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第三章

タビアの憶測②

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「ところで、ジェラルドは一体どうやって精霊の亡骸を魔物にしているんだい?というか、精霊の亡骸ってそうそうお目に掛かれるものじゃないよね?」

 『まず、どうやって見つけているんだ』と疑問に思うグランツ殿下に、タビアはスッと目を細めた。

「恐らく、いちいち精霊の死骸を見つけている訳じゃない」

「えっ?それって、まさか……」

「ああ。多分、あいつは精霊を────殺しているんだ」

「……」

 クシャリと顔を歪め、グランツ殿下は額に手を当てた。
そうじゃない可能性に縋りたかったのだろう。
『精霊にまで手を出しているなんて……』と苦悩する彼に対し、タビアは

「ここから先のことは、全て私の憶測だが……それでもいいか?」

 と、確認を取った。
『嫌なら、聞かなくていい』という意向を示す彼の前で、グランツ殿下は小さく笑う。

「……聞かせておくれ」

「分かった」

 間髪容れずに頷いたタビアは、居住まいを正してこちらを見据えた。

「まず、ジェラルドとやらがエルフの能力をいくつか持っている……いや、再現出来ているのは知っているな?」

「ああ、前回話していたからね」

「では、エルフの能力の中に────自我のない精霊を視認し、仮契約を交わせる力があるのは知っているか?」

「……一応」

 何となくタビアの考えを察してしまったのか、グランツ殿下は力無く項垂れた。
『嘘だろう……』と嘆く彼を他所に、タビアは一つ息を吐く。

「ジェラルドとやらは度重なる実験により、我々エルフと同じく精霊魔法を使えるようになってしまった。ただ、あくまでまがい物。完全ではない。故に────精霊を死に至らしめた」

 『元よりエルフの真似事など不可能だったんだ』と語り、タビアは自身の手のひらを眺めた。
どこか、憂いげな表情を浮かべながら。

「恐らく、直接の原因は実験で変質した魔力。これが精霊にとっては、致命的だったんだ」

「致命的……」

 なんだかイマイチ理解出来ず、私は泣き腫らした顔で悶々と考え込んだ。
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