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第三章
詰問《ハワード side》
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執務室で修羅場が巻き起こったことなど、露知らず……私は呑気に部屋の掃除をしていた。
メイヴィスの使用した衣服を仕舞ったり、花瓶の水を取り替えたりしながら、過ごしていると────突然、部屋の扉が開く。
そして、部屋の主であるメイヴィスが入ってきたかと思えば……いきなり、手首を掴まれた。
「ねぇ、ハワードでしょう!?旦那様やカシエルに────下界のことを話したのは!」
「!!?」
鬼気迫る勢いで詰め寄ってきたメイヴィスに、私は大きく目を見開いた。
『何故、それを知って……?』と混乱する私は、ただただ呆然とする。
動揺するあまり一言も話せない私に、メイヴィスは更に語気を強めた。
「ねぇ、どうして約束を破ったの!?それとも、もう既に下界のことを話していたの!?なら、何で教えてくれなかったの!?もう全部話した、って!」
目尻に涙を浮かべるメイヴィスは、キッとこちらを睨みつける。
でも、表情そのものは悲しみに満ちていて……裏切られたことを嘆いているように見えた。
ポロリと零れ落ちた一粒の涙を目で追い、私は俯く。
結局、メイヴィス様を深く傷つけてしまった……。
あれだけ守りたい、と……幸せになって欲しい、と願っていたのに。
メイヴィス様から、笑顔を奪ったのは────私だった。
『最低だな……』と自虐する私は、グッと拳を握り締めた。
苦しげに顔を歪めると、メイヴィスはハッとしたように目を見開く。
でも、裏切られたショックを上手く消化できないのか、彼女は複雑な面持ちで俯いた。
「……で、出ていって!一人にしてちょうだい!」
扉の方を指さし、メイヴィスはヒステリックに叫ぶ。
恐らく、気持ちの整理をする時間が欲しいのだろう。
でも、メイヴィスを一人にするのが不安で、私は動けなかった。
また間違った選択をしたら、と考えると……足が竦んでしまう。
メイヴィス様に嫌われてもいいから、傍に居たい……彼女の存在をきちんと知覚しておきたい。
そうすれば、最悪の事態は避けられるだろうから……。
『何かあっても、体を張って止めればいいだけ』と考え、私は覚悟を決める。
内心ビクビクしながらも、一歩も動かずにいると────メイヴィスが痺れを切らした。
彼女は掴んだままの手を引っ張り、廊下まで連れて行こうとする。
でも、ある程度手加減しているのか、力はそこまで強くなかった。
だから、振りほどこうと思えば、いつでも出来る。でも────抵抗した際に怪我を負わせるのが怖くて、出来なかった。
良くも悪くもメイヴィスに甘い私は、そのまま部屋の外へ追い出される。
そして、説得する暇もなく、部屋の鍵を掛けられてしまった。
固く閉ざされた扉を見つめ、私は困ったように眉尻を下げる。
『一体、どうすればいいんだ?』と頭を悩ませる中、廊下の曲がり角から見知った人物が現れた。
メイヴィスの使用した衣服を仕舞ったり、花瓶の水を取り替えたりしながら、過ごしていると────突然、部屋の扉が開く。
そして、部屋の主であるメイヴィスが入ってきたかと思えば……いきなり、手首を掴まれた。
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動揺するあまり一言も話せない私に、メイヴィスは更に語気を強めた。
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目尻に涙を浮かべるメイヴィスは、キッとこちらを睨みつける。
でも、表情そのものは悲しみに満ちていて……裏切られたことを嘆いているように見えた。
ポロリと零れ落ちた一粒の涙を目で追い、私は俯く。
結局、メイヴィス様を深く傷つけてしまった……。
あれだけ守りたい、と……幸せになって欲しい、と願っていたのに。
メイヴィス様から、笑顔を奪ったのは────私だった。
『最低だな……』と自虐する私は、グッと拳を握り締めた。
苦しげに顔を歪めると、メイヴィスはハッとしたように目を見開く。
でも、裏切られたショックを上手く消化できないのか、彼女は複雑な面持ちで俯いた。
「……で、出ていって!一人にしてちょうだい!」
扉の方を指さし、メイヴィスはヒステリックに叫ぶ。
恐らく、気持ちの整理をする時間が欲しいのだろう。
でも、メイヴィスを一人にするのが不安で、私は動けなかった。
また間違った選択をしたら、と考えると……足が竦んでしまう。
メイヴィス様に嫌われてもいいから、傍に居たい……彼女の存在をきちんと知覚しておきたい。
そうすれば、最悪の事態は避けられるだろうから……。
『何かあっても、体を張って止めればいいだけ』と考え、私は覚悟を決める。
内心ビクビクしながらも、一歩も動かずにいると────メイヴィスが痺れを切らした。
彼女は掴んだままの手を引っ張り、廊下まで連れて行こうとする。
でも、ある程度手加減しているのか、力はそこまで強くなかった。
だから、振りほどこうと思えば、いつでも出来る。でも────抵抗した際に怪我を負わせるのが怖くて、出来なかった。
良くも悪くもメイヴィスに甘い私は、そのまま部屋の外へ追い出される。
そして、説得する暇もなく、部屋の鍵を掛けられてしまった。
固く閉ざされた扉を見つめ、私は困ったように眉尻を下げる。
『一体、どうすればいいんだ?』と頭を悩ませる中、廊下の曲がり角から見知った人物が現れた。
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