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第三章

第120話『ゴーレム達の目的は?』

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 それから、私達は三十分ほどかけてノーマルゴーレムをストーキング……じゃなくて尾行している訳だが、これと言って進展はない。
途中で大きな街や有名な観光名所を通り掛かったものの、ノーマルゴーレムは『眼中にない』とでも言うようにスルーしてしまったから。

 もう大陸の端っこまで来ちゃったけど、一体どこに向かってるんだろう?
この先にあるのは、港町くらいだけど……。

 ゲーム内ディスプレイに表示したマップと睨めっこしながら、私は小首を傾げる。
なかなか行き先を割り出せずにいると、シムナさんが前髪を掻き上げた。

「あーーーー!もうっ!飽きたー!いつまで、ゴーレムをストーカーすればいい訳ー!?」

「いや、言い方~。何が悲しくて、ノーマルゴーレムのストーカーなんかしないといけないのさ~?」

『そうだ。せめて、尾行と言え。尾行と』

「でも、やっていることは一緒だよね☆」

「要は気持ちの問題だな」

『マジレスはやめてくれ』

 額に手を当てて項垂れるラルカさんに、私は苦笑を浮かべる。
そして彼の背中をポンポンと叩いて励ますと、視線を前に戻した。

「港町もハズレだったら、本当にもうどこが目的地なのか分かりませんね」

「これで港町に着いた途端、ノーマルゴーレムがUターンしたら笑えるよねー。僕らの時間を返してー、ってなる!」

『その微妙に有り得そうな予想はやめてくれ。現実になったら、僕は泣く』

「んじゃ、俺っちはラーちゃんに慰めてもらう~」

「下心丸出しだな」

「下心あり過ぎて、いっそ清々しいね♪」

「な~んか、みんな俺っちへの対応雑になってな~い?俺っち、泣いちゃうよ~?」

 メソメソと泣き真似をして、徳正さんは『酷いよ~』と呟いた。
かと思えば、急に顔を上げ、少し目を凝らす。

「おっ?港町が見えてきたね~。他のゴーレムは居るかな~?」

「やっと、港町ー?このノーマルゴーレム、歩くの遅すぎー!」

『まあ、落ち着け。とりあえず、港町に他のゴーレムが居ないか確認しよう』

「ラルカ達の視力はエゲつねぇーな……俺には、まだ港町なんて見えねぇーよ」

「僕も朧気にしか見えないかな。狩人ハンターだから、目はいい筈なんだけどね☆」

 いや、ちょっとでも見えている時点で凄いよ。
私は全くこれっぽっちも見えないから。

 『これはもっと近づかないとダメかな?』と考えていると、徳正さんが少し前のめりになる。

「ん~……港町に他のゴーレムは……おっ!居るね~」

「目視出来るのは五、六体くらーい!港町に居るプレイヤーは、めちゃくちゃ驚いているよー!」

『でも、変だな……港町に入っても、ゴーレム達はまだ歩を止めていないぞ?まるで、通過点のような振る舞いだ』

「あっ!ゴーレムが大陸を繋げる橋カンティネン・ブリッジを渡り始めたよ~!」

 となると、ゴーレム達の行き先は中央大陸……?だとしたら、少し不味いかもしれない……。

 FROには、五つの大陸が存在する。
毎度おなじみ東西南北の四つの大陸と、その中央に位置する中央大陸。
そして、それらの大陸は大陸を繋げる橋カンティネン・ブリッジで繋がっている。
そんな橋を、ゴーレム達が意味もなく渡るとは思えない。

「考えたくはありませんけど、この状況ってやっぱり……四大陸に散らばった全てのゴーレムを、中央大陸に集めるつもりなんでしょうか?」

「状況的にその可能性は高いね~」

「わざわざ生き残りのゴーレムを一ヶ所に集めてくれるなんて、ラッキーじゃん!」

『いや、そうでもないぞ?なんせ、中央大陸には────魔王城・・・が存在するからな。あそこへ入られたら、大変だ』

「ゴーレム討伐イベント×魔王討伐クエストとか、ただの地獄だろ。ゴーレム達の最終的な目的地が魔王城だったら、泣き寝入りするしかねぇーぞ」

 『無理は禁物だ』と述べるレオンさんに、私は大きく頷いた。
魔王討伐クエストの過酷さは、誰よりも理解しているつもりだから。

「とりあえず、私達も中央大陸に向かいましょう。状況を確認でき次第、ゴーレムの大量殺戮に移ります」
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