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第四章
第156話『目に余る』
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ダメだ。このままじゃ、埒が明かない。
とりあえずミラさんのことは放っておいて、ヘスティアさんに連絡しよう。
直ぐさまゲーム内ディスプレイを呼び起こした私は、ヘスティアへフレンド申請を送った。
そして、承諾されるなり彼女に通話を掛ける。
『もしもし?どうしたんだ?いきなり』
「ヘスティアさん、突然すみません……ちょっとトラブルが発生しまして……」
『トラブル?』
「はい。『サムヒーロー』に所属しているミラさんが勝手に治療班のテストを始めてしまったんです」
目頭を押さえながら報告すると、当の本人であるミラさんがカッと目を見開く。
まさか、ヘスティアさんにこのことを知られるとは思ってなかったらしい。
『なるほどな。それで、ラミエルは私にどうしてほしいんだ?』
「ヘスティアさんの方から、各ギルドマスターへ『ラミエル以外の者からテストを受けたプレイヤーは、もう一度テストを受けに来てほしい』と連絡してほしいんです。ミラさんはテストを受けたプレイヤーの名前やIDを控えていないようですし、彼女のテストを受けたプレイヤー達が本当に治療班に相応しい実力と能力を持っているのか不安ですので……」
『ふむ。分かった。ラミエルの言う通りにしよう』
こちらのお願いを快く引き受けてくれたヘスティアさんに、私はホッと胸を撫で下ろす。
とりあえず、これで既にテストを受けたプレイヤー達は戻ってくる筈。
朝早くから列に並んでいたところ申し訳ないけど、再テストを受けてもらおう。
「本当にありがとうございます、ヘスティアさん。今度、何かお礼をさせてください」
『いや、これくらい構わないさ。それより、そのミラという少女に伝えてくれないか?』
「はい、何でしょう?」
『あまり勝手なことをすると、『サムヒーロー』そのものを同盟から外すぞ、と。今回の件に関しては、さすがに目に余る』
「分かりました。そのように伝えておきます。それでは、私はこれで」
『ああ。また何かあったら、遠慮なく連絡してきてくれ。それじゃあな』
「はい、失礼します」
ヘスティアさんとの通話を切り、私はおもむろに顔を上げた。
すると、緊張した面持ちでこちらを見つめるミラさんが目に入る。
「ミラさん、ヘスティアさんからの伝言です。『あまり勝手なことをすると、『サムヒーロー』そのものを同盟から外すぞ』とのことです」
「なっ!?そ、そんなの嘘です……!!」
「嘘ではありません。信じられないのでしたら、ヘスティアさんに直接確認して頂いても構いませんよ?」
「っ……!!」
悔しそうに顔を歪め、ミラさんはこちらをキッと睨みつけてくる。
逆ギレとしか言いようのない反応を前に、私は一つ息を吐いた。
「とりあえず、そこを退いてください。テストの邪魔です」
列の先頭あたりで棒立ちするミラさんを『しっ!しっ!』と追い払うと、彼女は渋々引き下がる。
さすがにこれ以上、問題を起こすのは不味いと判断したようだ。
一人トボトボと列の最後尾に向かうミラさんの背中を見送り、私は改めて長蛇の列と向き合った。
「大変お騒がせしました。今から、治療班の適性テストを行います」
とりあえずミラさんのことは放っておいて、ヘスティアさんに連絡しよう。
直ぐさまゲーム内ディスプレイを呼び起こした私は、ヘスティアへフレンド申請を送った。
そして、承諾されるなり彼女に通話を掛ける。
『もしもし?どうしたんだ?いきなり』
「ヘスティアさん、突然すみません……ちょっとトラブルが発生しまして……」
『トラブル?』
「はい。『サムヒーロー』に所属しているミラさんが勝手に治療班のテストを始めてしまったんです」
目頭を押さえながら報告すると、当の本人であるミラさんがカッと目を見開く。
まさか、ヘスティアさんにこのことを知られるとは思ってなかったらしい。
『なるほどな。それで、ラミエルは私にどうしてほしいんだ?』
「ヘスティアさんの方から、各ギルドマスターへ『ラミエル以外の者からテストを受けたプレイヤーは、もう一度テストを受けに来てほしい』と連絡してほしいんです。ミラさんはテストを受けたプレイヤーの名前やIDを控えていないようですし、彼女のテストを受けたプレイヤー達が本当に治療班に相応しい実力と能力を持っているのか不安ですので……」
『ふむ。分かった。ラミエルの言う通りにしよう』
こちらのお願いを快く引き受けてくれたヘスティアさんに、私はホッと胸を撫で下ろす。
とりあえず、これで既にテストを受けたプレイヤー達は戻ってくる筈。
朝早くから列に並んでいたところ申し訳ないけど、再テストを受けてもらおう。
「本当にありがとうございます、ヘスティアさん。今度、何かお礼をさせてください」
『いや、これくらい構わないさ。それより、そのミラという少女に伝えてくれないか?』
「はい、何でしょう?」
『あまり勝手なことをすると、『サムヒーロー』そのものを同盟から外すぞ、と。今回の件に関しては、さすがに目に余る』
「分かりました。そのように伝えておきます。それでは、私はこれで」
『ああ。また何かあったら、遠慮なく連絡してきてくれ。それじゃあな』
「はい、失礼します」
ヘスティアさんとの通話を切り、私はおもむろに顔を上げた。
すると、緊張した面持ちでこちらを見つめるミラさんが目に入る。
「ミラさん、ヘスティアさんからの伝言です。『あまり勝手なことをすると、『サムヒーロー』そのものを同盟から外すぞ』とのことです」
「なっ!?そ、そんなの嘘です……!!」
「嘘ではありません。信じられないのでしたら、ヘスティアさんに直接確認して頂いても構いませんよ?」
「っ……!!」
悔しそうに顔を歪め、ミラさんはこちらをキッと睨みつけてくる。
逆ギレとしか言いようのない反応を前に、私は一つ息を吐いた。
「とりあえず、そこを退いてください。テストの邪魔です」
列の先頭あたりで棒立ちするミラさんを『しっ!しっ!』と追い払うと、彼女は渋々引き下がる。
さすがにこれ以上、問題を起こすのは不味いと判断したようだ。
一人トボトボと列の最後尾に向かうミラさんの背中を見送り、私は改めて長蛇の列と向き合った。
「大変お騒がせしました。今から、治療班の適性テストを行います」
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