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第三章

第112話『三件のメッセージ』

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 それから私達は月の泉を立ち去り、次の目的地に向かっていた。
いつものように移動時間を利用して情報収集を行いつつ、徳正さんの腕に抱かれる。
────と、ここで三件のメッセージが届いた。
赤く光る通知欄をタップし、私は送り主を確認する。

 えっ?アラクネさんと田中さんはまだ分かるけど……リーダーまで?

 『一体、何の用だろう?』と首を傾げながら、私はチャット画面を開いた。

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No.1:東大陸のゴーレムはほとんど討伐したから、今から北大陸に向かう
────────────────────

 リーダーらしい短い文章を前に、私は頬を緩める。
『昨日、送ったメッセージ覚えておいてくれたんだ』と思いながら。

 北大陸の状況は今も思わしくないから、リーダーの助太刀は諸手を挙げて大賛成。
是非、大陸に巣食うゴーレムを殲滅していただきたい。

 私は最新情報を書き込んだ北大陸のマップをスクショし、リーダーに送り付けた。
『ご武運を』という一言も添えて。
『さて、次はアラクネさんのメッセージを確認しようかな』と思いつつ、私は我慢を切り替えた。

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No.5:ラミエルさん、お忙しい中ご連絡頂き、ありがとうございます。先ほど田中と連絡を取ったところ、私の実の兄であることが判明しました。こうして兄と再会出来たのも、全てラミエルさんのおかげです。本当にありがとうございます。今度、改めてお礼をさせてください。

No.5:そして、これはただの報告になりますが、兄の運営するギルドから助っ人を呼んでいただけることになりました。南大陸のゴーレム討伐はこれでちょっと楽になると思います。

No.5:報告は以上です。イベントクリアに向けて、お互い頑張りましょう!
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 良かった。南大陸の状況もそうだけど、田中さんが本物のお兄さんで……。
だって、もし偽物だったら一大事だし。

 ありがた迷惑のような状況にならなかったことを喜び、私は心底安堵した。
そして、アラクネさんに『無事再会できたようで良かったです』と返信すると、今度は田中さんのチャット画面を開く。
メッセージの内容は大体予想つくが、念のため目を通した。

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田中:無事、妹と連絡がついた。礼を言う。本当にありがとう。今度、何かお礼をさせてくれ。

田中:それで少し話は変わるんだが、相談がある

田中:実はアラクネの手伝いで、南大陸に行くことになったんだが……服装は何が良いと思う?やはり、タキシード……いや、ここは敢えて和装で行くか?久々の再会だし、格好よく決めたいんだ。

田中:それから、持っていくアイテムについても意見を聞かせてくれ。とりあえず、ロボットは女性ウケが悪いと聞いたんだが……ロケットはどうだ?重機関銃や戦車も一応、用意してある。嬢ちゃん的にはどんな武器を持ってきてくれたら、嬉しい?
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 そりゃあ、強い武器を持ってきてくれたら嬉しいけど……多分、田中さんの言いたいことは違うよね。
女性ウケを狙っているあたり、性能よりも見た目を重視しているような気がする。

 『何でこの人は妹のことになると、IQ下がるんだ……』とボヤき、私は溜め息を零す。
もはや呆れ返ることしか出来ない状況に辟易しつつ、『そんなの本人に聞いてください』と返信した。
その数十秒後────田中さんから、鬼電を受ける。

 お願いだから、もう勘弁して……。
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