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第四章
第186話『フェニックスの不死能力』
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「と、とりあえず!ミラを庇いながら戦うことに集中すんで!やっちまったもんは、しゃーない!」
「では、ミラさんの護衛は私が引き受けましょう」
「わ、私もお手伝いするのです~!」
『はいはい』と手を挙げるアスタルテさんは、アヤさんと共にミラさんを回収する。
せっせと防御態勢を整える二人の傍で、私はフェニックスと向かい合った。
依然として、相手に動きはない……ただ、じっとこちらを見つめているだけ。
私達のことを待ってくれているんだろうか?
それとも、こちらの隙を窺っているいるだけ?さっきから隙だらけなのに?
「あの鳥、何で攻撃して来ないんだろうねー?」
「さあ?相手に先手を譲らないといけないプログラムでも組まれているんじゃない?」
「だとしたら、かなり素晴らしいハンデですね。まあ、そのくらいのハンデがないと割に合いませんが……」
不死という設定を話題に出し、私は顎に手を当てて考え込む。
────と、ここでアヤさんが結界を展開させた。それも、三枚。
これなら、気兼ねなく戦えそうだ。
「アヤとアスタルテには、ミラの護衛に専念してもらうとして……ワイらはどう立ち回る?」
「普通にあの鳥をボコボコにすれば、いいんじゃないのー?」
「ボコボコにしたところで、不死鳥のフェニックスは直ぐに生き返るわよ。こっちの体力が無駄に持っていかれるだけだわ」
「でも、戦ってみないことには何も分かりませんよ。多少リスクはありますが、フェニックスと戦いながら奴の攻略方法を見つけるしかありません」
正直、今この状態で得られる情報は少ない。
それこそ、更新された公式の情報くらい。
慎重に動いたところで、後手に回るだけだ。
「ラミエルの意見には一理あるな。とりあえず、こいつの再生能力を確かめるために軽い戦闘を……」
「────おっけー!要するにあの鳥をボコボコにすれば、いいんだねー!それなら、僕がやるよー!」
金と銀の斧を手に持つシムナさんは、ファルコさんの話を最後まで聞かずに飛び出した。
『ちょっ!待ちぃや!』と制止するファルコさんを振り切り、特攻していく。
「はぁ……例のごとく、あの子には協調性がないわね」
「まあ、シムナさんですから……」
「ほんまにあいつは集団ソロプレイが好きやなぁ……つーか、あれ大丈夫なん?あいつ、物理攻撃でフェニックスに挑む気やで」
「問題ないわ。さすがに無傷とはいかないでしょうけど、千度の炎に焼かれたくらいじゃ死なないわ」
「いざって時は私が治療しますので、致命傷さえ避けてもらえれば大丈夫です」
同じパーティーメンバーである私とヴィエラさんが太鼓判を押すと、ファルコさんはどこか遠い目をする。
「千度の炎に焼かれても、大丈夫って……そんなん、ただの化け物やんけ」
「まあ、否定はしません。シムナさんのステータスは一般プレイヤーの域を遥かに超えていますから」
出会った当初は、私も『この人、ただの化け物だ……』と思ったものだ。
まあ、今はもう慣れたけど。いや、『毒された』と言った方がいいかも。
「あっ、早速フェニックスとやり合ってるわよ」
そう言って、ヴィエラさんは前方を指さした。
釣られるように視線を前へ向けると────そこには、楽しそうに斧を振るうシムナさんの姿が。
当然フェニックスから反撃を受けているものの、彼は全然余裕そうだった。
「相変わらず、素晴らしい身のこなしやなぁ。フェニックスの火炎魔法を正確に避けとる」
「あら?シムナにしては、気が利くじゃない。わざとトドメを刺さずに、相手の手の内を暴くだなんて」
「『何で瞬殺しないんだろう?』と思ったら、そういう事だったんですか。シムナさんも色々考えて動くようになったんですね」
「協調性は皆無やけどな」
呆れ気味に肩を竦めるファルコさんに、私はただ苦笑する。
────と、ここでシムナさんがフェニックスの片翼を切り裂いた。
「なっ!?フェニックスが落ちた!?」
「片翼を失った影響で飛べなくなったんでしょうが、これは……」
「なるほどね。フェニックスの不死能力はあくまで“生き返り”であり────“再生”じゃないってことだわ」
ヴィエラさんの導き出した結論に、私はコクリと頷いて同意した。
『なんやと!?』と叫ぶファルコさんをスルーし、おもむろに前を向く。
「────シムナさん、手加減はもう結構です。フェニックスの首を切り落としてください」
「いい?首を切り落としたら、直ぐに離脱するのよ?生き返りの際、何が起きるかまだ分からないから」
「おっけー」
フェニックスの展開したファイアボールを斧で打ち上げながら、シムナさんは体勢を変える。
と同時に、軽くジャンプした。
「鳥さん、ごめんねー!本当はもっと遊びたかったんだけど、もう時間切れみたーい!」
空中で斧を持ち直し、シムナさんは────躊躇うことなく、フェニックスの首を切り落とした。
床に転がる亡骸を一瞥し、彼は着地する。
と同時に、
「んじゃ、離脱するねー!」
再び地面を蹴り上げた。
空中で一回転しながらフェニックスの傍を離れ、私達の元まで戻ってくる。
『ただいまー!』と元気よく挨拶するシムナさんに、私は一つ頷いた。
「私達の予想が正しければ、フェニックスはこれから生き返りを始める筈……って、あれは何!?」
思わずといった様子で話を中断し、ヴィエラさんはフェニックスの亡骸を凝視する。
釣られるように私達も視線を移すと、ハッと息を呑んだ。
だって、フェニックスの首と胴体が────S極とN極のように互いに引かれ合っていたから。
『これは……』と驚愕する中、フェニックスの体はピッタリくっつく。
「うげぇー!なんか、気持ちわるーい!」
「生き返りって、もっと神秘的な現象かと思っていたけど……理想と現実は違うものね」
「ちょっと気味が悪いですね」
「って、んなこと言っている場合か!もうすぐ、フェニックスが生き返るんやで!?もっと緊張感を持たんかい!」
『お前ら呑気すぎや!』と叱咤し、ファルコさんは身構えた。
その瞬間、フェニックスは大きな火の玉に包み込まれる。
ムワッとした熱気が頬を撫で、私達にプレッシャーを与えた。
「────来ます!!」
生き返りを察知し大声で叫ぶと、フェニックスはカッ!と目を開く。
と同時に、『キィエエエエエ!』という鳴き声が木霊した。
凄まじい殺気と敵意を感じ取る中、フェニックスを包み込んでいた炎の玉は弾け飛ぶ。
そのせいか、さっきよりずっと強い熱気が私達の頬を撫でた。
「では、ミラさんの護衛は私が引き受けましょう」
「わ、私もお手伝いするのです~!」
『はいはい』と手を挙げるアスタルテさんは、アヤさんと共にミラさんを回収する。
せっせと防御態勢を整える二人の傍で、私はフェニックスと向かい合った。
依然として、相手に動きはない……ただ、じっとこちらを見つめているだけ。
私達のことを待ってくれているんだろうか?
それとも、こちらの隙を窺っているいるだけ?さっきから隙だらけなのに?
「あの鳥、何で攻撃して来ないんだろうねー?」
「さあ?相手に先手を譲らないといけないプログラムでも組まれているんじゃない?」
「だとしたら、かなり素晴らしいハンデですね。まあ、そのくらいのハンデがないと割に合いませんが……」
不死という設定を話題に出し、私は顎に手を当てて考え込む。
────と、ここでアヤさんが結界を展開させた。それも、三枚。
これなら、気兼ねなく戦えそうだ。
「アヤとアスタルテには、ミラの護衛に専念してもらうとして……ワイらはどう立ち回る?」
「普通にあの鳥をボコボコにすれば、いいんじゃないのー?」
「ボコボコにしたところで、不死鳥のフェニックスは直ぐに生き返るわよ。こっちの体力が無駄に持っていかれるだけだわ」
「でも、戦ってみないことには何も分かりませんよ。多少リスクはありますが、フェニックスと戦いながら奴の攻略方法を見つけるしかありません」
正直、今この状態で得られる情報は少ない。
それこそ、更新された公式の情報くらい。
慎重に動いたところで、後手に回るだけだ。
「ラミエルの意見には一理あるな。とりあえず、こいつの再生能力を確かめるために軽い戦闘を……」
「────おっけー!要するにあの鳥をボコボコにすれば、いいんだねー!それなら、僕がやるよー!」
金と銀の斧を手に持つシムナさんは、ファルコさんの話を最後まで聞かずに飛び出した。
『ちょっ!待ちぃや!』と制止するファルコさんを振り切り、特攻していく。
「はぁ……例のごとく、あの子には協調性がないわね」
「まあ、シムナさんですから……」
「ほんまにあいつは集団ソロプレイが好きやなぁ……つーか、あれ大丈夫なん?あいつ、物理攻撃でフェニックスに挑む気やで」
「問題ないわ。さすがに無傷とはいかないでしょうけど、千度の炎に焼かれたくらいじゃ死なないわ」
「いざって時は私が治療しますので、致命傷さえ避けてもらえれば大丈夫です」
同じパーティーメンバーである私とヴィエラさんが太鼓判を押すと、ファルコさんはどこか遠い目をする。
「千度の炎に焼かれても、大丈夫って……そんなん、ただの化け物やんけ」
「まあ、否定はしません。シムナさんのステータスは一般プレイヤーの域を遥かに超えていますから」
出会った当初は、私も『この人、ただの化け物だ……』と思ったものだ。
まあ、今はもう慣れたけど。いや、『毒された』と言った方がいいかも。
「あっ、早速フェニックスとやり合ってるわよ」
そう言って、ヴィエラさんは前方を指さした。
釣られるように視線を前へ向けると────そこには、楽しそうに斧を振るうシムナさんの姿が。
当然フェニックスから反撃を受けているものの、彼は全然余裕そうだった。
「相変わらず、素晴らしい身のこなしやなぁ。フェニックスの火炎魔法を正確に避けとる」
「あら?シムナにしては、気が利くじゃない。わざとトドメを刺さずに、相手の手の内を暴くだなんて」
「『何で瞬殺しないんだろう?』と思ったら、そういう事だったんですか。シムナさんも色々考えて動くようになったんですね」
「協調性は皆無やけどな」
呆れ気味に肩を竦めるファルコさんに、私はただ苦笑する。
────と、ここでシムナさんがフェニックスの片翼を切り裂いた。
「なっ!?フェニックスが落ちた!?」
「片翼を失った影響で飛べなくなったんでしょうが、これは……」
「なるほどね。フェニックスの不死能力はあくまで“生き返り”であり────“再生”じゃないってことだわ」
ヴィエラさんの導き出した結論に、私はコクリと頷いて同意した。
『なんやと!?』と叫ぶファルコさんをスルーし、おもむろに前を向く。
「────シムナさん、手加減はもう結構です。フェニックスの首を切り落としてください」
「いい?首を切り落としたら、直ぐに離脱するのよ?生き返りの際、何が起きるかまだ分からないから」
「おっけー」
フェニックスの展開したファイアボールを斧で打ち上げながら、シムナさんは体勢を変える。
と同時に、軽くジャンプした。
「鳥さん、ごめんねー!本当はもっと遊びたかったんだけど、もう時間切れみたーい!」
空中で斧を持ち直し、シムナさんは────躊躇うことなく、フェニックスの首を切り落とした。
床に転がる亡骸を一瞥し、彼は着地する。
と同時に、
「んじゃ、離脱するねー!」
再び地面を蹴り上げた。
空中で一回転しながらフェニックスの傍を離れ、私達の元まで戻ってくる。
『ただいまー!』と元気よく挨拶するシムナさんに、私は一つ頷いた。
「私達の予想が正しければ、フェニックスはこれから生き返りを始める筈……って、あれは何!?」
思わずといった様子で話を中断し、ヴィエラさんはフェニックスの亡骸を凝視する。
釣られるように私達も視線を移すと、ハッと息を呑んだ。
だって、フェニックスの首と胴体が────S極とN極のように互いに引かれ合っていたから。
『これは……』と驚愕する中、フェニックスの体はピッタリくっつく。
「うげぇー!なんか、気持ちわるーい!」
「生き返りって、もっと神秘的な現象かと思っていたけど……理想と現実は違うものね」
「ちょっと気味が悪いですね」
「って、んなこと言っている場合か!もうすぐ、フェニックスが生き返るんやで!?もっと緊張感を持たんかい!」
『お前ら呑気すぎや!』と叱咤し、ファルコさんは身構えた。
その瞬間、フェニックスは大きな火の玉に包み込まれる。
ムワッとした熱気が頬を撫で、私達にプレッシャーを与えた。
「────来ます!!」
生き返りを察知し大声で叫ぶと、フェニックスはカッ!と目を開く。
と同時に、『キィエエエエエ!』という鳴き声が木霊した。
凄まじい殺気と敵意を感じ取る中、フェニックスを包み込んでいた炎の玉は弾け飛ぶ。
そのせいか、さっきよりずっと強い熱気が私達の頬を撫でた。
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