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第三章

冬の管理者②

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「なんや?冬の管理者のところに行くんか?なら、ウチが連れて行くで」

 『そっちの方が早いし』と言い、エーセンは一際大きく翼を揺らした。
すると、私達の体は浮き上がり────大穴の中へ急降下。

「!?」

 私は反射的に父へ抱きつき、ギュッと目を瞑った。
その瞬間、下へ落ちていく感覚はなくなり、代わりに前へ押し出されるような感覚を覚える。
『な、何……?』と困惑しながら目を開けると、何かの通路のようなものを浮遊したまま通っていた。

「ど、どこ?ここ……」

「大穴の底にある道やで」

「えっ?深淵の見える湖へ行くんじゃなかったの?」

 事前に聞いていたルートとは違うため、私はパチパチと瞬きを繰り返す。
困惑を隠し切れずにいる私の前で、エーセンはコテリと首を傾げた。

「せやで。だから、ここを通ってるんやろ」

「もっと分かりやすく説明しなさいよ、おバカ」

 ペチッと前足でエーセンの頬を叩き、バハルは呆れたように溜め息を零す。
『貴方はいつも言葉が足りないのよ』と呆れながらかぶりを振り、こちらを向いた。

「ベアトリス様、風の吹く洞窟と深淵の見える湖はこの通路で繋がっているの。だから、このまま真っ直ぐ行けば冬の管理者のところへ行けるわ」

「そうだったのね」

 ようやく合点が行った私は、『説明、ありがとう』とお礼を言う。
────と、ここで前方から水の壁みたいなものが現れた。

「あれは一体……?」

 魚や海藻などが透けて見える澄んだ水に、私は目を見開く。
すると、ベラーノがピンッと尻尾を立てた。

「あれこそが────深淵の見える湖だ」

「……えっ?」

 水の壁とベラーノを交互に見やり、私は目を丸くした。
だって、繋がっているのは湖そのものじゃなくて、こう……湖のほとり辺りだと思っていたから。
要するに一度地上へ出るものだと考えていたのだ。

 まさかの湖直通って……いや、そもそも何で水はこちら側へ来ないのかしら?
もしかして、冬の管理者の能力?
だとしたら、凄いわね。

 などと考える中、エーセンは大きく息を吸い込む。
そして、水の壁の向こうに嘴だけ突っ込むと、息を吐き出した。
通常であればただ水が泡立つだけだが、秋の管理者は違うようで────大きな空気の膜を作り出す。
巨大な泡とでも言おうか……とにかく、水のない空間が湖の中にあるのだ。

「わぁ……!」

 思わず感嘆の息を漏らす私に、エーセンは誇らしげに胸を張る。
『こんなんウチしか出来へんで』と言いながら。

「ほんじゃ、行くで。あっ、膜には触らんといてな。強い衝撃を与えると、泡が弾けるみたいに割れるから」
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