7 / 37
朝食
しおりを挟む
怒ったような表情でこちらを見つめ、マーサは目に涙を溜める。
腹立たしいと悲しいが入り交じった様子に、私は戸惑いを覚えた。
昨日、手を切った時に見た大公の表情と少し似ているけど……それより、ずっと強くて複雑。
嫌悪感や不快感といった感情以外、ぶつけられたことのない私は困惑を示す。
『一体、どう答えるのが正解なのか』と思案する中、マーサは一つ息を吐いた。
そして、何とか気持ちを落ち着かせると、肩の力を抜く。
「いきなり怒鳴ってしまって、申し訳ございません。ビックリしたでしょう?」
「だ、大丈夫……慣れているから」
『こんなの日常茶飯事だ』と述べる私に、マーサはまたもや複雑な表情を浮かべる。
でも、先程のように取り乱すことはなく……ただただ悲しそうにしているだけ。
その様子が妙に気になって、胸を締め付けられた。
「私なんかより、マーサの方が辛そうだよ。大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。心配して下さり、ありがとうございます。奥様はお優しいですね」
エメラルドの瞳をうんと細め、優しく笑うマーサはこちらに手を伸ばした。
宝物にでも触るかのように私の手を掬い上げ、ギュッと握り締める。
ただそれだけの事なのに、なんだかとても嬉しかった。
「小さな奥様。どうか、これだけは覚えておいてくださいね。マーサは────決して、奥様を傷つけません。これは絶対です」
力強い口調でそう宣言するマーサは、私の目を真っ直ぐに見つめた。
真剣さが窺えるエメラルドの瞳を前に、私は小さく頷く。
ここで反論したり、質問したりしてまたマーサを悲しませたらと思うと、何も言えなかった。
「ご理解頂けて、何よりです。では、お風呂から出ましょうか」
『このままだと、のぼせてしまいそうです』と言いながら、マーサは私の頬を撫でる。
思ったより体温が高かったのか、ギョッとしたように目を見開くと、慌てて私を持ち上げた。
かと思えば、そのまま脱衣所へ向かい、フカフカのタオルで私の体を包み込む。
『風邪を引かないように』と急いで水滴を拭き取るマーサは、髪の毛一本まで丁寧に扱ってくれた。
気持ちよくて身を任せていると、今度はリボンやフリルのついたドレスを着せられる。
そして、髪の毛もハーフアップにされ、アクセントとしてルビーの髪飾りを取り付けられた。
「まあまあ!なんて可愛らしいの!」
着飾った私を見て、大興奮するマーサは『天使みたいです!』と褒めちぎる。
お世辞とは到底思えない剣幕に狼狽えつつ、私は姿見に目を向けた。
マーサの身長ほどあるソレには、赤系統の衣類に身を包む自分が映っている。
可愛らしい服装に反して、私の表情は無そのものだった。
『すっごく無愛想』と思う中、上機嫌なマーサに連れられて屋敷の食堂を訪れる。
そこには、既に大公と執事の姿があった。どうやら、私達の到着をずっと待っていたらしい。
先に食べていれば、良かったのに。料理だって、もう出来上がっているんだから。
などと思っていると、大公が顔を上げた。
と同時に、私達の存在に気がつき、スッと目を細める。
「やあ、ティターニア。昨日はよく眠れたかい?」
「ティターニア様、おはようございます。一先ず、席へどうぞ」
大公の向かい側に誘導する執事は、椅子を後ろへ引いた。
座りやすいよう気遣ってくれる彼に少し驚きながら、私は歩みを進める。
「大公も執事も、おはよう。昨日はぐっすり眠れたよ」
『あと、椅子ありがとう』とお礼を述べ、私は大公の向かい側に腰掛ける。
そして美味しそうな料理と向かい合う中────大公と執事は何故か固まっていた。
二人ともショックを受けたような様子で、じっとこちらを見つめている。
「た、大公……?名前で呼んでくれないのかい……?」
「もしかして、名前を忘れてしまいましたか……?もし、そうなら言ってください。もう一度、自己紹介しますから」
マーサと同様、呼び方に異議を唱える大公と執事はどこか寂しそうな表情を浮かべる。
懇願するような眼差しを前に、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
「名前はちゃんと覚えているよ。でも、呼んでいいのか分からなかった。皆、私に名前で呼ばれるのは嫌がるから」
『基本的に職名や爵位で呼んでいる』と説明する私に、彼らは言葉を失った。
ことの成り行きを見持っていたマーサまでもが目を見開き、ワナワナと震え上がる。
怒ったような……でも、ちょっと悲しそうな表情を浮かべ、彼らは暫し押し黙った。
あれ?私、変なこと言ったかな?
『皇城では当たり前のことだったんだけど……』と狼狽える中、大公が沈黙を破る。
「僕は嫌じゃないよ。むしろ、嬉しい。だから────名前で呼んでおくれ」
『もちろん、君さえ良ければだけど』と付け足しつつ、大公は柔和な笑みを浮かべた。
場の空気を変えるように明るく振る舞う彼を前に、執事も同調する。
「私もです。職名で呼ばれると、距離を取られたように感じて寂しいので」
職名で呼ばれると、寂しい……?私には、理解出来ない感覚だな。
でも、昨日・今日とお世話になっている人達にそんな想いはさせたくない。
「分かった。これからはカーティスとクロウって、呼ぶ」
呼び方の変更を快く受け入れた私は、『これで寂しくないよね』と考える。
────が、クロウに注意された。
「名前で呼んでいただけて大変光栄ですが、カーティス様にはきちんと敬称をつけた方が……」
「いや、呼び捨てで構わない。曲がりなりにも、僕達は夫婦なのだから」
「ふむ……確かにそうですね。これは出過ぎた真似をしました」
『申し訳ございません』と頭を下げるクロウに、私は首を左右に振る。
『気にしないで』と声を掛けると、彼はホッとしたように胸を撫で下ろした。
────と、ここでマーサが口を開く。
「お話も一段落したことですし、そろそろ朝食にしませんか?せっかくのお料理が、冷めてしまいますわ」
『勿体ない』と主張するマーサに、私達は顔を見合わせた。
と同時に、『そういえば、まだ何も食べてなかったな』と気づく。
「マーサの言う通りだね。冷めないうちに頂こうか」
そう言って、カーティスはスプーンを手に取った。
かと思えば、湯気立つスープを掬い上げ、口に含む。
それを合図に、私も食事を始めた。
腹立たしいと悲しいが入り交じった様子に、私は戸惑いを覚えた。
昨日、手を切った時に見た大公の表情と少し似ているけど……それより、ずっと強くて複雑。
嫌悪感や不快感といった感情以外、ぶつけられたことのない私は困惑を示す。
『一体、どう答えるのが正解なのか』と思案する中、マーサは一つ息を吐いた。
そして、何とか気持ちを落ち着かせると、肩の力を抜く。
「いきなり怒鳴ってしまって、申し訳ございません。ビックリしたでしょう?」
「だ、大丈夫……慣れているから」
『こんなの日常茶飯事だ』と述べる私に、マーサはまたもや複雑な表情を浮かべる。
でも、先程のように取り乱すことはなく……ただただ悲しそうにしているだけ。
その様子が妙に気になって、胸を締め付けられた。
「私なんかより、マーサの方が辛そうだよ。大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。心配して下さり、ありがとうございます。奥様はお優しいですね」
エメラルドの瞳をうんと細め、優しく笑うマーサはこちらに手を伸ばした。
宝物にでも触るかのように私の手を掬い上げ、ギュッと握り締める。
ただそれだけの事なのに、なんだかとても嬉しかった。
「小さな奥様。どうか、これだけは覚えておいてくださいね。マーサは────決して、奥様を傷つけません。これは絶対です」
力強い口調でそう宣言するマーサは、私の目を真っ直ぐに見つめた。
真剣さが窺えるエメラルドの瞳を前に、私は小さく頷く。
ここで反論したり、質問したりしてまたマーサを悲しませたらと思うと、何も言えなかった。
「ご理解頂けて、何よりです。では、お風呂から出ましょうか」
『このままだと、のぼせてしまいそうです』と言いながら、マーサは私の頬を撫でる。
思ったより体温が高かったのか、ギョッとしたように目を見開くと、慌てて私を持ち上げた。
かと思えば、そのまま脱衣所へ向かい、フカフカのタオルで私の体を包み込む。
『風邪を引かないように』と急いで水滴を拭き取るマーサは、髪の毛一本まで丁寧に扱ってくれた。
気持ちよくて身を任せていると、今度はリボンやフリルのついたドレスを着せられる。
そして、髪の毛もハーフアップにされ、アクセントとしてルビーの髪飾りを取り付けられた。
「まあまあ!なんて可愛らしいの!」
着飾った私を見て、大興奮するマーサは『天使みたいです!』と褒めちぎる。
お世辞とは到底思えない剣幕に狼狽えつつ、私は姿見に目を向けた。
マーサの身長ほどあるソレには、赤系統の衣類に身を包む自分が映っている。
可愛らしい服装に反して、私の表情は無そのものだった。
『すっごく無愛想』と思う中、上機嫌なマーサに連れられて屋敷の食堂を訪れる。
そこには、既に大公と執事の姿があった。どうやら、私達の到着をずっと待っていたらしい。
先に食べていれば、良かったのに。料理だって、もう出来上がっているんだから。
などと思っていると、大公が顔を上げた。
と同時に、私達の存在に気がつき、スッと目を細める。
「やあ、ティターニア。昨日はよく眠れたかい?」
「ティターニア様、おはようございます。一先ず、席へどうぞ」
大公の向かい側に誘導する執事は、椅子を後ろへ引いた。
座りやすいよう気遣ってくれる彼に少し驚きながら、私は歩みを進める。
「大公も執事も、おはよう。昨日はぐっすり眠れたよ」
『あと、椅子ありがとう』とお礼を述べ、私は大公の向かい側に腰掛ける。
そして美味しそうな料理と向かい合う中────大公と執事は何故か固まっていた。
二人ともショックを受けたような様子で、じっとこちらを見つめている。
「た、大公……?名前で呼んでくれないのかい……?」
「もしかして、名前を忘れてしまいましたか……?もし、そうなら言ってください。もう一度、自己紹介しますから」
マーサと同様、呼び方に異議を唱える大公と執事はどこか寂しそうな表情を浮かべる。
懇願するような眼差しを前に、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
「名前はちゃんと覚えているよ。でも、呼んでいいのか分からなかった。皆、私に名前で呼ばれるのは嫌がるから」
『基本的に職名や爵位で呼んでいる』と説明する私に、彼らは言葉を失った。
ことの成り行きを見持っていたマーサまでもが目を見開き、ワナワナと震え上がる。
怒ったような……でも、ちょっと悲しそうな表情を浮かべ、彼らは暫し押し黙った。
あれ?私、変なこと言ったかな?
『皇城では当たり前のことだったんだけど……』と狼狽える中、大公が沈黙を破る。
「僕は嫌じゃないよ。むしろ、嬉しい。だから────名前で呼んでおくれ」
『もちろん、君さえ良ければだけど』と付け足しつつ、大公は柔和な笑みを浮かべた。
場の空気を変えるように明るく振る舞う彼を前に、執事も同調する。
「私もです。職名で呼ばれると、距離を取られたように感じて寂しいので」
職名で呼ばれると、寂しい……?私には、理解出来ない感覚だな。
でも、昨日・今日とお世話になっている人達にそんな想いはさせたくない。
「分かった。これからはカーティスとクロウって、呼ぶ」
呼び方の変更を快く受け入れた私は、『これで寂しくないよね』と考える。
────が、クロウに注意された。
「名前で呼んでいただけて大変光栄ですが、カーティス様にはきちんと敬称をつけた方が……」
「いや、呼び捨てで構わない。曲がりなりにも、僕達は夫婦なのだから」
「ふむ……確かにそうですね。これは出過ぎた真似をしました」
『申し訳ございません』と頭を下げるクロウに、私は首を左右に振る。
『気にしないで』と声を掛けると、彼はホッとしたように胸を撫で下ろした。
────と、ここでマーサが口を開く。
「お話も一段落したことですし、そろそろ朝食にしませんか?せっかくのお料理が、冷めてしまいますわ」
『勿体ない』と主張するマーサに、私達は顔を見合わせた。
と同時に、『そういえば、まだ何も食べてなかったな』と気づく。
「マーサの言う通りだね。冷めないうちに頂こうか」
そう言って、カーティスはスプーンを手に取った。
かと思えば、湯気立つスープを掬い上げ、口に含む。
それを合図に、私も食事を始めた。
40
お気に入りに追加
1,966
あなたにおすすめの小説
真実の愛は、誰のもの?
ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」
妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。
だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。
ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。
「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」
「……ロマンチック、ですか……?」
「そう。二人ともに、想い出に残るような」
それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
忌み子にされた令嬢と精霊の愛し子
水空 葵
恋愛
公爵令嬢のシルフィーナはとあるパーティーで、「忌み子」と言われていることを理由に婚約破棄されてしまった。さらに冤罪までかけられ、窮地に陥るシルフィーナ。
そんな彼女は、王太子に助け出されることになった。
王太子に愛されるようになり幸せな日々を送る。
けれども、シルフィーナの力が明らかになった頃、元婚約者が「復縁してくれ」と迫ってきて……。
「そんなの絶対にお断りです!」
※他サイト様でも公開中です。
【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には
月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。
令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。
愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ――――
婚約は解消となった。
物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。
視点は、成金の商人視点。
設定はふわっと。
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!
みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。
妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。
今迄関わる事のなかった異母姉。
「私が、お姉様を幸せにするわ!」
その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。
最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。
❋主人公以外の他視点の話もあります。
❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる