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第一章
第38話『朝市』
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────────翌日の早朝。
俺とウリエルは素早く身支度を整え、家の玄関前でアンドレアとヘクターに見送られていた。
彼らは夜通しずーっと話し合っていたらしく、目の下には大きな隈が出来ている。しかも、途中で殴り合いにでも発展したのか、ところどころ痣やたんこぶが出来ていた。だが、痛々しい姿とは裏腹に彼らはとても良い表情をしている。胸のつかえが取れたような清々しい表情を浮かべる彼らは子供らしい無邪気な笑顔で俺達を見つめた。
「にーちゃん、ウリエルも···またいつでも遊びに来いよな!にーちゃん達なら、いつでも大歓迎だからよ」
「旅の途中で寄ることがあったら、また遊びに来てよ。兄さんと二人で待ってるから」
海色の澄んだ瞳をうんと優しく細め、ニコニコ笑うヘクターと白い歯を見せてニッと笑うアンドレア。
またいつでも遊びに来い、か····。そんなの初めて言われたな。
まあ、そもそも遊びに誘われたことすら俺にはなかったが···。
とりあえず────────すげぇ嬉しい。
「フッ····あぁ、また近くを通り掛かったら寄らせてもらう」
「おう!待ってるぜ!」
「気軽に遊びに来てね」
「あぁ、ありがとう。じゃあ、またな」
「ばいばい!」
あまり挨拶が長引くと、別れが辛くなる。早々に話を切り上げ、俺はアンドレアとヘクターに背を向けた。手を繋いでいるウリエルも俺に促されるまま、彼らに背を向けて歩き出す。後ろから『元気でなー!死ぬなよー!』と言う、アンドレアの大声が響き俺とウリエルは顔を見合わせてクスッと笑った。
「アンドレア、声大きいね」
「だな」
だが、不思議と悪い気はしない。大声はあまり好きじゃない筈なんだが、アンドレアの大声は何故か不快に思わなかった。
俺とウリエルは肩越しにアンドレアとヘクターをちょくちょく振り返りながらクスクス笑い、森に繋がる街道を左へ曲がった。ここからは民間人が作ったちょっとした市場があるので、店の屋台や人に遮られてアンドレアとヘクターの姿はもう見えない。それを少し寂しく思いながらも、俺はウリエルを連れて朝の市場へと吸い込まれて行った。
朝の市場───────通称朝市はまだ早朝だと言うのにかなり賑わっていて、人の行き来が激しい。まあ、激しいと言っても王都ほどではないがな。それでも、かなり賑わっていた。
なんでもビアンカの言うことには、この辺は大小様々な村が多く存在しており、各村の商人が定期的に朝市を開いているんだとか···。ここはちょうど各村の中心部に位置する広場らしく、移動距離が極端に偏らぬよう、毎回ここで朝市が行われているらしい。だから、田舎の朝市にしてはかなり規模が大きいのだ。
『ここの朝市は野菜や肉などの食料もそうですが、宝石や水晶などの装飾品や雑貨なども売られているため、各村の村人達がこぞって参加しているらしいです。なので商人以外にも多くの消費者が居るため、朝からこんなに混雑しているんですよ』
なるほど····。朝市と言えば野菜や肉!ってイメージが強いが、食料じゃないものも売ってるのか。
俺は急ピッチで作られた屋台と、そこに並べられた商品を眺めながらウリエルと共に朝市を練り歩く。ウリエルも朝市は初めてなのか、物珍しそうにキョロキョロとあたりを見回していた。
「····あっ、あれ!オトハ、あれ美味しそう!」
ウリエルの小さな指が示したものは····牛肉?
ウリエルが指さしたその屋台はステーキ屋なのか胃袋を刺激する良い香りを漂わせながら、ジュージューと馬鹿でかいステーキを焼いていた。肉はもう加工されたものなので、断言は出来ないがあれは恐らく牛肉だな。店の看板に牛を象ったデザインの絵が描かれているし。
まあ、この際何肉かなんて置いておこう。問題は····ウリエルの口端から垂れた涎である。いや、涎を垂らす自体に問題は無い。問題は····ウリエルがあのステーキを食べたいと思っている事だ。保護者としては腹いっぱい好きなものを食べさせてやりたい。が····王家の紋章が入ったブローチをここで使うことが出来るのか分からない状況だ。以前にも話した通り、このブローチは元いた世界で言うカードと同じ。カード払いが出来る店もあれば出来ない店もある。王都内は元いた世界で言う東京の渋谷や原宿と同じ扱いなのでカード払いが出来ない店はなかったが、都会から一歩外へ出ればどうなるか分からない。田舎に位置するここがカード払い可能なのかどうか分からないのだ。
村人達の様子を見る限り、王都とは無縁の田舎者みたいだし、王家への請求云々がよく分からない可能性もある。
『確かにその意見には一理ありますね。それにここに居る村人達はあまり王族や貴族が好きではないみたいなので、余計なトラブルを避けるためにも王族関係者の証であるブローチは隠しておいた方がいいかもしれません』
分かった。ブローチは隠しておく。
俺は手で握り締めていたブローチをズボンのポケットに忍ばせ、『ふぅ···』と息をついた。
はてさて、どうしたものか····。
俺の隣でじーっとステーキ屋を見つめるウリエルは口端から涎を垂らしている。昨日の夕飯も今日の朝ご飯も満足に食べられなかったので余計お腹が空いているのだろう。まだ子供とは言え、ウリエルはドラゴンだからな。人間の俺達とは食べる量が全然違う。人間の子供が食べる僅かな量しか出して貰えず、ウリエルは昨日からずっと空腹に唸っていた。
泊めてもらった上にご飯も出してもらった身としてはアンドレアに『もっと飯の量を増やして欲しい』とは言えず、ウリエルに我慢させてしまったが····さすがにいつまでも空腹を我慢させる訳にはいかない。空腹のまま無理に生活を続けると、ストレスが溜まって大変なことになるからな。もちろん、限度はあるが食生活に関しては子供に我慢させるべきではないだろう。
でも、お金がなぁ····。ブローチという切り札を封じられた俺は今、一文無しも同然だ。これではウリエルにステーキをたらふく食わせてやることは出来ない。資金調達をどうにか出来ないだろうか····?
『·····では、コカトリス討伐でドロップした“あのアイテム”と物々交換を持ちかけるのはどうですか?』
コカトリス討伐でドロップしたアイテム····?それって、あの綺麗な羽のことか?
アンドレアを助けるためコカトリスを討伐した際、ドロップしたアイテムは七色に輝く綺麗な羽だった。光の当たり具合で色が変化する羽は美しく、髪飾りなんかに使えそうだったため取っておいたが····。その羽にステーキと交換出来るほどの価値があるのか?
コカトリスの羽の価値について、いまいちピンと来ていない俺にビアンカはわざとらしく溜め息をつく。
『はぁ·····コカトリスの羽は見た目の美しさもそうですが、大変貴重価値の高いアイテムです。まず、コカトリスは群れをなして大陸を横断しながら生活する魔物なのでなかなか巡り会うことが出来ません。会えただけでも運がいいと言われるコカトリスはある地域では“ラッキーバード”と呼ばれています。そのくらい、なかなかお目にかかれない魔物なんですよ。おまけにコカトリスからドロップするアイテムはほとんど鶏肉で、羽がドロップすることは滅多にないんです。これだけでその羽の価値が分かるでしょう?』
コカトリスの羽がどれだけ貴重な存在なのか熱弁したビアンカは『どうだ!』と言わんばかりに鼻息を荒くしている。
さすがの俺もここまで言われれば、この羽の価値がどれ程のものなのか予想がついた。
そもそも、コカトリスと遭遇する確率が少ない上にドロップするアイテムは鶏肉ばかり····この綺麗な羽がドロップすることは滅多にない···。質屋に入れれば相当な額で買い取ってくれるだろう。少なくとも、ステーキと物々交換するために差し出して良いものじゃない。
『正直コカトリスの羽をステーキの対価として差し出すのは非常に勿体ないです。ですが、今お金代わりになるものはそれしかありません。どうしますか?』
ステーキを買うために希少価値の高いアイテムを差し出すか、出し惜しみしウリエルにステーキを我慢させるか····。究極の選択のように思えるが、俺の気持ちは既に決まっている。この程度の選択で迷うほどの俺じゃない。
─────────ウリエルのためなら、コカトリスの羽くらい惜しくないさ。
俺とウリエルは素早く身支度を整え、家の玄関前でアンドレアとヘクターに見送られていた。
彼らは夜通しずーっと話し合っていたらしく、目の下には大きな隈が出来ている。しかも、途中で殴り合いにでも発展したのか、ところどころ痣やたんこぶが出来ていた。だが、痛々しい姿とは裏腹に彼らはとても良い表情をしている。胸のつかえが取れたような清々しい表情を浮かべる彼らは子供らしい無邪気な笑顔で俺達を見つめた。
「にーちゃん、ウリエルも···またいつでも遊びに来いよな!にーちゃん達なら、いつでも大歓迎だからよ」
「旅の途中で寄ることがあったら、また遊びに来てよ。兄さんと二人で待ってるから」
海色の澄んだ瞳をうんと優しく細め、ニコニコ笑うヘクターと白い歯を見せてニッと笑うアンドレア。
またいつでも遊びに来い、か····。そんなの初めて言われたな。
まあ、そもそも遊びに誘われたことすら俺にはなかったが···。
とりあえず────────すげぇ嬉しい。
「フッ····あぁ、また近くを通り掛かったら寄らせてもらう」
「おう!待ってるぜ!」
「気軽に遊びに来てね」
「あぁ、ありがとう。じゃあ、またな」
「ばいばい!」
あまり挨拶が長引くと、別れが辛くなる。早々に話を切り上げ、俺はアンドレアとヘクターに背を向けた。手を繋いでいるウリエルも俺に促されるまま、彼らに背を向けて歩き出す。後ろから『元気でなー!死ぬなよー!』と言う、アンドレアの大声が響き俺とウリエルは顔を見合わせてクスッと笑った。
「アンドレア、声大きいね」
「だな」
だが、不思議と悪い気はしない。大声はあまり好きじゃない筈なんだが、アンドレアの大声は何故か不快に思わなかった。
俺とウリエルは肩越しにアンドレアとヘクターをちょくちょく振り返りながらクスクス笑い、森に繋がる街道を左へ曲がった。ここからは民間人が作ったちょっとした市場があるので、店の屋台や人に遮られてアンドレアとヘクターの姿はもう見えない。それを少し寂しく思いながらも、俺はウリエルを連れて朝の市場へと吸い込まれて行った。
朝の市場───────通称朝市はまだ早朝だと言うのにかなり賑わっていて、人の行き来が激しい。まあ、激しいと言っても王都ほどではないがな。それでも、かなり賑わっていた。
なんでもビアンカの言うことには、この辺は大小様々な村が多く存在しており、各村の商人が定期的に朝市を開いているんだとか···。ここはちょうど各村の中心部に位置する広場らしく、移動距離が極端に偏らぬよう、毎回ここで朝市が行われているらしい。だから、田舎の朝市にしてはかなり規模が大きいのだ。
『ここの朝市は野菜や肉などの食料もそうですが、宝石や水晶などの装飾品や雑貨なども売られているため、各村の村人達がこぞって参加しているらしいです。なので商人以外にも多くの消費者が居るため、朝からこんなに混雑しているんですよ』
なるほど····。朝市と言えば野菜や肉!ってイメージが強いが、食料じゃないものも売ってるのか。
俺は急ピッチで作られた屋台と、そこに並べられた商品を眺めながらウリエルと共に朝市を練り歩く。ウリエルも朝市は初めてなのか、物珍しそうにキョロキョロとあたりを見回していた。
「····あっ、あれ!オトハ、あれ美味しそう!」
ウリエルの小さな指が示したものは····牛肉?
ウリエルが指さしたその屋台はステーキ屋なのか胃袋を刺激する良い香りを漂わせながら、ジュージューと馬鹿でかいステーキを焼いていた。肉はもう加工されたものなので、断言は出来ないがあれは恐らく牛肉だな。店の看板に牛を象ったデザインの絵が描かれているし。
まあ、この際何肉かなんて置いておこう。問題は····ウリエルの口端から垂れた涎である。いや、涎を垂らす自体に問題は無い。問題は····ウリエルがあのステーキを食べたいと思っている事だ。保護者としては腹いっぱい好きなものを食べさせてやりたい。が····王家の紋章が入ったブローチをここで使うことが出来るのか分からない状況だ。以前にも話した通り、このブローチは元いた世界で言うカードと同じ。カード払いが出来る店もあれば出来ない店もある。王都内は元いた世界で言う東京の渋谷や原宿と同じ扱いなのでカード払いが出来ない店はなかったが、都会から一歩外へ出ればどうなるか分からない。田舎に位置するここがカード払い可能なのかどうか分からないのだ。
村人達の様子を見る限り、王都とは無縁の田舎者みたいだし、王家への請求云々がよく分からない可能性もある。
『確かにその意見には一理ありますね。それにここに居る村人達はあまり王族や貴族が好きではないみたいなので、余計なトラブルを避けるためにも王族関係者の証であるブローチは隠しておいた方がいいかもしれません』
分かった。ブローチは隠しておく。
俺は手で握り締めていたブローチをズボンのポケットに忍ばせ、『ふぅ···』と息をついた。
はてさて、どうしたものか····。
俺の隣でじーっとステーキ屋を見つめるウリエルは口端から涎を垂らしている。昨日の夕飯も今日の朝ご飯も満足に食べられなかったので余計お腹が空いているのだろう。まだ子供とは言え、ウリエルはドラゴンだからな。人間の俺達とは食べる量が全然違う。人間の子供が食べる僅かな量しか出して貰えず、ウリエルは昨日からずっと空腹に唸っていた。
泊めてもらった上にご飯も出してもらった身としてはアンドレアに『もっと飯の量を増やして欲しい』とは言えず、ウリエルに我慢させてしまったが····さすがにいつまでも空腹を我慢させる訳にはいかない。空腹のまま無理に生活を続けると、ストレスが溜まって大変なことになるからな。もちろん、限度はあるが食生活に関しては子供に我慢させるべきではないだろう。
でも、お金がなぁ····。ブローチという切り札を封じられた俺は今、一文無しも同然だ。これではウリエルにステーキをたらふく食わせてやることは出来ない。資金調達をどうにか出来ないだろうか····?
『·····では、コカトリス討伐でドロップした“あのアイテム”と物々交換を持ちかけるのはどうですか?』
コカトリス討伐でドロップしたアイテム····?それって、あの綺麗な羽のことか?
アンドレアを助けるためコカトリスを討伐した際、ドロップしたアイテムは七色に輝く綺麗な羽だった。光の当たり具合で色が変化する羽は美しく、髪飾りなんかに使えそうだったため取っておいたが····。その羽にステーキと交換出来るほどの価値があるのか?
コカトリスの羽の価値について、いまいちピンと来ていない俺にビアンカはわざとらしく溜め息をつく。
『はぁ·····コカトリスの羽は見た目の美しさもそうですが、大変貴重価値の高いアイテムです。まず、コカトリスは群れをなして大陸を横断しながら生活する魔物なのでなかなか巡り会うことが出来ません。会えただけでも運がいいと言われるコカトリスはある地域では“ラッキーバード”と呼ばれています。そのくらい、なかなかお目にかかれない魔物なんですよ。おまけにコカトリスからドロップするアイテムはほとんど鶏肉で、羽がドロップすることは滅多にないんです。これだけでその羽の価値が分かるでしょう?』
コカトリスの羽がどれだけ貴重な存在なのか熱弁したビアンカは『どうだ!』と言わんばかりに鼻息を荒くしている。
さすがの俺もここまで言われれば、この羽の価値がどれ程のものなのか予想がついた。
そもそも、コカトリスと遭遇する確率が少ない上にドロップするアイテムは鶏肉ばかり····この綺麗な羽がドロップすることは滅多にない···。質屋に入れれば相当な額で買い取ってくれるだろう。少なくとも、ステーキと物々交換するために差し出して良いものじゃない。
『正直コカトリスの羽をステーキの対価として差し出すのは非常に勿体ないです。ですが、今お金代わりになるものはそれしかありません。どうしますか?』
ステーキを買うために希少価値の高いアイテムを差し出すか、出し惜しみしウリエルにステーキを我慢させるか····。究極の選択のように思えるが、俺の気持ちは既に決まっている。この程度の選択で迷うほどの俺じゃない。
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