Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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激震!勇魔最終戦争…!

激震オリュンポス

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◆◇◆◇◆◇◆◇


 一方その頃。
 王都唯一の鍛冶屋では、ある作業が行われていた。
 センと、その祖父であるスザクと、王都きっての鍛治職人、サンによる共同作業。

『アルビオン・プロテクト・アーマー』の概念修復、及び最終決戦用調整であった。
 センの祖父であるスザクは、アーマー自体のガワの修復、及び塗装。

 サンとセンはそれぞれ、魔力回路、付与概念修復に明け暮れていた。


 純白にして、白銀の鎧は完成しつつあり。
 白にとって、最善の魔力回路建造方式、隠蔽された概念の奥底『エクスカリバー』の修復完了も、間近に迫っていた———。








 トランスフィールド。いくつもの小さな諸国から成り立つ東大陸最悪の戦争地帯。

 東大陸中央に眠る、伝説に語り継がれた『ムゲンエナジー』を求めて、数百年戦争続きの地帯だったが、この時は違った。

 それは、先に攻めてきた魔王軍の来襲により、その諸国のほとんどが手を結んだ、という点にあった。
 事実、白たちがカーネイジと争っている際にも、彼らはすでに力を合わせ魔王軍を撃退していた。

 そんな彼らは、人界軍の襲来に驚きはしたが、その中にいる人間を見ればすぐさま打ち解けてくれた。
 ……『火薬草原』などという最悪の異名が、まるでなかったかのように。








◆◇◆◇◆◇◆◇


 帝都オリュンポス。
 機神の住まう都にして、東大陸に1つ浮かぶ浮遊神殿要塞。その地下深くにて。


は、動き出したか」

 暗い、配線に塗れた部屋にて、男……いや、カミの一柱は呟く。


「アフロディーテ、オリュンポスの高度を上げよ。あの魔槍は、こちらにとっても厄介な物だ」

『しかし……一発目の着弾は免れないかと……』

「構わん。転移術式に失敗し数多く被弾するよりは多少良い。そのまま高度を上げよ」

『承知いたしました』


 この出来事には、あろうことか「カミ」すらも騒然としていた。
 なぜなら、星を貫く魔槍が、神殿要塞都市山オリュンポスに11基も降り注ぐのだから。



 あの、アテナ・を一撃で堕としてみせた魔槍。

 どれだけ強固な魔力障壁、神力障壁であろうが、その魔槍の前には無力である。

「我々すら凌駕しつつある術式とは……貴様ほど出鱈目な者が他にも存在するとはな、よ」


「今は、、でございます、主神よ」


「捨てたのではなかったか、その名は」

「いいや、昔の名はあまり忘れないものでして、特に、2は」

「エターナルは順調か」

「……主神よ、今はそれどころではないのでは?」

「そうだな、まずはを殺す事に集中しようか」


 地が震える地響き。
 西の空には、既に地獄の赤模様が広がっていた。

「黄昏時は……終わりを告げる……か」






◇◆◇◆◇◆◇◆

「直上に超巨大魔力反応確認、間違いなく、ガイア・コンソールです……! どうか指示を、マスター」

「指示を……つったって、また転移すればいいだけじゃ」


「既知座標に転移するか、ランダム転移のどちらかです。お選びを」
「既知座標で。前の王都の場所へ」
「承諾。座標認識、改竄……」


 景色は目まぐるしく変わる。
 ……消し炭にされてあの世に送られるよりマシだが。


「…………ハッ、衝撃に備えてください! 転移する数秒前、こちらにも一基落ちていたよ…………うです……!」


 窓から覗き見えた外の光景は凄まじいものであった。
 墜落したと思われる光の断裂層に吸い込まれてゆく全ての物質。

 風と共に、全てが揺られ落ちてゆく。
 まるで地上にぽっかり、何もない虚無の穴が空いたかのような凄まじい光景。

 魔族のものであるが、まさに神の芸当。
 天罰、と言われても差し支えのない威力であった事は当然だろう。

 へこみ切った地面より噴き出す赤い液体。
 ……おそらくマグマ、というやつなのだろうが、まるでこの星自体が血を流しているかのような壮大さだった。




「マスター、私の残存魔力量はもうすぐに尽きます……後はアルビオンアーマーの完成を急ぐのみ……魔王軍の残党にご注意を……」

「あ、ありがとうコック。お前は十分よく戦った。後は俺が……」

「ありがたきお言葉です、マスター。私は少し休ませていただきます」

 墜落する飛行都市。
 しかし幸いにもその衝撃は少なかったが、場の全てのものに衝撃が走ったのは、次の兄さんの一言だった。


「…………来る。もう1基、あの魔槍が」
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