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第二章
エルフの特性①
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「これで、会話を聞かれる心配はない。この風によって、声の振動は掻き消される」
『だから、何も気にするな』と告げる緑髪の美男子に、私は目を見張る。
だって、こんな自然に……何の予備動作もなく、精霊魔法を使えるなんて知らなかったから。
「契約精霊にどうして欲しいのか伝えなくても、魔法って使えるのね」
『凄い』と素直に感心していると、緑髪の美男子は不思議そうに首を傾げる。
「私の使用した精霊魔法は厳密に言うと、別物なんだが……」
「えっ?そうなんですか?」
「ああ。まず先に宣言しておくと────私はどの精霊とも契約していない」
「……はい?」
『精霊魔法を使える=契約精霊が居る』という前提を崩され、私は目を白黒させた。
理解が追いつかず悶々とする私を前に、緑髪の美男子は手を組む。
「精霊に自我のある者とない者があることは、知っているか?」
「は、はい」
「なら、話は早いな。結論から言うと、私は────自我のない精霊を操って、魔法を使ったんだ」
「えっ……?」
ますます訳が分からなくなり、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
すると、すかさずバハルが口を開く。
「あのね、ベアトリス様。精霊との親和性が高いエルフは仮契約を取り付けて、少しの間力を借りられるの。もちろん、様々な制約はあるけれど」
「そうなのね。でも、どうやって精霊を見つけたの?だって、彼の話が正しければ自我のない精霊から……本来視えない筈の存在から、力を借りたことになるわよね?」
『当てずっぽうでやったのか』と思案する私に、バハルはこう答える。
「エルフはその親和性の高さから、あらゆる精霊を視認出来るの。だから、自我のない精霊からも力を借りられるのよ」
「というか、それが主流だな。自我のある精霊は意思や感情を持っているため、反発されやすいんだ」
『視えるからといって、操ることは出来ない』と語る緑髪の美男子に、私は相槌を打つ。
私の思っている以上に、エルフという親族は凄いのね。
道理で、ユリウスが焦る訳だわ。
『だから、何も気にするな』と告げる緑髪の美男子に、私は目を見張る。
だって、こんな自然に……何の予備動作もなく、精霊魔法を使えるなんて知らなかったから。
「契約精霊にどうして欲しいのか伝えなくても、魔法って使えるのね」
『凄い』と素直に感心していると、緑髪の美男子は不思議そうに首を傾げる。
「私の使用した精霊魔法は厳密に言うと、別物なんだが……」
「えっ?そうなんですか?」
「ああ。まず先に宣言しておくと────私はどの精霊とも契約していない」
「……はい?」
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「は、はい」
「なら、話は早いな。結論から言うと、私は────自我のない精霊を操って、魔法を使ったんだ」
「えっ……?」
ますます訳が分からなくなり、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
すると、すかさずバハルが口を開く。
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「そうなのね。でも、どうやって精霊を見つけたの?だって、彼の話が正しければ自我のない精霊から……本来視えない筈の存在から、力を借りたことになるわよね?」
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「エルフはその親和性の高さから、あらゆる精霊を視認出来るの。だから、自我のない精霊からも力を借りられるのよ」
「というか、それが主流だな。自我のある精霊は意思や感情を持っているため、反発されやすいんだ」
『視えるからといって、操ることは出来ない』と語る緑髪の美男子に、私は相槌を打つ。
私の思っている以上に、エルフという親族は凄いのね。
道理で、ユリウスが焦る訳だわ。
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