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第七章
第295話『ドローンで様子見《田中 side》』
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「まだまだ荒削りの部分はあるが、ガキにしてはよく考えたじゃねぇーか」
『よくやった』と褒め、集団リンチに遭うウァサゴを見つめる。
『クールタイムが終わる前に!』と焦っているのか、前衛メンバーは容赦なく拳を繰り出した。
後衛メンバーも出し惜しみすることなく、強化魔法や支援魔法を放っている。
恐らく、またセト一人に耐えてもらうのは嫌なんだろう。
『早く死ね!』と言わんばかりの暴挙に苦笑していると、ついにウァサゴは消滅する。
ふわふわと宙を漂う光の粒子を前に、セト達はホッと胸を撫で下ろした。
「よし、じゃあ次行くか」
「「「おー!」」」
いつの間にかスクリーンの前に集まっていた部下達は、勢いよく拳を振り上げる。
アニメの戦闘シーンでも観ているような気分なのか、目をキラキラさせていた。
『テメェらは特撮好きのキッズかよ……』と呆れつつ、俺は偵察用のドローンを奥へ移動させる。
すると、間もなくして────『蒼天のソレーユ』と四天王アガレスの姿を捉えた。
「おっ?こっちは優勢だな」
既に服も髪も乱れまくっているアガレスを眺め、俺は『いい調子じゃん』と笑う。
助太刀の必要はなさそうだと思い、一旦この場を離れようとした。
その瞬間────アガレスが最後の悪足掻きを始める。
「おっとっと……」
突然変わった天候と暴風によりドローンを吹き飛ばされそうになり、俺は慌てて地上へ降りた。
そして、下から手のような……縄のようなものを出し、木々に纏わり付く。
ドローンを固定するために。
『一先ず、これで大丈夫か?』と考える中、アガレスは雷雲を呼んだ。
かと思えば、あちこちに雷を落としまくる。
「いや、傍迷惑なやつだな」
『ドローンに当たったらどうすんだ』と文句を言い、俺は眉を顰める。
だって、このドローン一台で家を建てられるから。
もちろんFRO内での話だが、破壊を容認する訳にはいかなかった。
『おい、ニール!どうにかしろ!』と心の中で叫び、俺は画面の端っこに移る男を凝視する。
すると、こちらの意志が通じたのか────ニールはトドメを刺しに行った。
指揮者のように手を動かし、部下達に指示を出す彼は雨も風も雷も気にせず連続攻撃。
さっきまで前衛が弾幕を張る役で、後衛がダメージを与える役だったのに……一斉攻撃へ切り替えやがった。
てことは、これ────勝ち確だな。
じゃなきゃ、こんな舐めたプレイしねぇーよ。
あのニールなら、尚更な。
『アガレスの暴走も織り込み済みってことか?』と考える中、『蒼天のソレーユ』は絶え間なく攻撃を繰り出す。
冷静さを欠いたアガレスなど敵でもないのか、着実にダメージを与えて行った。
「マジで容赦ねぇーな。まあ、一切防御せず攻撃に全振りしたアガレスもアガレスだけど」
切断された手足も折れた歯も無視して戦う着物女に、俺は『ありゃ、負けるわ』と肩を竦めた。
だって、連携力の優れた『蒼天のソレーユ』にああいう戦い方は向かないから。
『虐殺の紅月』のような猛者でもない限り、力任せに戦っても倒せない。
というか────あいつらの連携は崩れない。
本気で勝ちたいなら、まずは指揮官のニールを狙うことだな。
まあ、そんなのギルドメンバーが許さないだろうけど。
「────って、言っている傍から……」
巨大スクリーンに映ったアガレスの愚行を前に、俺は溜め息を零す。
『せめて、こいつだけでも!』とでも言うように捨て身で向かっていくアガレスを、俺は少しだけ哀れんだ。
『大人しくしておけば、もうちょっと長生き出来たのに』と。
「「「おお……」」」
各々大技を放つ『蒼天のソレーユ』のメンバーに、ウチの部下達は目を剥いた。
その瞬間、アガレスは全身に大怪我を負い、光の粒子と化す。
結局、奴の繰り出した最後の一撃は……刃はニールに届かなかった。
悔しそうに顔を歪めるアガレスは、簪と共に消え失せる。
さて、あとはヘスティアのところだけか。
固定したドローンを元に戻しながら、俺は『もう終わってそうだけど』と苦笑いする。
そして、ドローンを再び空に飛ばした瞬間────城の方から、大きな火柱が上がった。
と同時に、凄まじい爆音と爆風がここら一帯を包み込む。
ドローンを通さずとも感じる攻撃の余波に、俺は『おいおい、マジかよ』と呟いた。
「どんだけ、派手な戦いをしてんだ?」
吹き飛ばされて戻ってきたドローンを前に、俺は肩を竦める。
幸い、落下したり物にぶつかったりすることはなかったため、無事だが……一旦回収した。
『これ、メンテナンスしておけ』と部下に投げ渡し、俺は二体目のドローンを飛ばす。
先程と同じルートで前に進み、セトやニールの無事を確認してから城の前に行った。
すると────光になって消えるバアルと満足顔のヘスティアが、目に入る。
どうやら、先程の一撃で見事撃破したらしい。
いや、アレお前の仕業かよ。二次被害、半端ないわ。ふざけんな。
倒れた木々や一部燃えた草むらを前に、俺は『加減ってもんを知らねぇーのか』と呆れる。
「まあ、全員無事で何よりだけど……って、ん?あのアシメ野郎はどこに行った?」
『紅蓮の夜叉』の幹部候補生である白髪を思い出し、俺は小首を傾げた。
ドローンのカメラに映っていないだけかと思い、一先ず城の周りをグルッと回るものの……見つからない。
やがてヘスティア達もあいつの不在に気づき、慌て始めた。
まさか、さっきの爆風で吹き飛ばされたのか?
だとしたら、早く見つけてやらねぇーと。
着地に失敗していたら、大惨事だぞ。
「おい、テメェら。ドローンを貸してやるから、『紅蓮の夜叉』の幹部候補生……と言っても、分かんねぇーか。えっと……あっ、白髪アシメの男を探してくれ」
以前ラミエルがそう言っていたことを思い出し、俺は外見特徴を伝えた。
と同時に、アイテムボックスから取り出した大量のドローンを配る。
『プタハのアトリエ』の奴らにも使い方だけ教え、捜索を手伝ってもらった。
一応、ヘスティアに連絡を入れておくか。
『俺達に見られているとは思ってないだろうし』と、チャット画面を引き出す。
そこで文章を打ちながら、俺は幹部候補生の無事を願った。
『よくやった』と褒め、集団リンチに遭うウァサゴを見つめる。
『クールタイムが終わる前に!』と焦っているのか、前衛メンバーは容赦なく拳を繰り出した。
後衛メンバーも出し惜しみすることなく、強化魔法や支援魔法を放っている。
恐らく、またセト一人に耐えてもらうのは嫌なんだろう。
『早く死ね!』と言わんばかりの暴挙に苦笑していると、ついにウァサゴは消滅する。
ふわふわと宙を漂う光の粒子を前に、セト達はホッと胸を撫で下ろした。
「よし、じゃあ次行くか」
「「「おー!」」」
いつの間にかスクリーンの前に集まっていた部下達は、勢いよく拳を振り上げる。
アニメの戦闘シーンでも観ているような気分なのか、目をキラキラさせていた。
『テメェらは特撮好きのキッズかよ……』と呆れつつ、俺は偵察用のドローンを奥へ移動させる。
すると、間もなくして────『蒼天のソレーユ』と四天王アガレスの姿を捉えた。
「おっ?こっちは優勢だな」
既に服も髪も乱れまくっているアガレスを眺め、俺は『いい調子じゃん』と笑う。
助太刀の必要はなさそうだと思い、一旦この場を離れようとした。
その瞬間────アガレスが最後の悪足掻きを始める。
「おっとっと……」
突然変わった天候と暴風によりドローンを吹き飛ばされそうになり、俺は慌てて地上へ降りた。
そして、下から手のような……縄のようなものを出し、木々に纏わり付く。
ドローンを固定するために。
『一先ず、これで大丈夫か?』と考える中、アガレスは雷雲を呼んだ。
かと思えば、あちこちに雷を落としまくる。
「いや、傍迷惑なやつだな」
『ドローンに当たったらどうすんだ』と文句を言い、俺は眉を顰める。
だって、このドローン一台で家を建てられるから。
もちろんFRO内での話だが、破壊を容認する訳にはいかなかった。
『おい、ニール!どうにかしろ!』と心の中で叫び、俺は画面の端っこに移る男を凝視する。
すると、こちらの意志が通じたのか────ニールはトドメを刺しに行った。
指揮者のように手を動かし、部下達に指示を出す彼は雨も風も雷も気にせず連続攻撃。
さっきまで前衛が弾幕を張る役で、後衛がダメージを与える役だったのに……一斉攻撃へ切り替えやがった。
てことは、これ────勝ち確だな。
じゃなきゃ、こんな舐めたプレイしねぇーよ。
あのニールなら、尚更な。
『アガレスの暴走も織り込み済みってことか?』と考える中、『蒼天のソレーユ』は絶え間なく攻撃を繰り出す。
冷静さを欠いたアガレスなど敵でもないのか、着実にダメージを与えて行った。
「マジで容赦ねぇーな。まあ、一切防御せず攻撃に全振りしたアガレスもアガレスだけど」
切断された手足も折れた歯も無視して戦う着物女に、俺は『ありゃ、負けるわ』と肩を竦めた。
だって、連携力の優れた『蒼天のソレーユ』にああいう戦い方は向かないから。
『虐殺の紅月』のような猛者でもない限り、力任せに戦っても倒せない。
というか────あいつらの連携は崩れない。
本気で勝ちたいなら、まずは指揮官のニールを狙うことだな。
まあ、そんなのギルドメンバーが許さないだろうけど。
「────って、言っている傍から……」
巨大スクリーンに映ったアガレスの愚行を前に、俺は溜め息を零す。
『せめて、こいつだけでも!』とでも言うように捨て身で向かっていくアガレスを、俺は少しだけ哀れんだ。
『大人しくしておけば、もうちょっと長生き出来たのに』と。
「「「おお……」」」
各々大技を放つ『蒼天のソレーユ』のメンバーに、ウチの部下達は目を剥いた。
その瞬間、アガレスは全身に大怪我を負い、光の粒子と化す。
結局、奴の繰り出した最後の一撃は……刃はニールに届かなかった。
悔しそうに顔を歪めるアガレスは、簪と共に消え失せる。
さて、あとはヘスティアのところだけか。
固定したドローンを元に戻しながら、俺は『もう終わってそうだけど』と苦笑いする。
そして、ドローンを再び空に飛ばした瞬間────城の方から、大きな火柱が上がった。
と同時に、凄まじい爆音と爆風がここら一帯を包み込む。
ドローンを通さずとも感じる攻撃の余波に、俺は『おいおい、マジかよ』と呟いた。
「どんだけ、派手な戦いをしてんだ?」
吹き飛ばされて戻ってきたドローンを前に、俺は肩を竦める。
幸い、落下したり物にぶつかったりすることはなかったため、無事だが……一旦回収した。
『これ、メンテナンスしておけ』と部下に投げ渡し、俺は二体目のドローンを飛ばす。
先程と同じルートで前に進み、セトやニールの無事を確認してから城の前に行った。
すると────光になって消えるバアルと満足顔のヘスティアが、目に入る。
どうやら、先程の一撃で見事撃破したらしい。
いや、アレお前の仕業かよ。二次被害、半端ないわ。ふざけんな。
倒れた木々や一部燃えた草むらを前に、俺は『加減ってもんを知らねぇーのか』と呆れる。
「まあ、全員無事で何よりだけど……って、ん?あのアシメ野郎はどこに行った?」
『紅蓮の夜叉』の幹部候補生である白髪を思い出し、俺は小首を傾げた。
ドローンのカメラに映っていないだけかと思い、一先ず城の周りをグルッと回るものの……見つからない。
やがてヘスティア達もあいつの不在に気づき、慌て始めた。
まさか、さっきの爆風で吹き飛ばされたのか?
だとしたら、早く見つけてやらねぇーと。
着地に失敗していたら、大惨事だぞ。
「おい、テメェら。ドローンを貸してやるから、『紅蓮の夜叉』の幹部候補生……と言っても、分かんねぇーか。えっと……あっ、白髪アシメの男を探してくれ」
以前ラミエルがそう言っていたことを思い出し、俺は外見特徴を伝えた。
と同時に、アイテムボックスから取り出した大量のドローンを配る。
『プタハのアトリエ』の奴らにも使い方だけ教え、捜索を手伝ってもらった。
一応、ヘスティアに連絡を入れておくか。
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