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第二章
ジェラルドの過去を知って②
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「そろそろ日も暮れますし、引き返しましょう」
『ここに居ても、これ以上の収穫はない』と主張し、父は先導を切る形で歩き出す。
すると、グランツ殿下やバハルもゆっくりと踵を返した。
そのまま馬車のところまで戻ってきた私達は、行きと同じ席順で乗り込み、辺境を去る。
そして、公爵家へ着く頃にはもう深夜0時を回っていた。
「ベアトリス、今日は食事と入浴だけ済ませて早く寝なさい。夜更かしは体に悪い」
「はい、お父様」
コクリと頷いて父の腕から降りると、私は別館の侍女達に付き添われて部屋へ戻った。
『グランツ殿下とお父様はこれから話し合いみたいね』と考えつつ、私はさっさと寝る準備を終える。
満を持してベッドへ横になり、目を瞑るものの……やはり、眠れない。
気づけば、ジェラルドのことばかり考えている。
だって、今なら────彼の気持ちを理解出来るような気が、したから。
ジェラルドにとって、愛や恋に縋り付く私はきっとみっともなく……ううん、醜く見えたんだ思う。
自分を長年苦しめてきた親の愛情が、親同士の恋心が、親との思い出が呼び起こされて……。
その証拠に、ジェラルドは私を殺すとき『愛だの恋だのくだらない』と言っていた。
『君を見ていると、無性に腹が立つ』とも……。
当時のことを思い返し、私はなんだかとても悲しい気持ちになった。
以前まではこの記憶を呼び起こす度、恐怖と不安でいっぱいになっていたのに……今はそれよりも同情が勝る。
『一度は愛した人だから、かな……』と思案しながら、私はそっと眉尻を下げた。
「ジェラルドが私を殺した本当の理由は……その根底にあるものは、“自分の嫌悪しているものが一生ついて回る人生”から解放されること」
『自分を長年苦しめてきたものから、遠ざかりたい』という思いは、痛いほど理解出来る。
私も逆行前、ジェラルドの手を取ったときは……未来の皇后になることを決意したときは、同じ心境だったから。
とにかく、家から出たい……逃げたいって、思っていた。
『もちろん、彼を愛していたからというのもあるけど』と思いつつ、私は天井に向かって手を伸ばした。
すると、黒髪の男性が顔を覗き込んでくる。
『ここに居ても、これ以上の収穫はない』と主張し、父は先導を切る形で歩き出す。
すると、グランツ殿下やバハルもゆっくりと踵を返した。
そのまま馬車のところまで戻ってきた私達は、行きと同じ席順で乗り込み、辺境を去る。
そして、公爵家へ着く頃にはもう深夜0時を回っていた。
「ベアトリス、今日は食事と入浴だけ済ませて早く寝なさい。夜更かしは体に悪い」
「はい、お父様」
コクリと頷いて父の腕から降りると、私は別館の侍女達に付き添われて部屋へ戻った。
『グランツ殿下とお父様はこれから話し合いみたいね』と考えつつ、私はさっさと寝る準備を終える。
満を持してベッドへ横になり、目を瞑るものの……やはり、眠れない。
気づけば、ジェラルドのことばかり考えている。
だって、今なら────彼の気持ちを理解出来るような気が、したから。
ジェラルドにとって、愛や恋に縋り付く私はきっとみっともなく……ううん、醜く見えたんだ思う。
自分を長年苦しめてきた親の愛情が、親同士の恋心が、親との思い出が呼び起こされて……。
その証拠に、ジェラルドは私を殺すとき『愛だの恋だのくだらない』と言っていた。
『君を見ていると、無性に腹が立つ』とも……。
当時のことを思い返し、私はなんだかとても悲しい気持ちになった。
以前まではこの記憶を呼び起こす度、恐怖と不安でいっぱいになっていたのに……今はそれよりも同情が勝る。
『一度は愛した人だから、かな……』と思案しながら、私はそっと眉尻を下げた。
「ジェラルドが私を殺した本当の理由は……その根底にあるものは、“自分の嫌悪しているものが一生ついて回る人生”から解放されること」
『自分を長年苦しめてきたものから、遠ざかりたい』という思いは、痛いほど理解出来る。
私も逆行前、ジェラルドの手を取ったときは……未来の皇后になることを決意したときは、同じ心境だったから。
とにかく、家から出たい……逃げたいって、思っていた。
『もちろん、彼を愛していたからというのもあるけど』と思いつつ、私は天井に向かって手を伸ばした。
すると、黒髪の男性が顔を覗き込んでくる。
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