断罪されし真の聖女は滅びを嘆く

あーもんど

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第三章

質問

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「早とちりしてしまい、申し訳ございません……!それから、私の選択意思を尊重してくださり、ありがとうございます!」

 謝罪とお礼を口にした私は、ペコリと小さく頭を下げた。
気を引き締めなくてはならないのに、嬉しくてついつい頬が緩んでしまう。
口元を手で覆い隠す私は、『まだ話し合いの途中だから』と己を諌める。
そして、何とか表情を取り繕い────私は気持ちを切り替えた。

「ところで、一つ質問があるのですが……復讐とは、一体どういうことですか?」

 意図せず聞いてしまった会話を思い返し、私は単刀直入に質問を投げ掛ける。
『正直に話して欲しい』と申し出ると、旦那様は困ったように眉尻を下げた。
告白を躊躇うように視線を泳がせ、曖昧に微笑む。
でも、『きちんと話をしよう』と言い出したのは彼なので、誤魔化すことなど出来なかった。
『隠し通せない』と判断したのか、旦那様は観念したように口を開く。

「ハワードから、偽聖女扱いされたところまでは聞いていたから、天罰の意味も込めて復讐したんだ。まあ、なかなか上手くいかなかったけど……でも、それももう終わり。明日でメイヴィスの居た世界下界は────滅びる・・・から」

 神妙な面持ちで世界崩壊を語った旦那様に、迷いはなかった。
神の花嫁に手を出した人間達に天罰を下すのは、もはや決定事項なのだろう。
人間達に辿る悲惨な末路に、私は複雑な感情を抱いた。

 トリスタン王子たちの自業自得とはいえ、世界崩壊はさすがにやり過ぎなんじゃ……?
罪のない人まで巻き込むのは、正直気が進まないわ……。

 人としての在り方や価値観を捨てきれない私は、悩ましげに眉を顰めた。
自分に決定を覆すほどの権限はないが、口を出す権利くらいはあるだろう────と判断し、私は顔を上げる。

「差し出がましいお願いかもしれませんが、その……世界崩壊は、どうにかなりませんか?無関係の人には、温情を与えて欲しいんです……」

 躊躇いがちに黄金の瞳を見つめ返す私は、懇願にも似た響きでお願いした。
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