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第三章
第130話『巨大ロボットの空中飛行』
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「お二人共、お気をつけて」
ゴーレムの巨体で隠れたレオンさんとヴィエラさんを一瞥し、私は残ったメンバーに向き直った。
そこでドローンのことなど更に細かく取り決めると、それぞれ巨大ロボットの肩に乗る。
と同時に、空へ飛び上がった。
シートベルトや命綱もなしに。
た、高い……怖い……落ちたら、死ぬ……。
巨大ロボットの首元にしがみつき、私は『ちょっと早まったかも……』と弱気になる。
が、反対側に座るリアムさんは余裕そうだった。
「おお!これが巨大ロボットの空中飛行!胸が高鳴るね!」
何かに掴まるどころか、肩の上で仁王立ちする彼は実に活き活きとしている。
見ているこっちはヒヤヒヤするが。
「おや?田中たちは早速、ドローンの配達を始めているみたいだね☆僕らも負けていられないよ」
「そ、そうですね……」
負ける何も勝負を始めた覚えはないけど……まあ、完全に出遅れているのは認める。
私は田中さん達のロボットの周りに居るドローンを見つめ、少し目を凝らす。
すると、荷物を括り付けているアラクネさんが目に入った。
せっせと働く彼女を前に、ドローンはゆっくりと降下していく。
そして、負傷しながらも必死に戦うパーティーの元へアイテムを届けると、ゆっくり戻ってきた。
ドローンですらきちんと仕事をこなしているという現状に、私は深い溜め息を零す。
「……こうなったら、腹を括るしかありませんね。いつまでも怖がっている訳には、いきませんし」
「ん?ラミエルは怖がっていたのかい?もしかして、高いところは苦手?高所恐怖症というやつかい?」
「いえ、そういう訳では……ただ、シートベルトも命綱もないこの状況に怯えていただけです」
「そういえば、落ちた時の安全装置は何もないね☆今、気づいたよ」
『はっはっはっはっ!』と高笑いするリアムさんに対し、私は白けた目を向ける。
が、いちいち突っ込むのは面倒臭くて思考を放棄した。
今はとにかく、人命救助を優先しなきゃ。
『こうしている間にも、重傷を負っている人が居るかも』と思い立ち、私は恐る恐るロボットの首から手を離す。
抱き着いたままだと、よく辺りを見回せないから。
『落下しませんように』と願いつつ、私は再度地上を見下ろした。
「えーっと、あのパーティーは……回復師が居るから、大丈夫。あっちのパーティーは軽傷しか居ないから、ポーションだけで大丈夫そう……」
「こうして見ると、ラミエルの治療が必要な人って案外少ないんだね」
「そうですね。重傷になる前にアラクネさん達が、ポーションを配ってくれているおかげでしょう」
地上で必死に戦うプレイヤー達を見守りながら、私は『これなら、ちょっと休めるかも』と考える。
四本目を開けずに済む未来を思い描く中、リアムさんはふと身を乗り出した。
「ねぇ、ラミエル。あそこに居る二人って、レオンさんとヴィエラだよね?ちょっと様子がおかしくないかい?」
不思議そうにコテリと首を傾げ、リアムさんはある方向を指さす。
促されるままそちらへ視線を向けると、ファイアゴーレムに詰め寄られているレオンさんとヴィエラさんの姿があった。
炎に取り囲まれても動じない二人を前に、私も違和感を抱く。
あれ?おかしいな……。
いつものヴィエラさんなら、敵の魔法を相殺するなり何なりして打ち消しているのに……今は魔法を使う素振りすらない。
前衛のレオンさんがしっかりゴーレムの動きを止めているにも拘わらず、だ。
『ヴィエラさんらしくないな』と不安を覚える中、彼女は
「「あっ!」」
糸の切れたマリオネットのように、その場で倒れた。
と同時に、レオンさんはファイアゴーレムの喉元を掻き切り、ヴィエラさんの元へ駆け寄った。
これ……結構不味い状況かも!
「リアムさん!ヴィエラさんの元へ急いでください!早く!」
「了解だよ」
巨大ロボットの操縦機を手に持つリアムさんは、ヴィエラさん目掛けて降下していく。
急降下とまでは行かないが、かなり荒々しい運転だった。
さっきまでの私なら、『おーちーるー!』と叫んでいたことだろう。
でも、今はそれどころじゃなかった。
見たところ、ヴィエラさんに目立った外傷はない……考えられるとしたら毒だけど、レオンさんはピンピンしているんだよね。
『何でヴィエラさんだけ?』と疑問に思う中、巨大ロボットは見事着地する。
ドシンッと鳴り響く音をスルーし、私はロボットの腕を滑り台のようにして降りた。
「リアムさんは巨大ロボットを使って、ゴーレム達の牽制を!私はヴィエラさんの治療に当たります!」
「了解だよ」
まだロボットの肩に乗っているリアムさんは笑顔で頷き、近くのゴーレムを跳ね飛ばす。
『おお!素晴らしい破壊力だ!』と感嘆の声を漏らす彼を他所に、私はヴィエラさんの元へ駆け寄った。
「ラミエル!来てくれたのか!!実はヴィエラが突然倒れて……」
「分かってます!一部始終を見ていたので!」
レオンさんの腕に抱かれるヴィエラさんを見つめ、私は眉間に皺を寄せる。
凄い汗……それに呼吸も荒々しい。
やっぱり、毒の可能性が高いな。
『とりあえず一気にHPも回復させよう』と考え、私は
「《パーフェクトヒール》!」
治癒の最上級魔法を掛けた。
だが、しかし……ヴィエラさんの体調は一向に改善されない。
真っ青な顔も、そのままだった。
な、何で……!?どうして、『パーフェクトヒール』が効かないの……!?
ゴーレムの巨体で隠れたレオンさんとヴィエラさんを一瞥し、私は残ったメンバーに向き直った。
そこでドローンのことなど更に細かく取り決めると、それぞれ巨大ロボットの肩に乗る。
と同時に、空へ飛び上がった。
シートベルトや命綱もなしに。
た、高い……怖い……落ちたら、死ぬ……。
巨大ロボットの首元にしがみつき、私は『ちょっと早まったかも……』と弱気になる。
が、反対側に座るリアムさんは余裕そうだった。
「おお!これが巨大ロボットの空中飛行!胸が高鳴るね!」
何かに掴まるどころか、肩の上で仁王立ちする彼は実に活き活きとしている。
見ているこっちはヒヤヒヤするが。
「おや?田中たちは早速、ドローンの配達を始めているみたいだね☆僕らも負けていられないよ」
「そ、そうですね……」
負ける何も勝負を始めた覚えはないけど……まあ、完全に出遅れているのは認める。
私は田中さん達のロボットの周りに居るドローンを見つめ、少し目を凝らす。
すると、荷物を括り付けているアラクネさんが目に入った。
せっせと働く彼女を前に、ドローンはゆっくりと降下していく。
そして、負傷しながらも必死に戦うパーティーの元へアイテムを届けると、ゆっくり戻ってきた。
ドローンですらきちんと仕事をこなしているという現状に、私は深い溜め息を零す。
「……こうなったら、腹を括るしかありませんね。いつまでも怖がっている訳には、いきませんし」
「ん?ラミエルは怖がっていたのかい?もしかして、高いところは苦手?高所恐怖症というやつかい?」
「いえ、そういう訳では……ただ、シートベルトも命綱もないこの状況に怯えていただけです」
「そういえば、落ちた時の安全装置は何もないね☆今、気づいたよ」
『はっはっはっはっ!』と高笑いするリアムさんに対し、私は白けた目を向ける。
が、いちいち突っ込むのは面倒臭くて思考を放棄した。
今はとにかく、人命救助を優先しなきゃ。
『こうしている間にも、重傷を負っている人が居るかも』と思い立ち、私は恐る恐るロボットの首から手を離す。
抱き着いたままだと、よく辺りを見回せないから。
『落下しませんように』と願いつつ、私は再度地上を見下ろした。
「えーっと、あのパーティーは……回復師が居るから、大丈夫。あっちのパーティーは軽傷しか居ないから、ポーションだけで大丈夫そう……」
「こうして見ると、ラミエルの治療が必要な人って案外少ないんだね」
「そうですね。重傷になる前にアラクネさん達が、ポーションを配ってくれているおかげでしょう」
地上で必死に戦うプレイヤー達を見守りながら、私は『これなら、ちょっと休めるかも』と考える。
四本目を開けずに済む未来を思い描く中、リアムさんはふと身を乗り出した。
「ねぇ、ラミエル。あそこに居る二人って、レオンさんとヴィエラだよね?ちょっと様子がおかしくないかい?」
不思議そうにコテリと首を傾げ、リアムさんはある方向を指さす。
促されるままそちらへ視線を向けると、ファイアゴーレムに詰め寄られているレオンさんとヴィエラさんの姿があった。
炎に取り囲まれても動じない二人を前に、私も違和感を抱く。
あれ?おかしいな……。
いつものヴィエラさんなら、敵の魔法を相殺するなり何なりして打ち消しているのに……今は魔法を使う素振りすらない。
前衛のレオンさんがしっかりゴーレムの動きを止めているにも拘わらず、だ。
『ヴィエラさんらしくないな』と不安を覚える中、彼女は
「「あっ!」」
糸の切れたマリオネットのように、その場で倒れた。
と同時に、レオンさんはファイアゴーレムの喉元を掻き切り、ヴィエラさんの元へ駆け寄った。
これ……結構不味い状況かも!
「リアムさん!ヴィエラさんの元へ急いでください!早く!」
「了解だよ」
巨大ロボットの操縦機を手に持つリアムさんは、ヴィエラさん目掛けて降下していく。
急降下とまでは行かないが、かなり荒々しい運転だった。
さっきまでの私なら、『おーちーるー!』と叫んでいたことだろう。
でも、今はそれどころじゃなかった。
見たところ、ヴィエラさんに目立った外傷はない……考えられるとしたら毒だけど、レオンさんはピンピンしているんだよね。
『何でヴィエラさんだけ?』と疑問に思う中、巨大ロボットは見事着地する。
ドシンッと鳴り響く音をスルーし、私はロボットの腕を滑り台のようにして降りた。
「リアムさんは巨大ロボットを使って、ゴーレム達の牽制を!私はヴィエラさんの治療に当たります!」
「了解だよ」
まだロボットの肩に乗っているリアムさんは笑顔で頷き、近くのゴーレムを跳ね飛ばす。
『おお!素晴らしい破壊力だ!』と感嘆の声を漏らす彼を他所に、私はヴィエラさんの元へ駆け寄った。
「ラミエル!来てくれたのか!!実はヴィエラが突然倒れて……」
「分かってます!一部始終を見ていたので!」
レオンさんの腕に抱かれるヴィエラさんを見つめ、私は眉間に皺を寄せる。
凄い汗……それに呼吸も荒々しい。
やっぱり、毒の可能性が高いな。
『とりあえず一気にHPも回復させよう』と考え、私は
「《パーフェクトヒール》!」
治癒の最上級魔法を掛けた。
だが、しかし……ヴィエラさんの体調は一向に改善されない。
真っ青な顔も、そのままだった。
な、何で……!?どうして、『パーフェクトヒール』が効かないの……!?
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