。だがお前には、もう一仕事———やるべき事が増えた」
「この事態の収拾、か」
「もちろんだ。まず状況を説明しておかなくてはな」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……それで、魔王軍幹部、総勢6体より吹き出た呪力が、この世界を包み、今現在全てこの世界の中心、大穴に吸い込まれている、という状況でございます」
コックの迅速にも正確なる説明を、サナは集中して聞き込む。
「……いやコック、結局私にはその重大さが分からないんだけど」
「呪力です。しかもこの量ともなると、募らせた想いは『世界』そのものに向けられたものでしょう。
まさにその存在すらも呪うような……」
「つまり放っておいたら……世界がヤバいって事?!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……んで、俺は何をしろと。そんな呪いだなんて専門外。そもそも……刀で斬れるのか?」
「俺の師匠……お前の師匠でもある宗呪羅は、呪術に長けていたからこそ、少しその呪術を使ってもらった事があるんだが……斬れるには斬れる。だが、」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「呪力に対して、物理攻撃は効きにくい。そこで、サナ様の出番でございます」
「私? え、もしかして、最大級の魔術で吹き飛ばすとか……」
「大正解でございます!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ともあれ、アレが呪いの中心部だ」
浮遊法で浮かび上がり、黒が指差した先は…………暗黒だった。
「アレって言われたって、結局全部見えないんだから分かるわけないだろ……?」
「とりあえず、アレに触れでもしたら終わりだ。悪意に飲み込まれ、死ぬまで苦しむ羽目になるからな」
「じゃあ、どうすればいい……って……?」
「耐えるんだよ、現世界最強の魔術師の、到着までな」
*◇*◇*◇*◇
……そう、この騒ぎを巻き起こしたのは間違いなく、元魔王軍幹部、『ダークナイト』であり。
元殺生院、現ゴルゴダ機関の長、である『刹那』でもあった。
「プランB……まさか貴様、軍神アレスの死体を……この呪力反応……大穴か……っ!」
オリュンポスの主神、ゼウスすらも、このプランの進行については全くの予想外だった。
「もちろん。使えるものは全て使わせてもらいます」
「しかし、ここまでの呪いをどうやって貴様は……」
そう、世界中から降り注ぐ『呪い』であった。
「もうすぐにして、災厄の、呪詛の神は完成する。古き戦いにて散った軍神と、雑兵の腐った命。
そして先程散った魔王が、アベルがいつか置いてきた恨みの感情をもって。散ったオーディンに代わる新たな一柱、そしてエターナルの完全遂行の為に」
「我が同胞を……貴様……っ!」
大穴。魔王軍幹部、リーの死体が眠るその中にて。
「現在進行中の———戦争で散った怨念」、「大戦末期に死した軍神アレスの死体」、そしてそのカミを構成するに必要不可欠なマテリアルとして、「いつかの魔王が、アベル・セイバーが置いてきた、救世主としての怨み」。
この3つを基盤とし、今ここに、新たなるカミを生み出す呪術式が完成しようとしていた。
だからこそのプランB。
カミのもたらす呪いが、この世界を救うのだ。
「歌え、破滅を。踊れ、終末の2番手よ。
人類は、古き人類と時代は今日をもって、そのカタチごと終末へと向かう!!!!」
『Ⅱ』の、目覚め。
『終末』は、すぐ、そこに———。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
グレイス・サガ ~ルーフェイア/戦場で育った少女の、夢と学園と運命の物語~
こっこ
ファンタジー
◇街角で、その少女は泣いていた……。出会った少年は、夢への入り口か。◇
戦いの中で育った少女、ルーフェイア。彼女は用があって立ち寄った町で、少年イマドと出会う。
そしてルーフェイアはイマドに連れられ、シエラ学園へ。ついに念願の学園生活が始まる。
◇◇第16回ファンタジー大賞、応募中です。応援していただけたら嬉しいです
◇◇一人称(たまに三人称)ですが、語り手が変わります。
誰の視点かは「◇(名前)」という形で書かれていますので、参考にしてください
◇◇コンテスト期間中(9月末まで)は、このペースで更新していると思います
しおり機能で、読んだ場所までジャンプするのを推奨です…




サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる