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第二章
第62話『友達』
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ルシファーが去った会議室で、幹部メンバー三人は喜びに満ち溢れた表情を浮かべていた。
小さくガッツポーズを決めるベルゼ、静かに魔力を高めるアスモ、その場でジャンプするマモン。みんな、喜び方は違えど気持ちは一緒だった。
「この時をどれほど待ちわびたことか····!!」
「反撃の狼煙を上げる時が来たわね!!」
「ルシファーから殺しの許可は出なかったけど、うっかり二、三人殺しても文句は言われないよね!!」
ベルゼとアスモの言い分はさておき、マモンのそれは口に出している時点でアウトだろ。もはや、『うっかり』でも何でもないだろ。
まあ、マモンの力量なら本当にうっかり人を殺せそうだが····。
人族の大半は彼らにとって、蟻と変わらない実力だ。蟻を殺さずに踏み躙るのは難しい。手加減なんて言葉を知らないマモンなら尚更。
まあ、世界全体の魔力を消費量に影響が出ない程度にやってくれれば良い。
もう既に人族や朝日を切り捨てる覚悟をした俺に情けや同情なんて言葉はなかった。
「あっ、そうだ!オトハは結界壊すとき、聖女になるのー?勇者になるのー?どっちー?」
「あぁ、そういえば決まってなかったな」
ルシファーから職業の指定は特になかったし、どっちになっても作戦に支障はないだろう。
状況によって、臨機応変に対応しなければならないが、どっちの職業になるか事前に決めておいて損は無い。
個人的には勇者になりたいが····HP消費量がな···。職業によってHP消費量は異なるってビアンカが言ってたし、出来ればHP消費量が少ない方を選択したい。死亡リスクもそうだが、体調不良でぶっ倒れて足でまといに····なんて状況は御免だからな。
ビアンカ、聖女と勇者どっちの方がHP消費量が大きいか分かるか?
『そうですね····聖女も勇者もHP消費は大きいです。本来比べるべきものではないのですが····どちらかと言えば勇者の方が消費量は多いですね』
そうか。分かった、ありがとう。
聖女より、勇者の方がHP消費が激しいとなると聖女の方に気持ちが傾くが····聖女と勇者では結界消滅への手間と時間が異なる。斬りつけるだけで構わない勇者に対し、聖女は解除陣を組むという難しい工程がある。魔法陣に関する知識が乏しい俺からすると、『解除陣?何それ、美味しいの?』って感じだし····。正直勇者の方がやる事がシンプルで分かりやすい。
「なあ、マモン。解除陣って、俺が考えて組まないといけないのか?それとも、もう既に解除陣は解析済みで俺がそれを結界に施すだけでいいのか?」
「ん~?残念ながら、解除陣の解析はまだだよー!だから、オトハが聖女になって結界を解除するって言うなら、僕が結界陣を調べて解除陣を作るしかないんだよね~。ほら、オトハって魔法陣に関する知識全くないでしょ?」
「ああ、残念ながら魔法陣に関する知識はないな」
「だよねー!」
ここ一ヶ月で俺が習ったのは生き残るための術と戦い方だけ。知識分野については全くと言っていいほど習っていない。ラノベ知識のおかげで魔法に関する知識は多少あれど、魔法陣に関する知識は皆無だった。魔法陣って、大抵適当に説明されて終わるからな。魔法文字の関係性や種類なんかはどのラノベにも載っていない。まあ、当然と言えば当然だが···。だって、この世に存在しないものを事細かに説明しろと言われても出来ないだろう?それと一緒だ。
まあ、それはさておき。
マモンが解除陣の作成に当たるなら、俺はただ完成した解除陣を発動してるだけで良い。俺の負担は少ないと言えた。まあ、その分マモンの負担が増えるが····。
「僕個人の意見としては聖女になって欲しいかな~」
「何でだ?マモンの負担が増えるだけだぞ?」
「ハハッ!オトハって、本当優しいね。別に僕の負担とか考えなくて良いのに~。それに──────勇者は色々と不確定要素が多過ぎる。セレーネに召喚陣を貰ってから、この世界に勇者が二人存在する状況になったことは一度もないんだ。だから、どんな危険があるか分からない」
スッと笑みを消し去ったマモンは子供とは思えない凛々しい顔つきで、勇者になるのは危険だとキッパリ言った。
なるほど····だから、マモンは俺に聖女を勧める訳か。もちろん、聖女にも色々と不確定要素はある。絶対に安全だとは言い切れない。でも、勇者よりは確実に安全と言えるだろう。
この世界に勇者が二人存在する状況になったことは一度もない、か。別に勇者が二人居ちゃいけないルールはないが、勇者が二人以上居ていい決まりもない。全てが曖昧で、不確定なんだ。
何より、心配なのは聖剣。
仮に俺と朝日が同時に聖剣を呼び出したとしよう。聖剣は一体どちらの手に渡るのか····。それとも、聖剣は複数存在するのか。一本しかない場合、何を基準にどちらの手に渡るのか。
あまりにも不明な点が多過ぎる。これらの謎の答えを知っているのは恐らく月の神─────セレーネ様だけ。これぞ、神のみぞ知るってな。
「私もマモンの意見に賛成だ。不確定要素が多く、リスクも大きい勇者より聖女を選ぶべきだ」
「私もそう思うわ。不明点の多い勇者にわざわざ手を出すより、聖女を選んだ方が懸命ね」
俺とマモンの会話を聞いていたベルゼとアスモが横から口を挟む。二人ともマモンの意見を擁護するように言葉を重ねた。
確かに三人の言う通りだ。不確定要素の多い勇者に手を出すより、聖女を選んだ方が何かと安心だ。リスクの少ない方を選ぶべきだろう。
何より──────────魔王幹部全員が『聖女の方がいい』と言ったんだ。その意見を無視する訳にはいかない。
「分かった。俺は聖女を選択する。マモン、悪いが魔法陣の解析や解除陣の作成は任せる」
「おっけーおっけー!任せといてー!」
腰に手を当てて、ドーンと胸を張るマモンは『ふふん!』と得意げに鼻を鳴らした。自信満々なマモンの姿から、少しだけ不安が和らぐ。
この一ヶ月間、色々な鍛錬を積んできたとは言え、練習と本番では色々と違いがある。初陣に不安と緊張は付き物だ。
あれだけ地獄のような特訓を積んできたって言うのにそれが些細なことに思えるほど、不安の波が押し寄せてきている。その波が大きくなればなるほど、もうすぐ戦いが始まるという実感が湧いてきた。
緊張と不安で震える手をグッと握り締める俺に、ベルゼもアスモもマモンも皆────────呆れにも似た苦笑を浮かべる。
「緊張感を持って戦いに臨むのは大事な事だが、緊張し過ぎるのは良くないぞ。何事も程々が一番だ」
「そうよ。私達に鍛え上げられたオトハがそこら辺の敵に負ける筈ないわ。不安がる必要なんて、ないわよ。男なら胸を張って、堂々と構えていなさい」
「そうそう~!男なら、堂々としていなくちゃ~!それにオトハの護衛に着くのはこの僕だよ?絶対に大丈夫だって~」
「何故だろうな···マモンの『大丈夫』は全く信用出来ない」
「あら、奇遇ね。私もちょうどそう思っていたところよ」
「えっ!?まさか、僕の信用0!?」
『ベルゼもアスモもひど~い!』と嘘泣きを始めるマモン。そんな彼に更なる追い討ちをかけるメスゴリラ二人。その他愛のない光景が俺の緊張を解し、不安を溶かしていく。
そうだな。戦の前だって言うのに緊張感の欠片もないお前らを見てると、なんだか行ける気がしてきた。むしろ、不安がる自分が馬鹿みたいに感じる。
「ありがとな、三人とも····」
ここ一ヶ月で急激に距離が縮まった彼らには恥ずかしくて面と向かって言えないが、俺の小さな呟きは三人の耳に届いたみたいだ。俺を茶化すでもなく、ただ何も言わずに笑っている。
──────────さあ、もうすぐ夜が来る。
※ごめんなさい。また遅刻しました
小さくガッツポーズを決めるベルゼ、静かに魔力を高めるアスモ、その場でジャンプするマモン。みんな、喜び方は違えど気持ちは一緒だった。
「この時をどれほど待ちわびたことか····!!」
「反撃の狼煙を上げる時が来たわね!!」
「ルシファーから殺しの許可は出なかったけど、うっかり二、三人殺しても文句は言われないよね!!」
ベルゼとアスモの言い分はさておき、マモンのそれは口に出している時点でアウトだろ。もはや、『うっかり』でも何でもないだろ。
まあ、マモンの力量なら本当にうっかり人を殺せそうだが····。
人族の大半は彼らにとって、蟻と変わらない実力だ。蟻を殺さずに踏み躙るのは難しい。手加減なんて言葉を知らないマモンなら尚更。
まあ、世界全体の魔力を消費量に影響が出ない程度にやってくれれば良い。
もう既に人族や朝日を切り捨てる覚悟をした俺に情けや同情なんて言葉はなかった。
「あっ、そうだ!オトハは結界壊すとき、聖女になるのー?勇者になるのー?どっちー?」
「あぁ、そういえば決まってなかったな」
ルシファーから職業の指定は特になかったし、どっちになっても作戦に支障はないだろう。
状況によって、臨機応変に対応しなければならないが、どっちの職業になるか事前に決めておいて損は無い。
個人的には勇者になりたいが····HP消費量がな···。職業によってHP消費量は異なるってビアンカが言ってたし、出来ればHP消費量が少ない方を選択したい。死亡リスクもそうだが、体調不良でぶっ倒れて足でまといに····なんて状況は御免だからな。
ビアンカ、聖女と勇者どっちの方がHP消費量が大きいか分かるか?
『そうですね····聖女も勇者もHP消費は大きいです。本来比べるべきものではないのですが····どちらかと言えば勇者の方が消費量は多いですね』
そうか。分かった、ありがとう。
聖女より、勇者の方がHP消費が激しいとなると聖女の方に気持ちが傾くが····聖女と勇者では結界消滅への手間と時間が異なる。斬りつけるだけで構わない勇者に対し、聖女は解除陣を組むという難しい工程がある。魔法陣に関する知識が乏しい俺からすると、『解除陣?何それ、美味しいの?』って感じだし····。正直勇者の方がやる事がシンプルで分かりやすい。
「なあ、マモン。解除陣って、俺が考えて組まないといけないのか?それとも、もう既に解除陣は解析済みで俺がそれを結界に施すだけでいいのか?」
「ん~?残念ながら、解除陣の解析はまだだよー!だから、オトハが聖女になって結界を解除するって言うなら、僕が結界陣を調べて解除陣を作るしかないんだよね~。ほら、オトハって魔法陣に関する知識全くないでしょ?」
「ああ、残念ながら魔法陣に関する知識はないな」
「だよねー!」
ここ一ヶ月で俺が習ったのは生き残るための術と戦い方だけ。知識分野については全くと言っていいほど習っていない。ラノベ知識のおかげで魔法に関する知識は多少あれど、魔法陣に関する知識は皆無だった。魔法陣って、大抵適当に説明されて終わるからな。魔法文字の関係性や種類なんかはどのラノベにも載っていない。まあ、当然と言えば当然だが···。だって、この世に存在しないものを事細かに説明しろと言われても出来ないだろう?それと一緒だ。
まあ、それはさておき。
マモンが解除陣の作成に当たるなら、俺はただ完成した解除陣を発動してるだけで良い。俺の負担は少ないと言えた。まあ、その分マモンの負担が増えるが····。
「僕個人の意見としては聖女になって欲しいかな~」
「何でだ?マモンの負担が増えるだけだぞ?」
「ハハッ!オトハって、本当優しいね。別に僕の負担とか考えなくて良いのに~。それに──────勇者は色々と不確定要素が多過ぎる。セレーネに召喚陣を貰ってから、この世界に勇者が二人存在する状況になったことは一度もないんだ。だから、どんな危険があるか分からない」
スッと笑みを消し去ったマモンは子供とは思えない凛々しい顔つきで、勇者になるのは危険だとキッパリ言った。
なるほど····だから、マモンは俺に聖女を勧める訳か。もちろん、聖女にも色々と不確定要素はある。絶対に安全だとは言い切れない。でも、勇者よりは確実に安全と言えるだろう。
この世界に勇者が二人存在する状況になったことは一度もない、か。別に勇者が二人居ちゃいけないルールはないが、勇者が二人以上居ていい決まりもない。全てが曖昧で、不確定なんだ。
何より、心配なのは聖剣。
仮に俺と朝日が同時に聖剣を呼び出したとしよう。聖剣は一体どちらの手に渡るのか····。それとも、聖剣は複数存在するのか。一本しかない場合、何を基準にどちらの手に渡るのか。
あまりにも不明な点が多過ぎる。これらの謎の答えを知っているのは恐らく月の神─────セレーネ様だけ。これぞ、神のみぞ知るってな。
「私もマモンの意見に賛成だ。不確定要素が多く、リスクも大きい勇者より聖女を選ぶべきだ」
「私もそう思うわ。不明点の多い勇者にわざわざ手を出すより、聖女を選んだ方が懸命ね」
俺とマモンの会話を聞いていたベルゼとアスモが横から口を挟む。二人ともマモンの意見を擁護するように言葉を重ねた。
確かに三人の言う通りだ。不確定要素の多い勇者に手を出すより、聖女を選んだ方が何かと安心だ。リスクの少ない方を選ぶべきだろう。
何より──────────魔王幹部全員が『聖女の方がいい』と言ったんだ。その意見を無視する訳にはいかない。
「分かった。俺は聖女を選択する。マモン、悪いが魔法陣の解析や解除陣の作成は任せる」
「おっけーおっけー!任せといてー!」
腰に手を当てて、ドーンと胸を張るマモンは『ふふん!』と得意げに鼻を鳴らした。自信満々なマモンの姿から、少しだけ不安が和らぐ。
この一ヶ月間、色々な鍛錬を積んできたとは言え、練習と本番では色々と違いがある。初陣に不安と緊張は付き物だ。
あれだけ地獄のような特訓を積んできたって言うのにそれが些細なことに思えるほど、不安の波が押し寄せてきている。その波が大きくなればなるほど、もうすぐ戦いが始まるという実感が湧いてきた。
緊張と不安で震える手をグッと握り締める俺に、ベルゼもアスモもマモンも皆────────呆れにも似た苦笑を浮かべる。
「緊張感を持って戦いに臨むのは大事な事だが、緊張し過ぎるのは良くないぞ。何事も程々が一番だ」
「そうよ。私達に鍛え上げられたオトハがそこら辺の敵に負ける筈ないわ。不安がる必要なんて、ないわよ。男なら胸を張って、堂々と構えていなさい」
「そうそう~!男なら、堂々としていなくちゃ~!それにオトハの護衛に着くのはこの僕だよ?絶対に大丈夫だって~」
「何故だろうな···マモンの『大丈夫』は全く信用出来ない」
「あら、奇遇ね。私もちょうどそう思っていたところよ」
「えっ!?まさか、僕の信用0!?」
『ベルゼもアスモもひど~い!』と嘘泣きを始めるマモン。そんな彼に更なる追い討ちをかけるメスゴリラ二人。その他愛のない光景が俺の緊張を解し、不安を溶かしていく。
そうだな。戦の前だって言うのに緊張感の欠片もないお前らを見てると、なんだか行ける気がしてきた。むしろ、不安がる自分が馬鹿みたいに感じる。
「ありがとな、三人とも····」
ここ一ヶ月で急激に距離が縮まった彼らには恥ずかしくて面と向かって言えないが、俺の小さな呟きは三人の耳に届いたみたいだ。俺を茶化すでもなく、ただ何も言わずに笑っている。
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