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第二章

ワガママ④

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「それに今日はルカと話がしたくて、起きていたの」

 僅かに表情を強ばらせながらそう言うと、ルカはスッと目を細めた。
かと思えば、少しばかり表情を引き締める。

「まあ、用件は聞かなくても分かる────俺の正体や発言の真意を知りたいんだろ?」

 相変わらず察しのいいルカに、私はコクリと頷いた。

「ええ、あのあとバタバタしていて聞きそびれちゃったけど、ルカさえ良ければ教えてほしい。私────貴方のことをもっとよく知りたいの。それで理解したい」

 これまでたくさんお世話になったのに、私はルカのことをあまり知らない。
どのような生い立ちで、どのような経験を積み、どのような人生を歩んできたのか……その欠片すら把握していないのだ。

「正直、これは私のワガママ。だから、嫌なら断ってほしい」

 『そしたら、もうこの話はしない』と告げ、私は真っ黒な瞳を見つめ返した。
確かな意志と覚悟を持って“知りたい”と願う私に、ルカはどこか呆れたような表情を浮かべる。

「そんな身構えるほど、大層なもんじゃねぇーよ。もっと気軽に聞け、気軽に」

 『こっちが緊張するわ』とかぶりを振り、ルカは腰に手を当てた。
と同時に、少しばかり身を乗り出す。

「まあ、とりあえず話してやるよ。絵本の読み聞かせ感覚で、聞いとけ」

 『そんで、寝ろ』と言いつつ、ルカは頭の後ろで腕を組んだ。

「とはいえ、どっから話すかなぁ……」

 天井を眺めながら思い悩み、ルカは眉間にちょっと皺を寄せる。

「あのな、俺は本来この時間軸に居ない存在で……てか、まずこの世界にすら存在してないっつーか……」

 ガシガシと頭を搔き、悶々とするルカは『どう説明すればいいんだ?』と頭を捻った。
かと思えば、チラリとこちらに視線を向ける。

「あー……この表現で伝わるか分かんねぇーけど、俺────俗に言う、異世界人なんだわ」
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