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第二章
任命式《アラン side》
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「さて、一階に戻るか」
誰に言うでもなくそう呟くと、俺は再び天井裏に戻り、来た道を引き返した。
────と、ここで一階のホールにプレートのようなものが浮かび上がる。
そこには、謁見の間の様子が映し出されていた。
イザベラ様は確か、『ちゅーけー(中継)』とかなんとか言っていたな。
『相当魔力を消費する代物らしいが』と考える中、ガキ共はプレートに釘付けとなった。
大人も奥に映るイザベラ様を見るなり、慌てて手を止める。
と同時に、跪いた。
『皆の者、唐突で悪いが────これより、新しい宰相の任命式を始める』
そう言うが早いか、玉座に腰掛けるイザベラ様はクイクイッと人差し指を動かした。
真っ黒な瞳はどこか遠くを見ており────間もなくして、アリシアという元奴隷の少女が姿を現す。
ポニーテールにした茶髪を揺らして前へ進む彼女は、どこか凛としていた。
以前までの彼女はもっと、こう……暗くて卑屈だったんだけどな。
きっと、イザベラ様のおかげで変われたんだろう。
俺達がそうだったように。
『あの人には敵わないよな』と肩を竦め、玉座の前で跪くアリシアを眺める。
────と、ここでイザベラ様が席を立った。
そして伴侶のジーク様を伴い、ゆっくり段差を降りていく。
『正式に宰相へ任命する前に、先の戦争で荒れた民心を見事取り戻した褒美をやろう』
隣に立つジーク様から書物を受け取りつつ、イザベラ様はアリシアの前で足を止めた。
と同時に、ニンマリと笑う。
『あっ、これは良からぬことを考えている時の顔だ』と確信する中、彼女は丸めてあった書類をペランと広げた。
『アリシア、貴様に元クリーガー王国・フィーネ王国・シックザール帝国の領地を授ける』
『えっ……?』
『ついでに大公位もやろう。ファミリーネームはそうだな……オースティンなんて、どうだ?』
心底愉快そうな顔でそう言い、イザベラ様はペシペシとアリシアの肩を叩く。
恐らく、アルバート帝国の宰相として恥ずかしくないよう、領地と爵位を授けたんだろうが……明らかにやり過ぎだ。
確実に反感を買う。
『いや、それが狙いなのか……?』と戸惑っていると、アリシアが目を白黒させた。
『あ、あの……大変有り難い話ですが、私には身が重……』
『イザベラ様のご褒美を断るのか?』
思わずといった様子で声を掛け、ジーク様はじっと……じぃぃぃぃっとアリシアを見つめた。
『無礼にもほどがあるぞ』と圧を掛ける彼の前で、アリシアは半泣きになる。
が、助けに入る者は誰もおらず……ガクリと項垂れた。
『つ、謹んで頂戴いたします……』
『ああ、領地経営とか統治とか頑張ってくれ』
それが本音か……。
三ヶ国の未来を見事丸投げしたイザベラ様に、俺は『あはは……』と乾いた笑みを漏らす。
でも、出来ないと分かっていたら絶対に任せない人なので、それだけアリシアを高く買っているんだろうと思った。
『ちょっと羨ましいような……俺じゃなくてホッとしたような……』という複雑な気分に陥り、肩を竦める。
────と、ここでイザベラ様がパチンッと指を鳴らした。
『では、そろそろ本題に入ろう』
そう言って、イザベラ様は亜空間収納から万年筆と杖を取り出す。
『アリシア・オースティン大公、貴様をアルバート帝国の宰相に任命する。私の右腕として、これからよろしく頼むぞ』
『はい』
頭を垂れて了承の意を示し、アリシアは両手で記念品の万年筆と杖を受け取った。
と同時に────どこからともなく爆発音が……。
『まさか、あの魔法爆弾が……!?』と焦るものの、ガキ共のはしゃぐ声を聞いて驚く。
だって、予定にない花火が上がっていたから。
多分、この演出はイザベラ様の魔法によるものだ。
もし、他の者なら事前準備の段階で……花火設置の段階で、俺達『疾風』は気づいていた。
でも、何でいきなり花火を……?イザベラ様はそのようなサプライズを用意するタイプじゃない筈……。
「考えられる可能性としては────魔法爆弾の爆発に気づいて、カモフラージュした線くらいか?」
『イザベラ様なら、有り得る』と思い、俺は苦笑を漏らす。
これなら、たとえ被害が出ても『花火の打ち上げに失敗したせい』と説明出来る。
爆破そのものを防げなかったのは痛いが、原因不明のトラブルや魔法爆弾の爆発と思われるよりマシだった。
『不慮の事故なら、しょうがないよね』と、みんな納得するため。
そこまで見越して花火を打ち上げたなら、イザベラ様は相当頭が切れるな。
『想像以上だ』と目を細める中、イザベラ様はこちらを向く。
『アルバート帝国に住まう全ての者達に告ぐ。アリシアのような出世がしたいなら、死ぬ気で己を磨き上げろ。私は有能で従順なやつなら、性別・年齢・身分問わず歓迎するぞ』
大事なのは実力であることを強調し、イザベラ様は両手を広げた。
かと思えば、不敵な笑みを浮かべる。
『もし今の待遇に不満があるのなら、立ち上がれ。ここまで這い上がってこい────次の時代を作るのは、貴様らだ』
古株を追い出せとも捉えられるセリフを吐き、イザベラ様は闇に染まる瞳をスッと細めた。
こちらの心の中を覗かれているような……いや、むしろこっちが深淵を覗いているような不思議な感覚に陥る中、彼女は身を翻す。
と同時に、映像を映し出していたプレートは弾けて消えた。
が、誰も動かさない。声すら出さずに、プレートのあった場所を凝視している。
元奴隷達に関しては、我を忘れたかのような放心っぷりだった。
きっと、イザベラ様の激励を……『お前達はずっと、そこで立ち止まっているつもりか?』というメッセージを感じ取ったんだろうな。
奴隷解放を本当の意味で遂げるには、彼ら一人一人が自分の足で立って幸せを掴まなければならない。
じゃないと、彼らはいつまで経っても『可哀想な奴隷』のままだから。
そして、その記念すべき第一歩をアリシアが踏み出した。
でも、誰かが後に続かなければ彼女の勇気は……努力は報われない。
「……アリシアだけに負担を掛ける訳には、いかないよな」
意外にも沈黙を破ったのは、キースで……皇城のある方向を見つめている。
「僕もいい加減、腹を括らないと」
『おんぶにだっこじゃ、恥ずかしい』と零し、キースは強く手を握り締めた。
かと思えば、ウチのガキ共へ向き直る。
「工房を借りれないか、イザベラ皇帝陛下に聞いてくれないか?僕────また魔剣を作るよ。リクエストしてくれれば、他のものも」
「別にいいけど……魔剣を作りたくなくて、駄々を捏ねていたんじゃないの?」
「いや、僕は駄々を捏ねていた訳じゃ……ただ、イザベラ皇帝陛下の本心を推し量っていただけだ。また無意味な殺戮を繰り広げるために、僕の作った武器を使われちゃ困るからな」
『勘違いするな』と言い放ち、キースはフイッと顔を逸らす。
が、その頬は赤く染まっていた。
きっと、意地を張っていた自覚はあるのだろう。
まあ、何はともあれ丸く収まったようで良かった。
キースに触発されて、奴隷時代やっていた仕事に復帰しようとする者達も何人か居るし。
『これから、もっと帝国は豊かになるな』と頬を緩め、俺は前髪を掻き上げる。
と同時に、スッと目を細めた。
せっかくいい感じに話が纏まってきたんだから、ソラリス神殿には早めに退場してもらわないとな。
帝国の平穏を脅かすなら、容赦はしない。たとえ、かつてお世話になった相手でも。
『所詮は仕事上の繋がりだしな』と思い立ち、俺は静かに闘志を燃やした。
誰に言うでもなくそう呟くと、俺は再び天井裏に戻り、来た道を引き返した。
────と、ここで一階のホールにプレートのようなものが浮かび上がる。
そこには、謁見の間の様子が映し出されていた。
イザベラ様は確か、『ちゅーけー(中継)』とかなんとか言っていたな。
『相当魔力を消費する代物らしいが』と考える中、ガキ共はプレートに釘付けとなった。
大人も奥に映るイザベラ様を見るなり、慌てて手を止める。
と同時に、跪いた。
『皆の者、唐突で悪いが────これより、新しい宰相の任命式を始める』
そう言うが早いか、玉座に腰掛けるイザベラ様はクイクイッと人差し指を動かした。
真っ黒な瞳はどこか遠くを見ており────間もなくして、アリシアという元奴隷の少女が姿を現す。
ポニーテールにした茶髪を揺らして前へ進む彼女は、どこか凛としていた。
以前までの彼女はもっと、こう……暗くて卑屈だったんだけどな。
きっと、イザベラ様のおかげで変われたんだろう。
俺達がそうだったように。
『あの人には敵わないよな』と肩を竦め、玉座の前で跪くアリシアを眺める。
────と、ここでイザベラ様が席を立った。
そして伴侶のジーク様を伴い、ゆっくり段差を降りていく。
『正式に宰相へ任命する前に、先の戦争で荒れた民心を見事取り戻した褒美をやろう』
隣に立つジーク様から書物を受け取りつつ、イザベラ様はアリシアの前で足を止めた。
と同時に、ニンマリと笑う。
『あっ、これは良からぬことを考えている時の顔だ』と確信する中、彼女は丸めてあった書類をペランと広げた。
『アリシア、貴様に元クリーガー王国・フィーネ王国・シックザール帝国の領地を授ける』
『えっ……?』
『ついでに大公位もやろう。ファミリーネームはそうだな……オースティンなんて、どうだ?』
心底愉快そうな顔でそう言い、イザベラ様はペシペシとアリシアの肩を叩く。
恐らく、アルバート帝国の宰相として恥ずかしくないよう、領地と爵位を授けたんだろうが……明らかにやり過ぎだ。
確実に反感を買う。
『いや、それが狙いなのか……?』と戸惑っていると、アリシアが目を白黒させた。
『あ、あの……大変有り難い話ですが、私には身が重……』
『イザベラ様のご褒美を断るのか?』
思わずといった様子で声を掛け、ジーク様はじっと……じぃぃぃぃっとアリシアを見つめた。
『無礼にもほどがあるぞ』と圧を掛ける彼の前で、アリシアは半泣きになる。
が、助けに入る者は誰もおらず……ガクリと項垂れた。
『つ、謹んで頂戴いたします……』
『ああ、領地経営とか統治とか頑張ってくれ』
それが本音か……。
三ヶ国の未来を見事丸投げしたイザベラ様に、俺は『あはは……』と乾いた笑みを漏らす。
でも、出来ないと分かっていたら絶対に任せない人なので、それだけアリシアを高く買っているんだろうと思った。
『ちょっと羨ましいような……俺じゃなくてホッとしたような……』という複雑な気分に陥り、肩を竦める。
────と、ここでイザベラ様がパチンッと指を鳴らした。
『では、そろそろ本題に入ろう』
そう言って、イザベラ様は亜空間収納から万年筆と杖を取り出す。
『アリシア・オースティン大公、貴様をアルバート帝国の宰相に任命する。私の右腕として、これからよろしく頼むぞ』
『はい』
頭を垂れて了承の意を示し、アリシアは両手で記念品の万年筆と杖を受け取った。
と同時に────どこからともなく爆発音が……。
『まさか、あの魔法爆弾が……!?』と焦るものの、ガキ共のはしゃぐ声を聞いて驚く。
だって、予定にない花火が上がっていたから。
多分、この演出はイザベラ様の魔法によるものだ。
もし、他の者なら事前準備の段階で……花火設置の段階で、俺達『疾風』は気づいていた。
でも、何でいきなり花火を……?イザベラ様はそのようなサプライズを用意するタイプじゃない筈……。
「考えられる可能性としては────魔法爆弾の爆発に気づいて、カモフラージュした線くらいか?」
『イザベラ様なら、有り得る』と思い、俺は苦笑を漏らす。
これなら、たとえ被害が出ても『花火の打ち上げに失敗したせい』と説明出来る。
爆破そのものを防げなかったのは痛いが、原因不明のトラブルや魔法爆弾の爆発と思われるよりマシだった。
『不慮の事故なら、しょうがないよね』と、みんな納得するため。
そこまで見越して花火を打ち上げたなら、イザベラ様は相当頭が切れるな。
『想像以上だ』と目を細める中、イザベラ様はこちらを向く。
『アルバート帝国に住まう全ての者達に告ぐ。アリシアのような出世がしたいなら、死ぬ気で己を磨き上げろ。私は有能で従順なやつなら、性別・年齢・身分問わず歓迎するぞ』
大事なのは実力であることを強調し、イザベラ様は両手を広げた。
かと思えば、不敵な笑みを浮かべる。
『もし今の待遇に不満があるのなら、立ち上がれ。ここまで這い上がってこい────次の時代を作るのは、貴様らだ』
古株を追い出せとも捉えられるセリフを吐き、イザベラ様は闇に染まる瞳をスッと細めた。
こちらの心の中を覗かれているような……いや、むしろこっちが深淵を覗いているような不思議な感覚に陥る中、彼女は身を翻す。
と同時に、映像を映し出していたプレートは弾けて消えた。
が、誰も動かさない。声すら出さずに、プレートのあった場所を凝視している。
元奴隷達に関しては、我を忘れたかのような放心っぷりだった。
きっと、イザベラ様の激励を……『お前達はずっと、そこで立ち止まっているつもりか?』というメッセージを感じ取ったんだろうな。
奴隷解放を本当の意味で遂げるには、彼ら一人一人が自分の足で立って幸せを掴まなければならない。
じゃないと、彼らはいつまで経っても『可哀想な奴隷』のままだから。
そして、その記念すべき第一歩をアリシアが踏み出した。
でも、誰かが後に続かなければ彼女の勇気は……努力は報われない。
「……アリシアだけに負担を掛ける訳には、いかないよな」
意外にも沈黙を破ったのは、キースで……皇城のある方向を見つめている。
「僕もいい加減、腹を括らないと」
『おんぶにだっこじゃ、恥ずかしい』と零し、キースは強く手を握り締めた。
かと思えば、ウチのガキ共へ向き直る。
「工房を借りれないか、イザベラ皇帝陛下に聞いてくれないか?僕────また魔剣を作るよ。リクエストしてくれれば、他のものも」
「別にいいけど……魔剣を作りたくなくて、駄々を捏ねていたんじゃないの?」
「いや、僕は駄々を捏ねていた訳じゃ……ただ、イザベラ皇帝陛下の本心を推し量っていただけだ。また無意味な殺戮を繰り広げるために、僕の作った武器を使われちゃ困るからな」
『勘違いするな』と言い放ち、キースはフイッと顔を逸らす。
が、その頬は赤く染まっていた。
きっと、意地を張っていた自覚はあるのだろう。
まあ、何はともあれ丸く収まったようで良かった。
キースに触発されて、奴隷時代やっていた仕事に復帰しようとする者達も何人か居るし。
『これから、もっと帝国は豊かになるな』と頬を緩め、俺は前髪を掻き上げる。
と同時に、スッと目を細めた。
せっかくいい感じに話が纏まってきたんだから、ソラリス神殿には早めに退場してもらわないとな。
帝国の平穏を脅かすなら、容赦はしない。たとえ、かつてお世話になった相手でも。
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