上 下
20 / 37

しおりを挟む


 私の名前は横山春乃よこやまはるの
 現在高校3年生のjkです。

 高校生と言えばよく、人生で最も青春を謳歌できる瞬間と言われています。
 アルバイト、部活動、それに友達や恋人など……時間が過ぎていくのが早いと感じることでしょう。
 
 そんな青春真っ只中な私ですが、現在悩みがあります。
 それは――――彼氏が出来た事が無い、ということです。もっと言えば処女だということです。

 
 原因は自分の顔にあります。つまり不細工なのです。
 幼稚園、小、中、高と過ごしてきた中で、男子にモテたことは一度もありません。
 
 しかしかといって、ものすごく不細工というわけではありませんでした。
 そのため幸いにも男女ともに沢山の友達が居たことでボッチなどの寂しい思いはしてきませんでした。

 私としては身を弁えていたので、クラスの可愛い子が男子にモテモテでも醜い嫉妬などはありませんでした。
 ――羨ましいとは思いましたけど。
 

 しかしそんな考えは中学生になったとき一転しました。
 そうです。性欲が出てきたのです。

 それまで――それこそ小学生の頃は仲いい男女が付き合いだしたという話を聞いても「楽しそう」くらいにしか思ってなかった私ですが、中学生になると男女が付き合って性行為をしたという話を耳にするようになりました。

 当時私は性欲を覚えたことで、毎日のようにカッコいい同級生をおかずに自慰行為をしていました。
 そしてそれだけでは物足りなくなると私はネットでAVなどのアダルト動画やイケメンモデルのグラビア画像をおかずに自慰行為をするようになっていきました。

 聞けば周りの友達も同じような事をしているので特に不満も無く休み時間におかずについて語り合ったりしました。

 
 ――しかし、そんな時です。友達から知り合いが彼氏と性行為をしたと聞いたのは。


 私はこれまでの生活や保健の授業などで、男子は女子ほど性的なことに興味が無いということを理解していました。そのためまさに青天の霹靂でした。

 やはり私だって好きな人がいたわけで、その話を聞いてから私は男子を性的な目で見るようになりました。
 いや、私だけではありません。中学生になって暫くすると、女子のほぼ全員が男子をそういった対象として見るようになっていきました。……もちろんバレないように。

 あるときは運動部の男子のユニフォームから覗く脚や腕。
 そしてまたあるときは水泳の授業で着る水着姿など。
 
 特に水着に関してはお目当ての男子をじっくり見るためによく見学をしていたのを覚えています。
 水着は身体のラインがきちんと出ているため、目に焼き付けていました。

 そんな生活をして過ごしていく中で私は自分がモテないことを自覚していたので、モテる友人や知り合いに彼氏との性行為について聞いたり(彼氏が拒絶してきたのが殆ど)、さりげないボディータッチをしていました。


 そして時が経って現在。
 高校3年生の私は結局今まで一度も経験の無い処女のままでした。

 
 
 ########################


 始めたきっかけは何だったのか、それはよく覚えていません。
 友達から聞いたのかネットで見たのか、それこそライトノベルの影響か。

 今となってはどうでもいいことですが、私はその作成済みの裏アカを使って久々にSNSで遊び(性的な)相手を探していました。
 まあ大抵はサクラやからかい目的の人が多いので、返信が来たりましてや実際に会って性行為を行えたことなんてありませんが。

 いつものように「性行為したいなー」なんて暇つぶし半分本気半分でその相手を探しているときでした。彼――ゆうき君に出会ったは。

 
 「え、何この人……凄くカッコいい……」

 最早言葉で言い表せないほどのイケメン。
 黒髪黒目で同い年くらいの男性。本当に同じ日本人なのか怪しくなるほどに顔面偏差値が違いました。

 
 「しかも……どう見てもサクラじゃなさそう……」

 きちんと設定された個人情報にその他の投稿。
 そして何より複数枚撮られた自撮り画像。
 そのどれもがこれまで幾度となく経験してきたサクラセンサーに反応しませんでした。
 ――つまりこれは

 「本物……??   ――っ! メッセージ送らないと!!それにいいねも!」
  
 よく見ると一番最初の投稿に「気になったらここにメッセージをください」と書かれている投稿があありました。
 そしてどうやら他の人のメッセージも見れるらしく、既にそこには数え切れないほどのメッセージがありました。
 
 「完全に出遅れた……。こんなチャンス二度と無いのに! 私のバカ!!」

  別段先着順とは書いていないものの彼に通知が行くのは最初の人からでしょう。
  なので先に彼の目に留まりやすいのは必然的に早くメッセージを送った人になることくらい予測出来ます。

 「それに……可愛い子も沢山居るし」

 どんな人がメッセージを送ったのか、そのプロフィールを見ていくと彼氏がいてもおかしくない様な人が沢山居ました。……やはりそういった人から見ても彼はカッコいいのでしょう。

 「はぁ……」
 
 何故もっと早くSNSを見なかったのか、その後悔の念が尽きません。

 
 ――ぴこん。
 

 とその時でした。
 
 
 「え……?嘘……」

 彼からのダイレクトメッセージが来たのは。
 
 私はそれから暫く自分の妄想による見間違えかと思い何度も見直しました。
 ついに願望が現実の認識を上回ったのかと。
 
 しかしそれが変化することはありませんでした。
 つまり見間違えではありませんでした。頬もつねりました。


 「……」
 
 そこからはよく覚えていません。
 しかし私はどうやら彼――ゆうき君と明日デートをすることになったようです。


 
 
 ――え?

 
  
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には

月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。 令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。 愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ―――― 婚約は解消となった。 物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。 視点は、成金の商人視点。 設定はふわっと。

釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません

しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。 曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。 ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。 対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。 そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。 おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。 「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」 時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。 ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。 ゆっくり更新予定です(*´ω`*) 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。 妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。 今迄関わる事のなかった異母姉。 「私が、お姉様を幸せにするわ!」 その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。 最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。 ❋主人公以外の他視点の話もあります。 ❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。 しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。 それを指示したのは、妹であるエライザであった。 姉が幸せになることを憎んだのだ。 容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、 顔が醜いことから蔑まされてきた自分。 やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。 しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。 幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。 もう二度と死なない。 そう、心に決めて。

忌み子にされた令嬢と精霊の愛し子

水空 葵
恋愛
 公爵令嬢のシルフィーナはとあるパーティーで、「忌み子」と言われていることを理由に婚約破棄されてしまった。さらに冤罪までかけられ、窮地に陥るシルフィーナ。  そんな彼女は、王太子に助け出されることになった。  王太子に愛されるようになり幸せな日々を送る。  けれども、シルフィーナの力が明らかになった頃、元婚約者が「復縁してくれ」と迫ってきて……。 「そんなの絶対にお断りです!」 ※他サイト様でも公開中です。

泣き虫令嬢は自称商人(本当は公爵)に愛される

琴葉悠
恋愛
 エステル・アッシュベリーは泣き虫令嬢と一部から呼ばれていた。  そんな彼女に婚約者がいた。  彼女は婚約者が熱を出して寝込んでいると聞き、彼の屋敷に見舞いにいった時、彼と幼なじみの令嬢との不貞行為を目撃してしまう。  エステルは見舞い品を投げつけて、馬車にも乗らずに泣きながら夜道を走った。  冷静になった途端、ごろつきに囲まれるが謎の商人に助けられ──

処理中です...