235 / 243
第三章
実の父《ジェラルド side》①
しおりを挟む
「あぁ、でも……死ぬ前に一度、本当の父親と会ってみたかったな」
結局最後まで不明だった実父の存在を思い浮かべ、僕はそっと目を伏せる。
と同時に────目と鼻の先まで迫った怪物の手が、光となって消えた。
「……えっ?」
一体何が起きているのか分からず、僕は目を丸くする。
『こういう習性の怪物なのか……?』と困惑する中、光の中から銀髪碧眼の美丈夫が姿を現した。
立派な鎧に身を包むその御仁は、僕を見て少しばかり目を見開く。
「……子供?」
怪訝そうな表情を浮かべ、銀髪の美丈夫は眉間に皺を寄せた。
「何故、こんなところに居る?親はどうした?」
「え、えっと……」
さすがに『殺してきました』と白状するのは憚られて、僕は下を向いた。
どう答えるのが最善なのか思い悩む中、銀髪の美丈夫はスッと目を細める。
と同時に、僕を小脇に担いだ。
「とりあえず、じっとしていろ。安全なところまで連れていく」
そう言うが早いか、銀髪の美丈夫は来た道を引き返そうとするものの……怪物を目にするなり、迂回を決意する。
僕というお荷物を持って、戦うのは不利と判断したらしい。
もしくは、子供の精神状態に配慮したか……。
「────ん?死体?」
いつの間にか父を殺した現場に戻ってきていたらしく、銀髪の美丈夫は腐敗した死体を眺める。
「後で回収班を派遣しないといけないな」
懐から円柱型の何かを取り出し、銀髪の美丈夫はマッチで先っぽに火をつけた。
すると、緑色の煙が天高く舞い上がる。
『発煙筒……かな?』と思案する僕の前で、彼はソレを地面に突き立てた。
「これなら、いい目印になるだろ」
目いっぱい土の中に押し込んで固定し、銀髪の美丈夫は身を起こす。
と同時に、再び駆け出した。
が、直ぐに足を止める。
「今度は小屋か……」
僕の家を見て『誰か住んでいたのか?』と首を傾げ、銀髪の美丈夫は中へ入った。
かと思えば、立ち止まる。
その視線の先には、あの女の死体があった。
「何故、ここにあのお方が……?」
結局最後まで不明だった実父の存在を思い浮かべ、僕はそっと目を伏せる。
と同時に────目と鼻の先まで迫った怪物の手が、光となって消えた。
「……えっ?」
一体何が起きているのか分からず、僕は目を丸くする。
『こういう習性の怪物なのか……?』と困惑する中、光の中から銀髪碧眼の美丈夫が姿を現した。
立派な鎧に身を包むその御仁は、僕を見て少しばかり目を見開く。
「……子供?」
怪訝そうな表情を浮かべ、銀髪の美丈夫は眉間に皺を寄せた。
「何故、こんなところに居る?親はどうした?」
「え、えっと……」
さすがに『殺してきました』と白状するのは憚られて、僕は下を向いた。
どう答えるのが最善なのか思い悩む中、銀髪の美丈夫はスッと目を細める。
と同時に、僕を小脇に担いだ。
「とりあえず、じっとしていろ。安全なところまで連れていく」
そう言うが早いか、銀髪の美丈夫は来た道を引き返そうとするものの……怪物を目にするなり、迂回を決意する。
僕というお荷物を持って、戦うのは不利と判断したらしい。
もしくは、子供の精神状態に配慮したか……。
「────ん?死体?」
いつの間にか父を殺した現場に戻ってきていたらしく、銀髪の美丈夫は腐敗した死体を眺める。
「後で回収班を派遣しないといけないな」
懐から円柱型の何かを取り出し、銀髪の美丈夫はマッチで先っぽに火をつけた。
すると、緑色の煙が天高く舞い上がる。
『発煙筒……かな?』と思案する僕の前で、彼はソレを地面に突き立てた。
「これなら、いい目印になるだろ」
目いっぱい土の中に押し込んで固定し、銀髪の美丈夫は身を起こす。
と同時に、再び駆け出した。
が、直ぐに足を止める。
「今度は小屋か……」
僕の家を見て『誰か住んでいたのか?』と首を傾げ、銀髪の美丈夫は中へ入った。
かと思えば、立ち止まる。
その視線の先には、あの女の死体があった。
「何故、ここにあのお方が……?」
127
お気に入りに追加
3,401
あなたにおすすめの小説
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
(完結)逆行令嬢の婚約回避
あかる
恋愛
わたくし、スカーレット・ガゼルは公爵令嬢ですわ。
わたくしは第二王子と婚約して、ガゼル領を継ぐ筈でしたが、婚約破棄され、何故か国外追放に…そして隣国との国境の山まで来た時に、御者の方に殺されてしまったはずでした。それが何故か、婚約をする5歳の時まで戻ってしまいました。夢ではないはずですわ…剣で刺された時の痛みをまだ覚えていますもの。
何故かは分からないけど、ラッキーですわ。もう二度とあんな思いはしたくありません。回避させて頂きます。
完結しています。忘れなければ毎日投稿します。
「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚
ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。
※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる