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第四章
第188話『フェニックス討伐完了』
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「うふふっ。そうねぇ……なら────どっちも試してみましょうか」
えっ?ど、どっちも試す……!?嘘でしょ!?
時間停止魔法は言わずもがな、封印魔法だってかなり魔力を持って行かれるのに……!!
この二つの消費魔力を合計したら、一体どのくらいになると思って……!?
「ヴィエラさん、本気ですか!?」
「もちろん、本気よ。だって、『どっちを選ぼうか』って悩むより、どっちも試しちゃった方が早いじゃない」
「確かにそうかもしれませんが、時間停止魔法と封印魔法ですよ!?この二つの魔法を一気に使うだなんて、無茶ですよ!!」
心配のあまり猛抗議すると、ヴィエラさんはクスリと笑みを漏らした。
「無茶ですって?ラミエルちゃんは私を誰だと思っているの?私は────“アザミの魔女”よ。この程度のことでダウンするほど、やわじゃないわ」
腰に手を当て、“アザミの魔女”は自信満々に言い切った。
彼女の脳内に『不可能』の文字はないらしい。
はぁ……参ったなぁ。
本当は全力で止めるべきなんだろうけど……ヴィエラさんを見ていると、なんだか出来そうな気がしてくる。
「……分かりました。ヴィエラさんの判断に従います」
元はと言えば、ヴィエラさんに判断を丸投げした私のせいなので、ここは腹を括ろう。
「うふふっ。ラミエルちゃんなら、そう言ってくれると思っていたわ」
フェロモンというフェロモンを垂れ流すヴィエラさんは、『じゃあ、早速準備に取り掛かるわね』と言って杖を構えた。
と同時に、真剣な表情を浮かべる。
集中しているのか、『すぅー……はぁー……』と深呼吸を繰り返していた。
「時の凍結 永遠の宴 孤独の空間 時計の針が疲れを癒す間、誰も時間を動かせない 時計は時間そのものである 我は時の支配者なり────《時の支配者》」
詠唱を終え、ヴィエラさんは指揮者のように杖を振る。
すると────どこからともなく、砂時計が現れた。
「シムナ、フェニックスにトドメを刺してちょうだい。作戦を開始するわ」
「りょーかーい!んじゃ、ファルコは先に下がっててー」
今の今まで私の言いつけを守って行動していたシムナさんは、瀕死状態のフェニックスを見つめる。
足元にある両翼と右足を蹴り飛ばし、彼は一瞬でフェニックスの息の根を止めた。
「んじゃ、離脱するねー」
ヒラヒラと手を振ってその場から離れ、シムナさんはこちらの様子を窺う。
『何するの?』とワクワクしている彼の前で、ヴィエラさんは金の砂時計を手に持った。
「時の支配者である我が命ずる 彼の者の時間を止めたまえ」
そう言って、ヴィエラさんは手に持つ砂時計を水平に持ち直した。
すると────今まさに生き返りを始めようとしていたフェニックスが、ピタッと動きを止める。
時間を止められたことで、あらゆる干渉を受け付けなくなったようだ。
「一先ず、作戦通り……と言ったところでしょうか?」
「ええ。と言っても、フェニックスの死亡判定に引っ掛かるかどうかは分からないけれど」
「作戦って、死亡直後のフェニックスに時間停止魔法を掛けることだったんかい。想像以上に大掛かりな作戦やなぁ」
「ねぇーねぇー!今、あの鳥を殴ったらどうなるのー?」
「今、フェニックスを殴っても何も起きませんよ。時間停止魔法であらゆる干渉を受け付けなくなっているので」
『面白いことは何も起きない』と告げれば、シムナさんはつまらなさそうに口先を尖らせた。
そんな彼を横目に、私達は時間停止魔法に囚われたフェニックスの亡骸を観察する。
特に異常はなし、か……。
「時間停止魔法でフェニックスを倒すことは、出来なさそうですね」
「そうみたいね。じゃあ、プランBに行きましょうか」
「プランBとかあったんや」
「ねー。僕も初めて聞いたー」
初耳だと騒ぐ男性陣をスルーし、ヴィエラさんはプランBの準備を始める────時間停止魔法を発動したまま。
えっ?はっ?嘘でしょ!?まさか、魔法を同時発動させるつもり!?
「永久の檻 現世から切り離された空間 永遠の罰 時の断絶 孤独な檻 封印の鐘が鳴り響く時 我はこの世の全てにお別れを告げるだろう──────《鍵のない牢獄》」
何食わぬ顔で封印魔法を発動し、ヴィエラさんはフェニックスの止まった時を動かした。
かと思えば、直ぐさまフェニックスの亡骸を銀色の鎖で縛り上げる。
そして、棺桶の中に押し込んだ。
不死能力を発動する隙も与えぬ素早い封印に、私とファルコさんは唖然とする。
「……す、凄すぎる……一瞬とはいえ、時間停止魔法と封印魔法を同時発動するだなんて……」
「シムナも充分化け物やったけど、ヴィエラも負けず劣らずって感じやな……」
規格外を通り越して底が見えないヴィエラさんの実力に、私達は頬を引き攣らせた。
互いに顔を見合わせ悶々とする中、ヴィエラさんは指に髪を巻き付ける。
「あっ、死亡判定が降りたみたいよ。封印内に居る筈のフェニックスが消えたわ」
そう言って、ヴィエラさんは発動していた封印魔法を解除する。
すると、そこにはもうフェニックスの亡骸などなかった。
なんというか……思ったより、呆気なかったな。
えっ?ど、どっちも試す……!?嘘でしょ!?
時間停止魔法は言わずもがな、封印魔法だってかなり魔力を持って行かれるのに……!!
この二つの消費魔力を合計したら、一体どのくらいになると思って……!?
「ヴィエラさん、本気ですか!?」
「もちろん、本気よ。だって、『どっちを選ぼうか』って悩むより、どっちも試しちゃった方が早いじゃない」
「確かにそうかもしれませんが、時間停止魔法と封印魔法ですよ!?この二つの魔法を一気に使うだなんて、無茶ですよ!!」
心配のあまり猛抗議すると、ヴィエラさんはクスリと笑みを漏らした。
「無茶ですって?ラミエルちゃんは私を誰だと思っているの?私は────“アザミの魔女”よ。この程度のことでダウンするほど、やわじゃないわ」
腰に手を当て、“アザミの魔女”は自信満々に言い切った。
彼女の脳内に『不可能』の文字はないらしい。
はぁ……参ったなぁ。
本当は全力で止めるべきなんだろうけど……ヴィエラさんを見ていると、なんだか出来そうな気がしてくる。
「……分かりました。ヴィエラさんの判断に従います」
元はと言えば、ヴィエラさんに判断を丸投げした私のせいなので、ここは腹を括ろう。
「うふふっ。ラミエルちゃんなら、そう言ってくれると思っていたわ」
フェロモンというフェロモンを垂れ流すヴィエラさんは、『じゃあ、早速準備に取り掛かるわね』と言って杖を構えた。
と同時に、真剣な表情を浮かべる。
集中しているのか、『すぅー……はぁー……』と深呼吸を繰り返していた。
「時の凍結 永遠の宴 孤独の空間 時計の針が疲れを癒す間、誰も時間を動かせない 時計は時間そのものである 我は時の支配者なり────《時の支配者》」
詠唱を終え、ヴィエラさんは指揮者のように杖を振る。
すると────どこからともなく、砂時計が現れた。
「シムナ、フェニックスにトドメを刺してちょうだい。作戦を開始するわ」
「りょーかーい!んじゃ、ファルコは先に下がっててー」
今の今まで私の言いつけを守って行動していたシムナさんは、瀕死状態のフェニックスを見つめる。
足元にある両翼と右足を蹴り飛ばし、彼は一瞬でフェニックスの息の根を止めた。
「んじゃ、離脱するねー」
ヒラヒラと手を振ってその場から離れ、シムナさんはこちらの様子を窺う。
『何するの?』とワクワクしている彼の前で、ヴィエラさんは金の砂時計を手に持った。
「時の支配者である我が命ずる 彼の者の時間を止めたまえ」
そう言って、ヴィエラさんは手に持つ砂時計を水平に持ち直した。
すると────今まさに生き返りを始めようとしていたフェニックスが、ピタッと動きを止める。
時間を止められたことで、あらゆる干渉を受け付けなくなったようだ。
「一先ず、作戦通り……と言ったところでしょうか?」
「ええ。と言っても、フェニックスの死亡判定に引っ掛かるかどうかは分からないけれど」
「作戦って、死亡直後のフェニックスに時間停止魔法を掛けることだったんかい。想像以上に大掛かりな作戦やなぁ」
「ねぇーねぇー!今、あの鳥を殴ったらどうなるのー?」
「今、フェニックスを殴っても何も起きませんよ。時間停止魔法であらゆる干渉を受け付けなくなっているので」
『面白いことは何も起きない』と告げれば、シムナさんはつまらなさそうに口先を尖らせた。
そんな彼を横目に、私達は時間停止魔法に囚われたフェニックスの亡骸を観察する。
特に異常はなし、か……。
「時間停止魔法でフェニックスを倒すことは、出来なさそうですね」
「そうみたいね。じゃあ、プランBに行きましょうか」
「プランBとかあったんや」
「ねー。僕も初めて聞いたー」
初耳だと騒ぐ男性陣をスルーし、ヴィエラさんはプランBの準備を始める────時間停止魔法を発動したまま。
えっ?はっ?嘘でしょ!?まさか、魔法を同時発動させるつもり!?
「永久の檻 現世から切り離された空間 永遠の罰 時の断絶 孤独な檻 封印の鐘が鳴り響く時 我はこの世の全てにお別れを告げるだろう──────《鍵のない牢獄》」
何食わぬ顔で封印魔法を発動し、ヴィエラさんはフェニックスの止まった時を動かした。
かと思えば、直ぐさまフェニックスの亡骸を銀色の鎖で縛り上げる。
そして、棺桶の中に押し込んだ。
不死能力を発動する隙も与えぬ素早い封印に、私とファルコさんは唖然とする。
「……す、凄すぎる……一瞬とはいえ、時間停止魔法と封印魔法を同時発動するだなんて……」
「シムナも充分化け物やったけど、ヴィエラも負けず劣らずって感じやな……」
規格外を通り越して底が見えないヴィエラさんの実力に、私達は頬を引き攣らせた。
互いに顔を見合わせ悶々とする中、ヴィエラさんは指に髪を巻き付ける。
「あっ、死亡判定が降りたみたいよ。封印内に居る筈のフェニックスが消えたわ」
そう言って、ヴィエラさんは発動していた封印魔法を解除する。
すると、そこにはもうフェニックスの亡骸などなかった。
なんというか……思ったより、呆気なかったな。
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