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激震!勇魔最終戦争…!
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◆◇◆◇◆◇◆◇
「……! 大規模魔力障壁に異常発生! 外部からの攻撃です!」
「ならば俺が応戦する、アレンの代わりになるのは俺だけだ———」
「いいえ、ここは耐えてみせます。おそらくこの攻撃は時間稼ぎ……着弾するまでの時間稼ぎです。だからイデア様、行かれない方がよろしいかと……」
「だったら別のやつに意見を求めるさ、おい、人界王! 俺たちはどうすればいい? お前は王なんだろ、少しぐらい指示を出したらどうだ?」
「貴様……王に対して無礼な!」
黒の甲冑に身を包んだ女騎士が水を差す。
「それしか言えんのか、つまらん騎士だ。……同じ近衛騎士団長のレイより、よっぽどつまらんヤツめ」
「よい、許せライ。今は我々身内同士で争っている場合ではない。今は2年前の処刑の日ではないんだぞ。
……して、イデア。我は待機を命ずる。待機だ。全軍待機」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「……それで、おじさん、勝手に1人で死ぬことは俺が許さないからな」
「こんな老いぼれを救って何になると……」
ジャンおじさんを担いだまま空をに浮かぶ王都へ向かう。もはや王都は空飛ぶ要塞だ。
側から見たらかなりシュールな光景だろうがそんなものは気にしない。
……と。連続した魔力弾の音が聞こえる。
地上からだろうが、今から地上には何も残らなくなるってのに、なぜ奴らは未だに地上から攻撃を続けている……?
……いや、そもそもそれは問題じゃない。
『あの小部隊が、本当に魔王軍の全軍なのか』、それが問題だ。
いくら世界各国にある国の1つとて、こちらは魔王軍幹部を全滅させた(扱い)になっているのは確か。
ダークナイトが死んだという嘘の報告も既に伝わっているはず、ならばあんな小部隊1つで人界軍を足止めできると魔王は考えるか。
……否、断じて否である。
「おじさん、王城に着地するから、そっちは避難用シェルターに逃げてくれ、俺は城内に行ってくる」
「見ないうちに……たくましくなったな」
「今はそんな思い出話をしてる暇はないんだ、ごめん」
「……行くのか? あの魔王城へと」
「もちろん、昔から俺には、戦うことしか生きる理由が———いや、違うな。
大切な人を守るために、俺は行くよ、おじさん」
王城前に着地するや否や、おじさんを下ろしすぐにその木製の門を突き破る。もはや悠長に開ける暇もないほどに、俺の心は焦っていた。
「コック、どこでもいい、とりあえず転移してくれ! 既知座標じゃなくていい! とりあえずどこでもいいから転移してくれ!」
「マスター?! 生きていらっしゃったのは嬉しい限りですが、いきなりどうされたのですか?! まだ着弾までタイムリミットは……」
「サナとジェーンさんは……いるな、とりあえず手遅れになる前に転移してくれ、今す……おわっ?!」
城が、人類最後の世界、領域が揺れる。
白の危惧したさらなる時間稼ぎである。
「……上空に魔力反応を多数検知。白! あなたの判断は正解だったみたいよ!……この私も気付かないなんて……コック! とりあえず早く転移お願い!」
「最悪宇宙に放り出されますが……このまま消し炭になるよりは……!
座標認識、改竄……境界線:不定義。転移直後は、一緒に転移してきた敵の迎撃をお願いします……!」
先程まで続いていた爆音が一気に小さくなり、場は静寂の最中にあった。
「……座標認識……東大陸……トランスフィールド……です……!」
王の側で跪いていたレイとライ(初めて王に謁見した時、付き添っていた女騎士の名前らしい)がすぐさま外へ飛び出し、付いてきた魔王軍の残党を蹴散らしに向かう。
「ナイスよコック!……ああ、いいや、実はもっとやばいかも……」
「いいや、妙な非魔術兵器を扱うトランスフィールド諸国すらも、この異変には気付いているであろう。むしろコックとやら、ここには例の魔槍は落ちるのか?」
沈黙を貫いていた人界王が、コックに向けて質問する。
そもそも、トランスフィールドが何なのかすら、白には分からないが。
「……1時間後、1時間後に、ここにも落ちます。しかしここが最後、魔王城から遠く離れたこの地が最後の墜落予定地と思われます」
「ならばコックよ、人界王が命ずる。王都を下げよ。下の者の救出を行う」
「人界王よ、それは本気ですか? あまつさえ数百年も戦争続きの大地にこの地を降ろすと……?」
「よい、サナよ、魔導大隊指揮官サナ・グレイフォーバスよ。今は人類で歪みあっている場合ではない。そうしなければ、それこそ本当に終末戦争の、二の舞だ」
「……! 大規模魔力障壁に異常発生! 外部からの攻撃です!」
「ならば俺が応戦する、アレンの代わりになるのは俺だけだ———」
「いいえ、ここは耐えてみせます。おそらくこの攻撃は時間稼ぎ……着弾するまでの時間稼ぎです。だからイデア様、行かれない方がよろしいかと……」
「だったら別のやつに意見を求めるさ、おい、人界王! 俺たちはどうすればいい? お前は王なんだろ、少しぐらい指示を出したらどうだ?」
「貴様……王に対して無礼な!」
黒の甲冑に身を包んだ女騎士が水を差す。
「それしか言えんのか、つまらん騎士だ。……同じ近衛騎士団長のレイより、よっぽどつまらんヤツめ」
「よい、許せライ。今は我々身内同士で争っている場合ではない。今は2年前の処刑の日ではないんだぞ。
……して、イデア。我は待機を命ずる。待機だ。全軍待機」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「……それで、おじさん、勝手に1人で死ぬことは俺が許さないからな」
「こんな老いぼれを救って何になると……」
ジャンおじさんを担いだまま空をに浮かぶ王都へ向かう。もはや王都は空飛ぶ要塞だ。
側から見たらかなりシュールな光景だろうがそんなものは気にしない。
……と。連続した魔力弾の音が聞こえる。
地上からだろうが、今から地上には何も残らなくなるってのに、なぜ奴らは未だに地上から攻撃を続けている……?
……いや、そもそもそれは問題じゃない。
『あの小部隊が、本当に魔王軍の全軍なのか』、それが問題だ。
いくら世界各国にある国の1つとて、こちらは魔王軍幹部を全滅させた(扱い)になっているのは確か。
ダークナイトが死んだという嘘の報告も既に伝わっているはず、ならばあんな小部隊1つで人界軍を足止めできると魔王は考えるか。
……否、断じて否である。
「おじさん、王城に着地するから、そっちは避難用シェルターに逃げてくれ、俺は城内に行ってくる」
「見ないうちに……たくましくなったな」
「今はそんな思い出話をしてる暇はないんだ、ごめん」
「……行くのか? あの魔王城へと」
「もちろん、昔から俺には、戦うことしか生きる理由が———いや、違うな。
大切な人を守るために、俺は行くよ、おじさん」
王城前に着地するや否や、おじさんを下ろしすぐにその木製の門を突き破る。もはや悠長に開ける暇もないほどに、俺の心は焦っていた。
「コック、どこでもいい、とりあえず転移してくれ! 既知座標じゃなくていい! とりあえずどこでもいいから転移してくれ!」
「マスター?! 生きていらっしゃったのは嬉しい限りですが、いきなりどうされたのですか?! まだ着弾までタイムリミットは……」
「サナとジェーンさんは……いるな、とりあえず手遅れになる前に転移してくれ、今す……おわっ?!」
城が、人類最後の世界、領域が揺れる。
白の危惧したさらなる時間稼ぎである。
「……上空に魔力反応を多数検知。白! あなたの判断は正解だったみたいよ!……この私も気付かないなんて……コック! とりあえず早く転移お願い!」
「最悪宇宙に放り出されますが……このまま消し炭になるよりは……!
座標認識、改竄……境界線:不定義。転移直後は、一緒に転移してきた敵の迎撃をお願いします……!」
先程まで続いていた爆音が一気に小さくなり、場は静寂の最中にあった。
「……座標認識……東大陸……トランスフィールド……です……!」
王の側で跪いていたレイとライ(初めて王に謁見した時、付き添っていた女騎士の名前らしい)がすぐさま外へ飛び出し、付いてきた魔王軍の残党を蹴散らしに向かう。
「ナイスよコック!……ああ、いいや、実はもっとやばいかも……」
「いいや、妙な非魔術兵器を扱うトランスフィールド諸国すらも、この異変には気付いているであろう。むしろコックとやら、ここには例の魔槍は落ちるのか?」
沈黙を貫いていた人界王が、コックに向けて質問する。
そもそも、トランスフィールドが何なのかすら、白には分からないが。
「……1時間後、1時間後に、ここにも落ちます。しかしここが最後、魔王城から遠く離れたこの地が最後の墜落予定地と思われます」
「ならばコックよ、人界王が命ずる。王都を下げよ。下の者の救出を行う」
「人界王よ、それは本気ですか? あまつさえ数百年も戦争続きの大地にこの地を降ろすと……?」
「よい、サナよ、魔導大隊指揮官サナ・グレイフォーバスよ。今は人類で歪みあっている場合ではない。そうしなければ、それこそ本当に終末戦争の、二の舞だ」
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