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第四章
第157話『お手伝い』
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「大変お騒がせしました。今から、治療班の適性テストを行います」
────という宣言の元、私はまずテスト方法の説明を行い、早速実行に移す。
「実践型と表示型、どちらにしますか?」
「あっ、じゃあ表示型でお願いします。私のプレイヤー名は……」
治療班希望者からプレイヤー名とIDを聞き、私はゲーム内ディスプレイを駆使して相手のプロフィール画面に飛ぶ。
そこで公開されたステータスを確認し、治癒魔法の類いがあれば合格。
ぶっちゃけこれが一番手っ取り早い方法だが、ステータス情報は現実世界で言う個人情報に当たるため、公開している人は少ない。
なので、表示型を選ぶ者は比較的少なかった。
この人は合格かな。
と思いつつ、彼女のプレイヤー名とIDを電子メモに書き込む。
「確認作業が終わりました。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します」
「あ、ありがとうございます!」
ペコペコと何度も頭を下げ、感謝の意を表す彼女は『それでは』と言い残して、そうそうに立ち去った。
と同時に、次の希望者が前に出てくる。
「実践型と表示型、どちらを希望なさいますか?」
「実践型でお願いしますわ」
「分かりました。では、私の手を握って『ヒール』と唱えてください」
握手を求めるように手を差し出せば、フリルたっぷりのドレスに身を包む女性はやんわりソレを握った。
実践型はテスト監督である私に、治癒魔法を掛けてもらうというもの。
無傷のままでも直接治癒魔法を掛けてもらえれば、本当に治癒魔法を使えるプレイヤーなのかどうかは分かる。
実践型の残念なところは相手の魔力量を把握出来ないことだけど、初心者や低レベルプレイヤーが紛れ込んでいる可能性は低いので、敢えてスルーした。
「行きますわ……|《ヒール》」
その呪文を合図に、私の体は光の粒子に包まれる。
が、無傷のため直ぐに消えた。
魔法発動に成功、詠唱に問題なし、魔力の流れも正常……うん、合格かな。
お嬢様キャラを貫く女性プレイヤーから手を離し、私はニッコリと笑う。
「おめでとうございます。合格です。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します。最後に、プレイヤー名とIDを教えてください」
彼女のプレイヤー名とIDを控え、私はチラリと列に目を向ける。
まだまだ先は長そう……私一人じゃ、ちょっと捌き切れないかもしれないなぁ。
でも、出会ったばかりの人にテスト監督を任せるのは不安なんだよね……。
勝手に合格基準を変えられたり、不正行為に手を染められたりしたら大変だもの。
『やっぱり、地道にやって行くしかないか』と項垂れていると────突然、空から人が降ってくる。
「やっほー!ラミエルー!手伝いに来たよー!」
「私達は無事合格したから、遠慮せず使って」
ふわりと地上に降り立ったシムナさんとヴィエラさんに、私はパッと表情を明るくした。
『ナイスタイミング!』と心の中で叫びながら。
「お二人とも、テストお疲れ様です。そして、合格おめでとうございます。早速で申し訳ないのですが、手伝いをお願いしますね」
────という宣言の元、私はまずテスト方法の説明を行い、早速実行に移す。
「実践型と表示型、どちらにしますか?」
「あっ、じゃあ表示型でお願いします。私のプレイヤー名は……」
治療班希望者からプレイヤー名とIDを聞き、私はゲーム内ディスプレイを駆使して相手のプロフィール画面に飛ぶ。
そこで公開されたステータスを確認し、治癒魔法の類いがあれば合格。
ぶっちゃけこれが一番手っ取り早い方法だが、ステータス情報は現実世界で言う個人情報に当たるため、公開している人は少ない。
なので、表示型を選ぶ者は比較的少なかった。
この人は合格かな。
と思いつつ、彼女のプレイヤー名とIDを電子メモに書き込む。
「確認作業が終わりました。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します」
「あ、ありがとうございます!」
ペコペコと何度も頭を下げ、感謝の意を表す彼女は『それでは』と言い残して、そうそうに立ち去った。
と同時に、次の希望者が前に出てくる。
「実践型と表示型、どちらを希望なさいますか?」
「実践型でお願いしますわ」
「分かりました。では、私の手を握って『ヒール』と唱えてください」
握手を求めるように手を差し出せば、フリルたっぷりのドレスに身を包む女性はやんわりソレを握った。
実践型はテスト監督である私に、治癒魔法を掛けてもらうというもの。
無傷のままでも直接治癒魔法を掛けてもらえれば、本当に治癒魔法を使えるプレイヤーなのかどうかは分かる。
実践型の残念なところは相手の魔力量を把握出来ないことだけど、初心者や低レベルプレイヤーが紛れ込んでいる可能性は低いので、敢えてスルーした。
「行きますわ……|《ヒール》」
その呪文を合図に、私の体は光の粒子に包まれる。
が、無傷のため直ぐに消えた。
魔法発動に成功、詠唱に問題なし、魔力の流れも正常……うん、合格かな。
お嬢様キャラを貫く女性プレイヤーから手を離し、私はニッコリと笑う。
「おめでとうございます。合格です。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します。最後に、プレイヤー名とIDを教えてください」
彼女のプレイヤー名とIDを控え、私はチラリと列に目を向ける。
まだまだ先は長そう……私一人じゃ、ちょっと捌き切れないかもしれないなぁ。
でも、出会ったばかりの人にテスト監督を任せるのは不安なんだよね……。
勝手に合格基準を変えられたり、不正行為に手を染められたりしたら大変だもの。
『やっぱり、地道にやって行くしかないか』と項垂れていると────突然、空から人が降ってくる。
「やっほー!ラミエルー!手伝いに来たよー!」
「私達は無事合格したから、遠慮せず使って」
ふわりと地上に降り立ったシムナさんとヴィエラさんに、私はパッと表情を明るくした。
『ナイスタイミング!』と心の中で叫びながら。
「お二人とも、テストお疲れ様です。そして、合格おめでとうございます。早速で申し訳ないのですが、手伝いをお願いしますね」
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