愛する婚約者に殺された公爵令嬢、死に戻りして光の公爵様(お父様)の溺愛に気づく 〜今度こそ、生きて幸せになります〜

あーもんど

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第二章

誇ってほしい①

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◇◆◇◆

「────あとのことは、ベアトリスも知っての通りだ」

 包み隠さず全てを話し終え、ルカは『だから、こんな格好な訳』と肩を竦める。
どこまでも淡々としている様子の彼に、私はそっと眉尻を下げた。
だって、ルカの歩んできた道は……選択はきっと何度も彼を苦しめてきた筈だから。

 ルカは平然としているけど、いきなり別の世界に呼び出された挙句、戦いを強いられて……その上、逆行による制約や負担を一人で背負うなんて。
並の人間では、耐えられない筈よ。

 『どんな気持ちで今まで過ごしてきたのか』と考え、私はギュッと胸元を握り締める。

「ルカのことについて教えてくれて、ありがとう。おかげで色々腑に落ちたわ」

 黒い瞳を真っ直ぐに見つめ返し、私は少しだけ表情を和らげた。

「ルカの強さはきっと、その優しさから来ているのね」

「……はっ?優しい?俺が?」

「ええ」

 間髪容れずに頷くと、ルカは思わずといった様子で仰け反る。

「いやいや、何言ってんだよ……!?俺様は超利己的だぜ!?」

「そんなことないわ。だって、この世界のために色々力を貸してくれたじゃない」

「そりゃあ、そういう取り引きだからな!第一、これから住もうとしている場所が滅んだら困るだろ!」

「だとしても、普通はそこまで尽くさないと思う。自暴自棄になったり、他の方法を模索したりしてリスクを避けるんじゃないかしら?少なくとも、即決はないわね」

 『本当に利己的な人なら、もっとワガママに振る舞っている』と主張し、私はベッドから降りた。
そして、窓辺で制止しているルカの元へ足を運び、スッと目を細める。

「それに今日のことだって、そう。ルカは『ベアトリスを死なせないため』じゃなくて、『誰一人命を落とさないようにするため』に戦おうとしてくれたでしょう?」

「それは……まあ、そうだけど。でも、結局自己満足だし……」

 目の前まで来た私から視線を逸らすように天井を見上げ、ルカはガシガシと頭を搔いた。
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