『魔王討伐クエスト』で役に立たないからと勇者パーティーに追い出された回復師は新たな仲間と無双する〜PK集団が英雄になるって、マジですか!?〜

あーもんど

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第三章

第132話『合流と交換』

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「レオンさん、私を担いで移動してください。徳正さん達と合流します」

 手短に指示を出すと、レオンさんは直ぐさま私を小脇に担いだ。
かと思えば、大量の光の粒子がある方向へ歩を進める。
マップで二人の位置情報を見る限り、この辺に居る筈だから。

「徳正とシムナの二人で、これかよ……本当にすげぇーな」

「そうですね。光の粒子が止む気配はありませんし、今もゴーレムを狩りまくっているんでしょう」

「────ううん~。今はラーちゃんの気配を感じ取ったから、ゴーレム狩り中止して来たよ~?」

「「……えぇ!?徳正(さん)!?」」

「僕も居るよー!」

 音もなく背後に現れたのは黒衣の忍者と青髪の美少年を前に、私とレオンさんはあんぐり……。
さすがは高レベルプレイヤーと言うべきか、全く気配を察知出来なかった。

「お前ら、いきなり後ろに立つなよ!ビックリするだろーが!心臓に悪い!」

「そのまま、心肺停止すればよかったのにー!」

「シムナ……お前、俺になんか恨みでもあんのか?」

「シムナはただラーちゃんとデートしていたレオンくんが、羨ましいだけだと思うよ~」

「いや、デートって……ただ一緒に行動してただけじゃねぇーか!お前らのデートの基準は、どうなってんだ!?」

 『アホなのか!?』と叫ぶレオンさんに、私は苦笑を浮かべる。

「レオンさん、彼らに常識は通用しません。私も正直こんな物騒なデートがあって堪るか!と思いますが、彼らにとってはデートなんです」

「そうだな……もう面倒臭いから、デートってことにしておこう」

「ねぇー、徳正ー!もしかして、今僕たち馬鹿にされたー?」

「ん~……馬鹿にされたというより、色んな意味で諦められたって感じかな~?」

 ニコニコ笑いながらも背後にドス黒いオーラを放つシムナさんに対し、徳正さんは小さく肩を竦める。
『まあ、気にしてないでおこ~』と述べる彼を前に、私はパンパンッと手を叩いた。

「さて、雑談はここら辺にして仕事に戻りましょう。徳正さんは私と一緒に来てください。プレイヤー達の治療を行います。レオンさんとシムナさんは引き続き、ゴーレムの討伐を。シムナさんはレオンさんを置いて行かないよう、気を配ってあげてくださいね」

「えー!僕もラミエルと一緒がいいー!」

「まあまあ~。シムナはレオンくんで妥協しなよ~」

「えー!やだよー!僕、ホモじゃないしー!ていうか、僕はラミエル一筋だしー!」

「だってさ、レオンくん~」

「何で俺が振られたみたいになっているんだ!?」

 『納得いかない!』と喚くレオンさんに、私は同情こそするものの……庇っている暇はなかった。

「徳正さん、行きましょう」

「ん?もう行くの~?」

「はい。あまり時間に余裕がありませんので」

「りょーかい。んじゃ、行こっか~」

 徳正さんは流れるような動作で私を抱き上げると、妖刀マサムネを鞘に収めた。

「えー!もう行くのー?僕、まだラミエルと一緒に居たいよー!」

「イベントが終わったら、また会えますよ。それまでの辛抱です」

「そんなにラーちゃんと一緒に居たいなら、さっさとゴーレムを全滅させてよ~。そしたら、イベント終了時刻前にラーちゃんと会えるから~」

「むぅー……分かった。さっさとゴーレムを殲滅して、こんなクソイベント終わらせるー!」

 グッと拳を握り締め、シムナさんは思いを新たにする。
そんな彼の前で、徳正さんは

「じゃあ、また後でね~」

 と言って、地面を蹴り上げた。
その瞬間、物凄い速さで私達の体は上昇していく。
どうやら、上空から負傷したプレイヤーを探し出すつもりらしい。

「あっ!ラーちゃん、あそこのパーティー今にも壊滅しそうだよ~?」

「本当ですね。全員傷だらけで、息も絶え絶えです……あそこに向かいましょう」

「りょーかーい!」

 近くに居るゴーレムを足場にして方向転換し、徳正さんは加速した。
ブワッと巻き起こる風を他所に、私はゲーム内ディスプレイに表示された時刻を見つめる。

 夜の八時ジャスト────ゴーレム討伐イベント終了まで、あと八時間。
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