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番外編
家出した先輩 と おまけ
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私の六畳一間のワンルームアパートで、私の目の前にちょこんと座り込む横家未散先輩……否、笹森未散先輩。
土曜の夜にいきなり電話が来て何かと思えば
「美香ちゃん、今晩泊めて~~」
すがるように言われ、了承した。
先輩が落ち着いたところで尋ねてみる。
「で、何があったんです?」
「……下らないこと、です」
ばつが悪そうに視線を下げ小さな声でぼそぼそと喋る先輩は、明らかにいつもとテンションが違う。
「言ってくれなきゃわからないじゃないですか。あんなカッコいい旦那さんほったらかしてなんでうちなんかに来てるんです?」
「だってほんとに下らないから言ったら馬鹿にされる……」
「そう言われたら逆にすごく気になるんですけどっ」
先輩は虚ろな目ではあああ、と大きく溜息をついた。
「ジャージ、捨てられたの……」
「は?」
「部屋着のジャージ……」
私の頭の中に「?」が浮かぶ。
「……それの何が喧嘩の原因になるんですか?」
「す、捨てようとは思ってたんだよ。新しいジャージ買ったから捨てるつもりだったの。でもやっぱ愛着あるからなかなか捨てられなくて古いジャージばっかり着てたのね。そしたら今日、私が一人で買い物行って帰ってきたら柊さんが古いジャージ捨てちゃってて」
「いいじゃないですか、新しいのあるんでしょう?」
「うんまあ……」
「何を怒ることあるんですか?」
「……なんか、長年連れ添った相棒と急にお別れしちゃったみたいな感じが…せめて最後にお別れを言いたかったというか……」
「……ジャージに?」
「捨てるなら一言言っておいてくれてもいいのに、『言うとお前捨てるなって言うだろ』て柊さんに言われて。確かにそうなんだけど、勝手に捨てるなんて酷い!て私プチ切れしまして」
「……」
「そこで軽く言い争いになって、勢いで出てきちゃった……」
先輩は顔を歪ませて床に突っ伏した。この様子だと後悔はしているみたい。
多分私、今凄い間抜けな顔してる。
「アホじゃ、先輩はアホじゃ」
「ごもっともです……」
「あんな素敵な結婚式で熱烈なキスを交わしておきながらそんなちっちゃいことでキレるなんて、アホ過ぎです!!」
「うわあああ!! 忘れて忘れて!! あれは柊さんがふざけてっ!!」
先輩が顔を真っ赤にして取り乱す。
いや本当に熱烈なキスだったのよ。先輩は腰が引けてたけど。見ている周りが恥ずかしくなっちゃって。
冷蔵庫からビールを取り出して先輩の前に置く。
「よかったらどーぞ!」
「ありがとう美香ちゃん……」
先輩が申し訳無さげにビールをちびちび飲み出す。
この隙に、三上さんにLINEで現状を報告する。三上さんを中継して笹森さんに連絡してくれるよう頼む。私笹森さんの連絡先知りませんから。
こんなアホな理由でプチ家出する先輩って、面白いな。笹森さんはこんなところに惚れたのかな。
まあ、飽きないよね。
総務にいるときから先輩はちょっと面白い人だった。
ある日の昼食に、先輩は給湯室に置いてあった醤油を掛けながら、スプーンで木綿豆腐丸ごと一丁をプラスチックの青いケースから直接食べていた。
思わず二度見した。
「今日はお金がないから昼はこれだけ」
と言われ、先輩どんな生活してんですかと質問しようとしたが、止めた。
後で聞いたら、
「有り金株につぎ込んだのよね~」
と笑いながら言っていた。なんて綱渡りな生活してんだこの人は。と呆れたなあの時は。
その先輩がまさか社内でもトップクラスのイケメン高スペックの笹森さんと結婚しちゃうんだから人生って分からない。
その昔私も憧れだけで勢いに任せて笹森さんに告白した事もあったなぁ……今となっては懐かしい。
でも先輩がいなかったら三上さんと知り合うきっかけも無かったわけで。
三上さんを見て一目惚れをしてしまった私。
そこから若干しつこい感じで飲みに誘い、なんとか連絡先ゲット。何回かご飯を食べに行ったりしたけど、なかなか恋愛モードにはならないなあ。手強いぜ、三上。
と、その時スマホにLINEの着信が。三上さんだ。
【笹森さんに伝えておいたよ】
さんきゅー三上さん!
これであとは旦那様が奥様を回収に来てくれるのを待つだけよ。私の企みも知らず、先輩はビール飲んでTVを見ながら笑ってる。
一時間位経過しただろうか。
「うちの妻がご迷惑をお掛けしました」
と、こんな時間にどこで調達したのか手土産を持った笹森さんがやってきた。
「いえいえ、迷惑だなんてめっそうもない。楽しくお喋りしてました」
「すまんね、風祭さん」
申し訳なさそうに笑う笹森さんを部屋に入れると、旦那さんの姿を見てギョッとする先輩。
「なっ、なんで??美香ちゃん裏切ったな!!」
「理由がくだらないんで、さっさと仲直りした方がいいと思ったんですよ!」
白い目で先輩を見れば「うっ」とばかりに肩を竦めた。そんな先輩に手を差し伸べるイケメンの旦那様。
「勝手に捨てたのは俺も悪かったから。ほら、未散。帰るぞ」
「ご、ごめんなさい…。私も柊さんの事エロ営業マンとか言って…」
「先輩、そんな事言ったの…?」
「だって…」
「もういいから。実際エロイし」
ああ、笹森さん。そんなカミングアウトいらない。
「さー、先輩。仲直りの続きは車の中でどうぞ!」
先輩をぐいぐい笹森さんに押しやる。
「美香ちゃん、ごめん。ありがとう」
「風祭さんありがとな」
「いえいえ」
笹森さんに手を引かれ、先輩は帰って行った。
……なんだかんだ言って、ラブラブだよあの二人。会社ではあまり接しないようにしてるけどね。笹森さんは先輩見つけると表情が緩むもん。先輩はまあ、見た感じいつも通りだけど…わざとかな?
いいな、愛されてて。
「私も恋人欲しい……」
一人でビールを煽って一人掛けのソファーに沈み込むと、LINEが。
お、再び三上さん。
【 笹森さん来た? 】
【さっき来て先輩連れて帰ったとこです。連絡ありがとうございました】
すぐ返信する。
【 よかった。笹森さんにTELしたらすげー心配してたから。】
【 仲良いですよねー。羨ましいです。しかも喧嘩の理由凄いアホな理由でした(-_-;)】
【そうなんだ。あの二人面白いな。ところで明日は何してる?】
えっ
三上さんにこんなこと聞かれるの初めてだ。
【 特に予定は無いです 】
【じゃあ、良かったら一緒に出掛ける?】
……ええっ!?
胸が躍りだす。
【 出かけます! 】
【 んじゃ11時に○○駅で 】
【 はい! 】
スマホをテーブルに置いて、一呼吸置く。
……や…
やったあああーーーー!!
あ、じゃ、じゃあ顔にパックしなきゃ!!こんなことなら今日美容院行っとけばよかった!!
ネイルもして…、服、服は何着て行こう?ああ、時間が足りないー!
いろんな意味で今夜私寝られるかな…?
**** おまけ (ただ新婚夫婦がいちゃついてるだけ) ****
「ごめんなさい…」
「もういいって」
車の中で何度も謝った。柊さんは笑って許してくれたけど、何だか申し訳ない。
だったら自分が出ていくんじゃねーよ!という突っ込みはさて置き。
家に戻ってきて、ソファーに座る柊さんの隣に自分も座る。
「あの、柊さん。お詫びを兼ねて何か私に仕事とか言いつけて下さい!大掃除でもいいし明日の夕飯で柊さんの食べたいもの何でも作りますんで」
「だったら未散がベッドでいつもより頑張ってくれたら嬉しい」
「……え?」
柊さんがにこ、と笑うと私の耳に息を吹き掛けた。
「きゃーー!!」
反射的に耳を押えて柊さんから距離を取る。
「ほんと弱いなぁ、耳」
と言いながら柊さんが近づき、L字型のソファーのコーナーに追い込まれた。
「ここでする?」
「……べ、ベッドでお願いします」
「了解」
寝室に連れてこられ、ベッドに腰掛けた柊さんがニヤニヤしながら私の出方を待っている。
あんまり期待しないで。
「ど、どのような感じがお好みですか?」
「好みなのは未散さん」
「……っ、そ、そうじゃなくてっ……」
「未散には難しい注文だったかな?」
……
「そんなこと、無いですよ?」
ちょっとだけ負けず嫌いの自分が顔を出した。
「じゃあ、下着だけになって俺に乗って」
「……はい」
柊さんに言われるがままブラとショーツだけになって、Tシャツとジャージを穿いてベッドに横たわる柊さんに跨がった。
「キスして」
「…はい」
もう、四の五の言わずに柊さんに口づけた。
口づけた瞬間に柊さんの舌が入り込み、私の舌と絡まる。しばらく舌を絡ませ合ってから柊さんが私の身体を抱きしめると上半身を起こし、向きを変え激しく唇を貪り出した。
…私が頑張るんじゃなかったっけ…?
キスをしながらぼんやりそんなことを考えていると、
パチンとブラが外され、露出した胸を片手で揉みしだかれながら、反対の胸は先端をじっとりと舐められ声が上がる。
「あっん…」
「もうこんなに立ってる」
柊さんが指で乳首を擦りあげるとビリビリとした快感が身体を駆け抜け、思わず仰け反る。すぐさま乳房を食むように吸われ、声が止まらない。
「んっ…ああっ……しゅ、柊さんっ……」
柊さんの指が、ショーツの中に侵入する。既に潤っているそこに指が入るとくちゅくちゅと音がする。
身体が、熱い。
「あんっ……」
「未散、もうこんなに濡れてるんだけど」
嬉しそうに口角を上げた柊さんは、私の顔をちらりと見ると再び乳首に吸い付いた。激しく吸われたり、舐められたりを繰り返され柊さんの指が奏でる水音の水量が増す。それが自分でよくわかるから、余計恥ずかしい。
「……じゃ、このあとは未散に頑張ってもらおうかな」
乳房から口を離した柊さんが着ているものを脱ぎ去り、私のショーツも取り去った。
「未散、上になって」
「う、は、はい……」
ぬぷ。と十分に潤っている自分の股間に柊さんのモノを宛がい、ゆっくり腰を落として奥まで入れる。
「んっ……はぁっ」
「動いて」
「はい……」
下手くそながらも動くけど、これ、柊さん気持ちいいのかな…?
表情は、まぁまぁ気持ち良さそう…かな?というか、私動きが気になっちゃってなんか行為に集中できない。
「しゅ、柊さん、やっぱり柊さんが上の方が…」
「ん……これはこれでいいんだけどなー…未散の揺れる胸が見れて楽しいし」
「……柊さんっ!」
一度彼が私から出ると、くるりと体勢が逆転する。
「でもやっぱり、密着してる方が好きだ」
にっこり笑いながら上になった柊さんが再び私に入ると、私は彼の脇の下から背中に腕を回しぎゅっとしがみつく。
「柊さん…好きっ」
「できたら今度は『愛してる』って言って?」
「え、しゅ…あっ…んっ」
柊さんの動きが激しくなって、言葉が続かない。
「ほら、愛してるは?」
楽しそうに柊さんは言うけど、子宮への刺激とさりげなく乳首にも刺激が与えられて、喘ぎ声しか出ない。
これは絶対、遊ばれてる。
「未散、愛してるよ」
先に言われたっ。こっ…このエロ営業マンが……!!
これに懲りて自分からキレて家出をするのは止めよう、と私は心に誓った。
土曜の夜にいきなり電話が来て何かと思えば
「美香ちゃん、今晩泊めて~~」
すがるように言われ、了承した。
先輩が落ち着いたところで尋ねてみる。
「で、何があったんです?」
「……下らないこと、です」
ばつが悪そうに視線を下げ小さな声でぼそぼそと喋る先輩は、明らかにいつもとテンションが違う。
「言ってくれなきゃわからないじゃないですか。あんなカッコいい旦那さんほったらかしてなんでうちなんかに来てるんです?」
「だってほんとに下らないから言ったら馬鹿にされる……」
「そう言われたら逆にすごく気になるんですけどっ」
先輩は虚ろな目ではあああ、と大きく溜息をついた。
「ジャージ、捨てられたの……」
「は?」
「部屋着のジャージ……」
私の頭の中に「?」が浮かぶ。
「……それの何が喧嘩の原因になるんですか?」
「す、捨てようとは思ってたんだよ。新しいジャージ買ったから捨てるつもりだったの。でもやっぱ愛着あるからなかなか捨てられなくて古いジャージばっかり着てたのね。そしたら今日、私が一人で買い物行って帰ってきたら柊さんが古いジャージ捨てちゃってて」
「いいじゃないですか、新しいのあるんでしょう?」
「うんまあ……」
「何を怒ることあるんですか?」
「……なんか、長年連れ添った相棒と急にお別れしちゃったみたいな感じが…せめて最後にお別れを言いたかったというか……」
「……ジャージに?」
「捨てるなら一言言っておいてくれてもいいのに、『言うとお前捨てるなって言うだろ』て柊さんに言われて。確かにそうなんだけど、勝手に捨てるなんて酷い!て私プチ切れしまして」
「……」
「そこで軽く言い争いになって、勢いで出てきちゃった……」
先輩は顔を歪ませて床に突っ伏した。この様子だと後悔はしているみたい。
多分私、今凄い間抜けな顔してる。
「アホじゃ、先輩はアホじゃ」
「ごもっともです……」
「あんな素敵な結婚式で熱烈なキスを交わしておきながらそんなちっちゃいことでキレるなんて、アホ過ぎです!!」
「うわあああ!! 忘れて忘れて!! あれは柊さんがふざけてっ!!」
先輩が顔を真っ赤にして取り乱す。
いや本当に熱烈なキスだったのよ。先輩は腰が引けてたけど。見ている周りが恥ずかしくなっちゃって。
冷蔵庫からビールを取り出して先輩の前に置く。
「よかったらどーぞ!」
「ありがとう美香ちゃん……」
先輩が申し訳無さげにビールをちびちび飲み出す。
この隙に、三上さんにLINEで現状を報告する。三上さんを中継して笹森さんに連絡してくれるよう頼む。私笹森さんの連絡先知りませんから。
こんなアホな理由でプチ家出する先輩って、面白いな。笹森さんはこんなところに惚れたのかな。
まあ、飽きないよね。
総務にいるときから先輩はちょっと面白い人だった。
ある日の昼食に、先輩は給湯室に置いてあった醤油を掛けながら、スプーンで木綿豆腐丸ごと一丁をプラスチックの青いケースから直接食べていた。
思わず二度見した。
「今日はお金がないから昼はこれだけ」
と言われ、先輩どんな生活してんですかと質問しようとしたが、止めた。
後で聞いたら、
「有り金株につぎ込んだのよね~」
と笑いながら言っていた。なんて綱渡りな生活してんだこの人は。と呆れたなあの時は。
その先輩がまさか社内でもトップクラスのイケメン高スペックの笹森さんと結婚しちゃうんだから人生って分からない。
その昔私も憧れだけで勢いに任せて笹森さんに告白した事もあったなぁ……今となっては懐かしい。
でも先輩がいなかったら三上さんと知り合うきっかけも無かったわけで。
三上さんを見て一目惚れをしてしまった私。
そこから若干しつこい感じで飲みに誘い、なんとか連絡先ゲット。何回かご飯を食べに行ったりしたけど、なかなか恋愛モードにはならないなあ。手強いぜ、三上。
と、その時スマホにLINEの着信が。三上さんだ。
【笹森さんに伝えておいたよ】
さんきゅー三上さん!
これであとは旦那様が奥様を回収に来てくれるのを待つだけよ。私の企みも知らず、先輩はビール飲んでTVを見ながら笑ってる。
一時間位経過しただろうか。
「うちの妻がご迷惑をお掛けしました」
と、こんな時間にどこで調達したのか手土産を持った笹森さんがやってきた。
「いえいえ、迷惑だなんてめっそうもない。楽しくお喋りしてました」
「すまんね、風祭さん」
申し訳なさそうに笑う笹森さんを部屋に入れると、旦那さんの姿を見てギョッとする先輩。
「なっ、なんで??美香ちゃん裏切ったな!!」
「理由がくだらないんで、さっさと仲直りした方がいいと思ったんですよ!」
白い目で先輩を見れば「うっ」とばかりに肩を竦めた。そんな先輩に手を差し伸べるイケメンの旦那様。
「勝手に捨てたのは俺も悪かったから。ほら、未散。帰るぞ」
「ご、ごめんなさい…。私も柊さんの事エロ営業マンとか言って…」
「先輩、そんな事言ったの…?」
「だって…」
「もういいから。実際エロイし」
ああ、笹森さん。そんなカミングアウトいらない。
「さー、先輩。仲直りの続きは車の中でどうぞ!」
先輩をぐいぐい笹森さんに押しやる。
「美香ちゃん、ごめん。ありがとう」
「風祭さんありがとな」
「いえいえ」
笹森さんに手を引かれ、先輩は帰って行った。
……なんだかんだ言って、ラブラブだよあの二人。会社ではあまり接しないようにしてるけどね。笹森さんは先輩見つけると表情が緩むもん。先輩はまあ、見た感じいつも通りだけど…わざとかな?
いいな、愛されてて。
「私も恋人欲しい……」
一人でビールを煽って一人掛けのソファーに沈み込むと、LINEが。
お、再び三上さん。
【 笹森さん来た? 】
【さっき来て先輩連れて帰ったとこです。連絡ありがとうございました】
すぐ返信する。
【 よかった。笹森さんにTELしたらすげー心配してたから。】
【 仲良いですよねー。羨ましいです。しかも喧嘩の理由凄いアホな理由でした(-_-;)】
【そうなんだ。あの二人面白いな。ところで明日は何してる?】
えっ
三上さんにこんなこと聞かれるの初めてだ。
【 特に予定は無いです 】
【じゃあ、良かったら一緒に出掛ける?】
……ええっ!?
胸が躍りだす。
【 出かけます! 】
【 んじゃ11時に○○駅で 】
【 はい! 】
スマホをテーブルに置いて、一呼吸置く。
……や…
やったあああーーーー!!
あ、じゃ、じゃあ顔にパックしなきゃ!!こんなことなら今日美容院行っとけばよかった!!
ネイルもして…、服、服は何着て行こう?ああ、時間が足りないー!
いろんな意味で今夜私寝られるかな…?
**** おまけ (ただ新婚夫婦がいちゃついてるだけ) ****
「ごめんなさい…」
「もういいって」
車の中で何度も謝った。柊さんは笑って許してくれたけど、何だか申し訳ない。
だったら自分が出ていくんじゃねーよ!という突っ込みはさて置き。
家に戻ってきて、ソファーに座る柊さんの隣に自分も座る。
「あの、柊さん。お詫びを兼ねて何か私に仕事とか言いつけて下さい!大掃除でもいいし明日の夕飯で柊さんの食べたいもの何でも作りますんで」
「だったら未散がベッドでいつもより頑張ってくれたら嬉しい」
「……え?」
柊さんがにこ、と笑うと私の耳に息を吹き掛けた。
「きゃーー!!」
反射的に耳を押えて柊さんから距離を取る。
「ほんと弱いなぁ、耳」
と言いながら柊さんが近づき、L字型のソファーのコーナーに追い込まれた。
「ここでする?」
「……べ、ベッドでお願いします」
「了解」
寝室に連れてこられ、ベッドに腰掛けた柊さんがニヤニヤしながら私の出方を待っている。
あんまり期待しないで。
「ど、どのような感じがお好みですか?」
「好みなのは未散さん」
「……っ、そ、そうじゃなくてっ……」
「未散には難しい注文だったかな?」
……
「そんなこと、無いですよ?」
ちょっとだけ負けず嫌いの自分が顔を出した。
「じゃあ、下着だけになって俺に乗って」
「……はい」
柊さんに言われるがままブラとショーツだけになって、Tシャツとジャージを穿いてベッドに横たわる柊さんに跨がった。
「キスして」
「…はい」
もう、四の五の言わずに柊さんに口づけた。
口づけた瞬間に柊さんの舌が入り込み、私の舌と絡まる。しばらく舌を絡ませ合ってから柊さんが私の身体を抱きしめると上半身を起こし、向きを変え激しく唇を貪り出した。
…私が頑張るんじゃなかったっけ…?
キスをしながらぼんやりそんなことを考えていると、
パチンとブラが外され、露出した胸を片手で揉みしだかれながら、反対の胸は先端をじっとりと舐められ声が上がる。
「あっん…」
「もうこんなに立ってる」
柊さんが指で乳首を擦りあげるとビリビリとした快感が身体を駆け抜け、思わず仰け反る。すぐさま乳房を食むように吸われ、声が止まらない。
「んっ…ああっ……しゅ、柊さんっ……」
柊さんの指が、ショーツの中に侵入する。既に潤っているそこに指が入るとくちゅくちゅと音がする。
身体が、熱い。
「あんっ……」
「未散、もうこんなに濡れてるんだけど」
嬉しそうに口角を上げた柊さんは、私の顔をちらりと見ると再び乳首に吸い付いた。激しく吸われたり、舐められたりを繰り返され柊さんの指が奏でる水音の水量が増す。それが自分でよくわかるから、余計恥ずかしい。
「……じゃ、このあとは未散に頑張ってもらおうかな」
乳房から口を離した柊さんが着ているものを脱ぎ去り、私のショーツも取り去った。
「未散、上になって」
「う、は、はい……」
ぬぷ。と十分に潤っている自分の股間に柊さんのモノを宛がい、ゆっくり腰を落として奥まで入れる。
「んっ……はぁっ」
「動いて」
「はい……」
下手くそながらも動くけど、これ、柊さん気持ちいいのかな…?
表情は、まぁまぁ気持ち良さそう…かな?というか、私動きが気になっちゃってなんか行為に集中できない。
「しゅ、柊さん、やっぱり柊さんが上の方が…」
「ん……これはこれでいいんだけどなー…未散の揺れる胸が見れて楽しいし」
「……柊さんっ!」
一度彼が私から出ると、くるりと体勢が逆転する。
「でもやっぱり、密着してる方が好きだ」
にっこり笑いながら上になった柊さんが再び私に入ると、私は彼の脇の下から背中に腕を回しぎゅっとしがみつく。
「柊さん…好きっ」
「できたら今度は『愛してる』って言って?」
「え、しゅ…あっ…んっ」
柊さんの動きが激しくなって、言葉が続かない。
「ほら、愛してるは?」
楽しそうに柊さんは言うけど、子宮への刺激とさりげなく乳首にも刺激が与えられて、喘ぎ声しか出ない。
これは絶対、遊ばれてる。
「未散、愛してるよ」
先に言われたっ。こっ…このエロ営業マンが……!!
これに懲りて自分からキレて家出をするのは止めよう、と私は心に誓った。
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