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第三章
第93話『話し合いの原点に戻る』
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「では、もう一度質問させてください────田中さんはリアムさんの居場所をご存知ですか?もし、知っているのなら教えてください。私達にはもう時間がないんです」
ブルーサファイアの瞳を真っ直ぐ見つめ、再度本題に入ると、田中さんはハッとする。
そして、数秒ほど固まると……慌てたように身を乗り出してきた。
「悪い!すっかり忘れていた!お前達がここに来た目的はリアムの所在地を尋ねるためだったな!」
「田中、物忘れ激しいねー。やっぱり、田中は『お兄さん』より『おじさん』の方が合ってるよー」
「それは全力で否定したいが、この状況だと否定できん……」
ケラケラ笑いながら茶々を入れてくるシムナさんに、田中さんはガクリと肩を落とす。
『俺も、もう歳か?』なんてボヤきながら、背筋を伸ばした。
「とりあえず、要点だけ言うぞ。まどろっこしいのは、苦手だからな」
そう前置きすると、田中さんは真っ直ぐこちらを見据える。
「俺は今日────そのリアムという男を目撃した」
「それはいつ頃ですか?」
「三十分から四十分くらい前だな。多分もう見たと思うが、街中で巨大ゴーレムと取っ組み合いをしていた巨大ロボットは俺ら『田中研究所』と『プタハのアトリエ』が共同開発したものなんだ。で、俺はその巨大ロボットの修理をやってたんだよ。まだ開発途中のものだから結構壊れやすくてな。場所は確か……どこだったっけなぁ……?」
悩ましげに眉を顰める田中さんは、ガシガシと頭を搔いた。
「んー……多分、三丁目?いや、大通りか?いや、やっぱり五丁目の三番地……って、それはねぇーか。あそこは狭いから、まず巨大ロボットを修理出来るスペースがねぇーし」
ブツブツと独り言を零しながら、田中さんは唸り声を上げる。
どうやら、『物忘れが激しい』という指摘は正しかったようだ。
『頼むからしっかりしてくれ、二十代』と願う中────通知音が脳内に鳴り響く。
何だろう?誰かから、メッセージかな?もしくは、イベント関係の通知?
などと思いつつ、私は届いたメッセージを開いた。
────────────────────
No.2:リアムくんを捕獲したよ~
No.2:約束していた場所に集合してね~
────────────────────
徳正さん、ナイス……!
パッと表情を明るくする私は、思わず拳を握り締める。
が、隣に座るシムナさんは実に冷めた反応であった。
ただ、『ふーん』と呟くだけ。
まあ、シムナさんはリアムさんに大して興味なさそうだったもんね。
それに移動中に一悶着あったし。
リアムさん投げ捨て事件を思い返し、私は苦笑を漏らす。
と同時に、小さく肩を竦めた。
「一生懸命思い出そうとしてくださっているところ、申し訳ありません、田中さん。ウチのメンバーの一人がリアムさんを捕獲したようなので、もう大丈夫です。お騒がせしました」
「ん?あぁ、そうか。見つかったなら、良かった。大して役に立てなくて、悪かったな」
「いえ、そんな……!とんでもありません!」
「そーそー。田中の記憶力なんて、元々当てにしてなかったから、気にしなくて大丈夫だよー」
「悪かったな?記憶を悪くて……ったく、お前は本当にムカつくガキだな」
田中さんはムッとした様子で悪態をつくものの、本気で怒ることはなかった。
実に大人な対応である。
後でシムナさんには説教しなくちゃ。さすがにちょっと、お口が悪すぎる。
『一応、田中さんとは初対面なんだから』と思案しつつ、席を立つ。
「申し訳ありませんが、私達はこれで失礼します。貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました」
「ありがと、田中ー!」
「ああ。こっちこそ、ありがとな。アラクネには、よろしく伝えといてくれ」
「分かりました」
アラクネさんのことに関しては抜かりない田中さんに少し笑い、私は一礼した。
椅子に座った状態でヒラヒラと手を振る田中さんを一瞥し、身を翻す。
と同時に────夜の帳が降りた。
ブルーサファイアの瞳を真っ直ぐ見つめ、再度本題に入ると、田中さんはハッとする。
そして、数秒ほど固まると……慌てたように身を乗り出してきた。
「悪い!すっかり忘れていた!お前達がここに来た目的はリアムの所在地を尋ねるためだったな!」
「田中、物忘れ激しいねー。やっぱり、田中は『お兄さん』より『おじさん』の方が合ってるよー」
「それは全力で否定したいが、この状況だと否定できん……」
ケラケラ笑いながら茶々を入れてくるシムナさんに、田中さんはガクリと肩を落とす。
『俺も、もう歳か?』なんてボヤきながら、背筋を伸ばした。
「とりあえず、要点だけ言うぞ。まどろっこしいのは、苦手だからな」
そう前置きすると、田中さんは真っ直ぐこちらを見据える。
「俺は今日────そのリアムという男を目撃した」
「それはいつ頃ですか?」
「三十分から四十分くらい前だな。多分もう見たと思うが、街中で巨大ゴーレムと取っ組み合いをしていた巨大ロボットは俺ら『田中研究所』と『プタハのアトリエ』が共同開発したものなんだ。で、俺はその巨大ロボットの修理をやってたんだよ。まだ開発途中のものだから結構壊れやすくてな。場所は確か……どこだったっけなぁ……?」
悩ましげに眉を顰める田中さんは、ガシガシと頭を搔いた。
「んー……多分、三丁目?いや、大通りか?いや、やっぱり五丁目の三番地……って、それはねぇーか。あそこは狭いから、まず巨大ロボットを修理出来るスペースがねぇーし」
ブツブツと独り言を零しながら、田中さんは唸り声を上げる。
どうやら、『物忘れが激しい』という指摘は正しかったようだ。
『頼むからしっかりしてくれ、二十代』と願う中────通知音が脳内に鳴り響く。
何だろう?誰かから、メッセージかな?もしくは、イベント関係の通知?
などと思いつつ、私は届いたメッセージを開いた。
────────────────────
No.2:リアムくんを捕獲したよ~
No.2:約束していた場所に集合してね~
────────────────────
徳正さん、ナイス……!
パッと表情を明るくする私は、思わず拳を握り締める。
が、隣に座るシムナさんは実に冷めた反応であった。
ただ、『ふーん』と呟くだけ。
まあ、シムナさんはリアムさんに大して興味なさそうだったもんね。
それに移動中に一悶着あったし。
リアムさん投げ捨て事件を思い返し、私は苦笑を漏らす。
と同時に、小さく肩を竦めた。
「一生懸命思い出そうとしてくださっているところ、申し訳ありません、田中さん。ウチのメンバーの一人がリアムさんを捕獲したようなので、もう大丈夫です。お騒がせしました」
「ん?あぁ、そうか。見つかったなら、良かった。大して役に立てなくて、悪かったな」
「いえ、そんな……!とんでもありません!」
「そーそー。田中の記憶力なんて、元々当てにしてなかったから、気にしなくて大丈夫だよー」
「悪かったな?記憶を悪くて……ったく、お前は本当にムカつくガキだな」
田中さんはムッとした様子で悪態をつくものの、本気で怒ることはなかった。
実に大人な対応である。
後でシムナさんには説教しなくちゃ。さすがにちょっと、お口が悪すぎる。
『一応、田中さんとは初対面なんだから』と思案しつつ、席を立つ。
「申し訳ありませんが、私達はこれで失礼します。貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました」
「ありがと、田中ー!」
「ああ。こっちこそ、ありがとな。アラクネには、よろしく伝えといてくれ」
「分かりました」
アラクネさんのことに関しては抜かりない田中さんに少し笑い、私は一礼した。
椅子に座った状態でヒラヒラと手を振る田中さんを一瞥し、身を翻す。
と同時に────夜の帳が降りた。
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