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第二章
手遅れ《ロゼッタ side》
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『はっ……はっ……』と浅く呼吸する私は、神の怒りを買った事実にひたすら恐怖するしかなかった。
「ぁ、ああっ……!!わ、たし……!わざとじゃ……」
「今更、何を言っても遅いですよ。綿密な作戦を立て、あらゆるところに根回しをしていたことは知っていますから」
「っ……!!」
もう事件の調べはついているようで、彼は……いや、天使様は反論する余地すら、与えてくれなかった。
『今更後悔しても遅い』とでも言うように、軽蔑の眼差しをこちらに向けてくる。
「本物の聖女であるメイヴィス様を傷つけ、殺害したことに神は強い怒りを感じております。そして、神の逆鱗に触れたこの世界は滅びることに決まりました。明日、世界は灼熱の炎に包まれ、終わりを迎えるでしょう」
「そ、そんなっ……!!」
容赦のない天罰に、私は言葉を失った。
まさか、世界を巻き込むことになるなんて、思わず……不安と恐怖を覚える。
私がメイヴィスを死に追いやったせいで、世界は亡びる……。
もし、この事実を他の誰かに知られたら、大変なことになるわ……!!名誉ある死とか、そんなことを言っている場合じゃなくなる……!教皇聖下の立てた作戦も、私の努力も全て水の泡よ……!
「ねぇ!この事はまだ私たち以外、誰も知らないの!?」
ギュッと手を握り締める私は、天使様に縋るような眼差しを向ける。
祈るような気持ちで返答を待つ中、彼はゆっくりと口を開いた。
「────この事はもう世界中に知れ渡っています。各国の王城と教会に伝言役の天使を向かわせましたから。今頃、あちこちで暴動が起きてるんじゃないですか?ここも安全とは、言い切れませんよ」
「う、嘘……」
一縷の望みは打ち砕かれ、私はヘナヘナとその場に座り込んだ。
抜け殻のように呆然とする私を他所に、天使様はバサリと翼を広げる。
「では、私はこれで失礼します。残り僅かな時間をどうぞ、お楽しみ下さい」
その言葉を最後に、天使様は眩いほどの光に包まれ、姿を消した。
「ぁ、ああっ……!!わ、たし……!わざとじゃ……」
「今更、何を言っても遅いですよ。綿密な作戦を立て、あらゆるところに根回しをしていたことは知っていますから」
「っ……!!」
もう事件の調べはついているようで、彼は……いや、天使様は反論する余地すら、与えてくれなかった。
『今更後悔しても遅い』とでも言うように、軽蔑の眼差しをこちらに向けてくる。
「本物の聖女であるメイヴィス様を傷つけ、殺害したことに神は強い怒りを感じております。そして、神の逆鱗に触れたこの世界は滅びることに決まりました。明日、世界は灼熱の炎に包まれ、終わりを迎えるでしょう」
「そ、そんなっ……!!」
容赦のない天罰に、私は言葉を失った。
まさか、世界を巻き込むことになるなんて、思わず……不安と恐怖を覚える。
私がメイヴィスを死に追いやったせいで、世界は亡びる……。
もし、この事実を他の誰かに知られたら、大変なことになるわ……!!名誉ある死とか、そんなことを言っている場合じゃなくなる……!教皇聖下の立てた作戦も、私の努力も全て水の泡よ……!
「ねぇ!この事はまだ私たち以外、誰も知らないの!?」
ギュッと手を握り締める私は、天使様に縋るような眼差しを向ける。
祈るような気持ちで返答を待つ中、彼はゆっくりと口を開いた。
「────この事はもう世界中に知れ渡っています。各国の王城と教会に伝言役の天使を向かわせましたから。今頃、あちこちで暴動が起きてるんじゃないですか?ここも安全とは、言い切れませんよ」
「う、嘘……」
一縷の望みは打ち砕かれ、私はヘナヘナとその場に座り込んだ。
抜け殻のように呆然とする私を他所に、天使様はバサリと翼を広げる。
「では、私はこれで失礼します。残り僅かな時間をどうぞ、お楽しみ下さい」
その言葉を最後に、天使様は眩いほどの光に包まれ、姿を消した。
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