上 下
124 / 315
第三章

第123話『リーダーと合流』

しおりを挟む
 そして、四十分ほど経過した頃────徐々にだが、中央大陸を訪れるプレイヤーが増えて来ていた。
恐らく、リーダーから同盟メンバーに情報を流してくれたおかげだろう。
ウチのメンバーと同じようにゴーレムを狩りまくる彼らの傍で、私はふと周囲を見回す。

 やっぱり……ちょっと押され気味だな。これだけ人数差があるんだから仕方ないとはいえ、ちょっと厳しいかも。

 『徳正さん達が無双していても、この状態か……』と嘆き、私は顎に手を当てて考え込む。

「リーダー達が到着してくれれば、もう少し状況も良くなるのに……」

「────俺がなんだって?」

 聞き覚えのある声が耳を掠め、私は慌てて後ろを振り返った。
すると、そこには────鎧に身を包んだ銀髪の美丈夫が。

「リーダー!!」

「久しぶりだな、ラミエル」

「おお!君が『虐殺の紅月』のパーティーリーダーである、無名か!会えて、光栄だよ☆」

「誰かよく分からんが、ラミエルが世話になっているな」

 若干戸惑いながらも返事するリーダーに、リアムさんはニッコリ微笑む。

「僕は『紅蓮の夜叉』に所属している、リアムだよ☆よろしく」

「ヘスティアんとこのメンバーか。こっちこそ、よろしくな」

 珍しく好反応を示すリーダーは、普通に握手を交わす。
普段はパーティーメンバー以外、塩対応なのに。
『リアムさんのこと気に入っているのかな?』と首を傾げる中、リーダーは不意にこちらを見る。

「ラミエル、中央大陸の状況はどうなっている?」

「正直、微妙ですね。ここに来るプレイヤーの数も増えていますが、その分ゴーレムの数も増えてますから。倒しても倒してもキリがないって、感じです。なので上位プレイヤーをどれだけ多く、そして早く集められるかがイベントクリアの鍵になると思います」

「なるほどな」

「今はまだ戦闘よりも移動を優先しているゴーレムが多いからこの程度の被害で済んでいるけど、最優先事項がプレイヤーの殺害に切り替わったら、地獄絵図になるだろうね☆」

「そうか……」

 現状を把握し、リーダーは少しばかり難しい表情を浮かべる。
『思ったより、厳しい状況だな』と呟きながら。

 範囲魔法を使えるヴィエラさんが居れば、一気にゴーレムを片付けることが出来るんだけど、まだ彼女は到着していない。
何より、範囲魔法を使えるだけの余力が残っているかどうか分からなかった。
アラクネさんの話だと、ここ二日間でマジックポーションを何本も飲んでいるみたいだから。
魔力MPの使い過ぎで、いきなり倒れる可能性は充分あった。
だから、リーダーの力でどこまで巻き返せれるかが重要になる。

「リーダー、ラルカさんを連れて大陸の反対側に行ってもらっても大丈夫ですか?恐らく、ここよりずっと酷い状況になっていると思うので、そちらの討伐はリーダーに任せたいんです」

「それは別に構わないが、何でラルカなんだ?」

「人形使いのラルカさんなら、ぬいぐるみで戦力や人手を補えると思ったからです」

「ああ、なるほど。それなら、確かに徳正やシムナよりラルカを連れていった方がいいな」

 納得したように頷くリーダーは、ゴーレムの腸を切り裂くクマの着ぐるみに視線を向けた。
大きな鎌を器用に操るラルカさんは、ぴょんぴょん飛び回りながら無駄のない動きでゴーレムを仕留めていく。
戦闘開始してから一時間以上経つのに、バテている様子はなかった。
隣で、『はぁはぁ』と息切れを引き起こすレオンさんとは大違いである。

 そろそろ、レオンさんを休憩させた方がいいかな?
ラルカさんについて行こうと、序盤からかなり飛ばしていたみたいだから。

 『このままだと、大怪我を負いそう』と心配する中、リーダーは大剣を引き抜く。

「無名、もう行ってしまうのかい?」

「ああ。状況が状況なだけに、あまり悠長にもしていられないからな」

 残念そうに肩を落とすリアムさんに、リーダーは『悪いな』と述べる。
そして軽くストレッチすると、私の頭に手を置いた。

「じゃあ、行ってくる。ラミエルとリアムはここでアラクネ達の到着を待っていてくれ。何か問題が起きれば、連絡しろ。こっちで解決する」

「はい。リーダーこそ、何かあれば連絡してくださいね」

「無名、頑張り過ぎないようにね☆」

「ああ」

 穏やかな表情で頷くリーダーは私の頭から手を離し、走り出す。
道すがらに、戦闘中のラルカさんを回収しながら。

 リーダー、ご武運を。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ゴミスキル【スコップ】が本当はチート級でした~無能だからと生き埋めにされたけど、どんな物でも発掘できる力でカフェを経営しながら敵を撃退する~

名無し
ファンタジー
鉱山で大きな宝石を掘り当てた主人公のセインは、仲間たちから用済みにされた挙句、生き埋めにされてしまう。なんとか脱出したところでモンスターに襲われて死にかけるが、隠居していた司祭様に助けられ、外れだと思われていたスキル【スコップ】にどんな物でも発掘できる効果があると知る。それから様々なものを発掘するうちにカフェを経営することになり、スキルで掘り出した個性的な仲間たちとともに、店を潰そうとしてくる元仲間たちを撃退していく。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

処理中です...