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第三章
第87話『アスタルテさんの優しい気遣い』
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「デーリアが貴方を気に入った理由が、よく分かったです。確かに貴方は凄く面白いのです。だから────我々『プタハのアトリエ』は人探しに全面協力するですよ♪『虐殺の紅月』さんとは、今後とも良きお付き合いをしたいですし♪」
拍子抜けするほどあっさり欲しい言葉をくれたアスタルテさんに、私は度肝を抜かれた。
困惑のあまり目を白黒させていると、彼女がクスリと笑みを漏らす。
その笑みはどこか大人びていて、子供っぽい容姿から最もかけ離れていた。
でも、自然とこれが────アスタルテさんの本性なのだと分かる。
人は見かけによらないって言うけど、これは外見と中身のギャップが凄すぎない……?
まあ、大人な対応をしてくれたおかげで欲しい結果を得られた訳だから感謝しかないけど。
でも、それはそれとして……いい加減、リアムさんの捜索要請をしなきゃ。
ゲーム内ディスプレイに表示された時刻を確認し、私は『早く本題に……』と焦った。
そんな私の心情を読み取ったのか、アスタルテさんは自ら話を再開させる。
「ではでは~!早速、詳しい話を聞かせてほしいのです~!ラミエルさん達は一体、誰を探しているんです?」
大人びた笑みを引っ込め、再び人懐っこい笑みを浮かべたアスタルテさんはコテンと可愛らしく首を傾げた。
早く話を進めようと気を使ってくれる様子から、本当に私達のことを認めてくれたんだと分かる。
『まあ、まだ油断は出来ないけどね……』と内心苦笑しつつ、私は顔を上げた。
「私達が探しているのは、白髪アシメの男性です。名前はリアム。『紅蓮の夜叉』の幹部候補として名を馳せる、新人ルーキーです。諸事情により、現在私達は彼とチームを組んでいるのですが、途中ではぐれてしまって……」
「ふむふむ……なるほどなのです!事情は把握しましたです!では、今回の要請は『紅蓮の夜叉』の幹部候補生リアムの捜索及び保護で構わないですか?」
「はい、それで構いません。よろしくお願いします」
「はいなのです♪このアスタルテにどーんと任せるですよ♪」
ポスッと自身の胸を叩き、アスタルテさんは自信満々に言ってのけた。
変に詮索することなく引き受けてくれた彼女に、私は『ありがとうございます』とお礼を言う。
助かった、アスタルテさんが話の分かる……いや、空気の読める(?)人で。
だって、もし詮索されていたらはぐらかすのに時間が掛かっていただろうから。
無論、正直に打ち明けるつもりはない。
そうなったら、リアムさんの奇行まで話さないといけなくなるからね……。
その結果、彼自身の名誉だけでなく『紅蓮の夜叉』の評価まで下がったら困る。
今、『紅蓮の夜叉』はFROプレイヤーの心の支えとなっているため。
『混乱が大きくなる』と思案する中、アスタルテさんはパンッと手を叩いた。
「とりあえず、捜索に必要な情報は頂いたので後はお任せくださいなのです。ラミエルさん達はそれまで寛いでもらって……」
「あっ、いえ!私達もリアムさんの捜索に動きます!ですから、フレンド登録をお願い出来ませんか?連絡出来ないと、不便ですから」
「了解なのです。でも、本当にここで待機してもらって大丈夫なのですよ?ウチはゴーレムによる被害をほとんど、受けてないので。人手も多いですし」
心配そうにこちらを見つめるアスタルテさんに、私は苦笑を漏らす。
初対面の彼女にすら悟られるほど疲労が溜まっているのか、と。
リユニオンタウンを出てから、まともに休めていないからね……おまけに普段の倍以上、魔力を使ってるし。
出来ることなら、休みたい。
でも、徳正さん達だって頑張っているのに私だけ休む訳にはいかなかった。
優しさが垣間見えるアスタルテさんの言動に、私はスッと目を細めた。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は本当に大丈夫なので気にしないでください」
アスタルテさんを安心させるようにニッコリ微笑めば、彼女は複雑な表情を浮かべた。
でも、出会ったばかりということもあり、深入りはしない。
「分かりましたです。でも、くれぐれも気を付けてくださいね?自分が思っている以上に、体は丈夫じゃありませんですから」
「ご忠告ありがとうございます。肝に銘じておきます」
そう言って、私はソファから立ち上がった。
少し遅れて、シムナさんも席を立つ。
さっさと街に出て、捜索を再開させなければ。
とりあえず、次の目的を決めようか。
「玄関までお見送りするですよ♪」
見当違いな方向へ歩き出したシムナさんを引き止めつつ、アスタルテさんは赤い扉へ誘導する。
『迷子になったら大変なのです』と述べる彼女に、私達は素直に応じた。
とても小さな背中を追い掛け、先程フレンド登録したアスタルテさんのプロフィールを眺める。
あっ、そうだ。ここを去る前にアスタルテさんに“アレ”を聞いておこう。
知ってるかどうかは分からないけど、上手く行けば候補くらいは絞れるかもしれない。
『プタハのアトリエ』のギルドマスターであるアスタルテさんなら、顔も広いだろうし。
「あの、アスタルテさん。つかぬ事をお聞きしますが────あの巨大ロボットを作ったギルドがどこか、ご存知ですか?」
何気ない質問を投げ掛ける私に、アスタルテさんはパチパチと瞬きを繰り返した。
拍子抜けするほどあっさり欲しい言葉をくれたアスタルテさんに、私は度肝を抜かれた。
困惑のあまり目を白黒させていると、彼女がクスリと笑みを漏らす。
その笑みはどこか大人びていて、子供っぽい容姿から最もかけ離れていた。
でも、自然とこれが────アスタルテさんの本性なのだと分かる。
人は見かけによらないって言うけど、これは外見と中身のギャップが凄すぎない……?
まあ、大人な対応をしてくれたおかげで欲しい結果を得られた訳だから感謝しかないけど。
でも、それはそれとして……いい加減、リアムさんの捜索要請をしなきゃ。
ゲーム内ディスプレイに表示された時刻を確認し、私は『早く本題に……』と焦った。
そんな私の心情を読み取ったのか、アスタルテさんは自ら話を再開させる。
「ではでは~!早速、詳しい話を聞かせてほしいのです~!ラミエルさん達は一体、誰を探しているんです?」
大人びた笑みを引っ込め、再び人懐っこい笑みを浮かべたアスタルテさんはコテンと可愛らしく首を傾げた。
早く話を進めようと気を使ってくれる様子から、本当に私達のことを認めてくれたんだと分かる。
『まあ、まだ油断は出来ないけどね……』と内心苦笑しつつ、私は顔を上げた。
「私達が探しているのは、白髪アシメの男性です。名前はリアム。『紅蓮の夜叉』の幹部候補として名を馳せる、新人ルーキーです。諸事情により、現在私達は彼とチームを組んでいるのですが、途中ではぐれてしまって……」
「ふむふむ……なるほどなのです!事情は把握しましたです!では、今回の要請は『紅蓮の夜叉』の幹部候補生リアムの捜索及び保護で構わないですか?」
「はい、それで構いません。よろしくお願いします」
「はいなのです♪このアスタルテにどーんと任せるですよ♪」
ポスッと自身の胸を叩き、アスタルテさんは自信満々に言ってのけた。
変に詮索することなく引き受けてくれた彼女に、私は『ありがとうございます』とお礼を言う。
助かった、アスタルテさんが話の分かる……いや、空気の読める(?)人で。
だって、もし詮索されていたらはぐらかすのに時間が掛かっていただろうから。
無論、正直に打ち明けるつもりはない。
そうなったら、リアムさんの奇行まで話さないといけなくなるからね……。
その結果、彼自身の名誉だけでなく『紅蓮の夜叉』の評価まで下がったら困る。
今、『紅蓮の夜叉』はFROプレイヤーの心の支えとなっているため。
『混乱が大きくなる』と思案する中、アスタルテさんはパンッと手を叩いた。
「とりあえず、捜索に必要な情報は頂いたので後はお任せくださいなのです。ラミエルさん達はそれまで寛いでもらって……」
「あっ、いえ!私達もリアムさんの捜索に動きます!ですから、フレンド登録をお願い出来ませんか?連絡出来ないと、不便ですから」
「了解なのです。でも、本当にここで待機してもらって大丈夫なのですよ?ウチはゴーレムによる被害をほとんど、受けてないので。人手も多いですし」
心配そうにこちらを見つめるアスタルテさんに、私は苦笑を漏らす。
初対面の彼女にすら悟られるほど疲労が溜まっているのか、と。
リユニオンタウンを出てから、まともに休めていないからね……おまけに普段の倍以上、魔力を使ってるし。
出来ることなら、休みたい。
でも、徳正さん達だって頑張っているのに私だけ休む訳にはいかなかった。
優しさが垣間見えるアスタルテさんの言動に、私はスッと目を細めた。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は本当に大丈夫なので気にしないでください」
アスタルテさんを安心させるようにニッコリ微笑めば、彼女は複雑な表情を浮かべた。
でも、出会ったばかりということもあり、深入りはしない。
「分かりましたです。でも、くれぐれも気を付けてくださいね?自分が思っている以上に、体は丈夫じゃありませんですから」
「ご忠告ありがとうございます。肝に銘じておきます」
そう言って、私はソファから立ち上がった。
少し遅れて、シムナさんも席を立つ。
さっさと街に出て、捜索を再開させなければ。
とりあえず、次の目的を決めようか。
「玄関までお見送りするですよ♪」
見当違いな方向へ歩き出したシムナさんを引き止めつつ、アスタルテさんは赤い扉へ誘導する。
『迷子になったら大変なのです』と述べる彼女に、私達は素直に応じた。
とても小さな背中を追い掛け、先程フレンド登録したアスタルテさんのプロフィールを眺める。
あっ、そうだ。ここを去る前にアスタルテさんに“アレ”を聞いておこう。
知ってるかどうかは分からないけど、上手く行けば候補くらいは絞れるかもしれない。
『プタハのアトリエ』のギルドマスターであるアスタルテさんなら、顔も広いだろうし。
「あの、アスタルテさん。つかぬ事をお聞きしますが────あの巨大ロボットを作ったギルドがどこか、ご存知ですか?」
何気ない質問を投げ掛ける私に、アスタルテさんはパチパチと瞬きを繰り返した。
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