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第三章
第57話『ゴーレムの情報収集』
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────それから、私は一番最初に目に付いたゴーレムの出現場所に向かっていた。
徳正さんにお姫様抱っこしてもらいながら……。
というのも、今回のイベントはスピード勝負になるため。
それに移動しながらの情報収集は、無理があった。
『前方不注意で怪我したら、周りに迷惑を掛けるし……』と思いつつ、公式チャットと掲示板の情報を整理していく。
ふむ……やっぱり、全体的に街での目撃情報が多いな。
街に人が密集してるからというのもあるんだろうけど、皆の書き込みを見る限り街中に出現したゴーレムの数は結構多いようだ。
一応、森や河原にもゴーレムの目撃情報はあるものの、そっちは一体……多くても、せいぜい二体。
私は赤や青の点で埋まったマップを分析しながら、公式チャットと掲示板の情報を更新した。
街中にゴーレムを多く配置することは最初から分かっていたけど、なんだろう?この違和感は……。
まるで、人の多い場所をピンポイントで狙っているような錯覚を覚える。
よくよく考えてみれば、私達の居るところピンポイントにゴーレムが降ってきたのもおかしいし……。
もしかして────ゴーレムの出現場所の基準……というか、条件って人の多さが関係している?
もし、そうなら……色々と辻褄は合うな。
『箱庭め……面倒なシステムを組んでくれたな』と苦笑いし、私はクイクイッと徳正さんの服を引っ張った。
すると、彼は直ぐに走るスピードを緩める。
「どうしたの~?ラーちゃん」
「行き先変更です。ここから、一番近い街に向かってください。あくまで私の予想ですが、ゴーレムの出現場所は人の多さと密度に比例していると思います」
「あ~、なるほど~。街の方がたくさん居るってことね~」
私の言いたいことを瞬時に察した徳正さんは、軽いステップを踏んで方向転換をした。
勢いを殺すことなく走っていく彼の後ろで、シムナさんやラルカさんも方向を変える。
行き先は白虎の街か。
あそこは四神と呼ばれる白虎をモチーフにした街で、FROにしては珍しい観光都市だ。
『だから、人もめちゃくちゃ多い』と考えながら、私は白虎の街に関するゴーレム情報を洗い出した。
さっきはゴーレムの数と位置を見るだけで、精一杯だったから。
『到着する前に細部まで把握しておかないと』と思いつつ、文章を目で追う。
ん?ファイアゴーレム?アイスゴーレム?サンダーゴーレム?何それ?
見覚えのない単語を複数発見し、私は眉間に皺を寄せた。
絶妙な言葉のチョイスから、言いたいことは大体分かる。
恐らく、炎や氷を……いや、魔法を扱うゴーレムが存在するのだろう。
『やっぱり、通常のゴーレムとは異なるものが出てきたか』と嘆息し、私はゲーム内ディスプレイをじっと見つめる。
それにしても、魔法かぁ……ウチは物理攻撃に特化したパーティーだから、場合によってはかなり不利になるな。
相手の懐に入ることが出来れば楽勝だけど、まず懐に入れてもらえるかどうか……。
いざとなれば徳正さんの影魔法があるとはいえ、軽々しく何回も使えるものじゃないし……。
クールタイムや消費MPを考え、私は『う~ん……』と唸った。
何か対策を立てようにも、実際に戦ってみないと分からない点も多い。
『もしかしたら、案外大したことないかもしれないし』と思いつつ、私は集まった情報を全て地図やメモにまとめた。
そして、『虐殺の紅月』のグルチャに送信する。
とりあえず、これで良しっと。あとは白虎の街に着くのを待つだけだ。
私はバサバサと風に揺れる髪を押さえながら、真っ直ぐ前を見据えた。
────白虎の街到着まで、あと五分。
徳正さんにお姫様抱っこしてもらいながら……。
というのも、今回のイベントはスピード勝負になるため。
それに移動しながらの情報収集は、無理があった。
『前方不注意で怪我したら、周りに迷惑を掛けるし……』と思いつつ、公式チャットと掲示板の情報を整理していく。
ふむ……やっぱり、全体的に街での目撃情報が多いな。
街に人が密集してるからというのもあるんだろうけど、皆の書き込みを見る限り街中に出現したゴーレムの数は結構多いようだ。
一応、森や河原にもゴーレムの目撃情報はあるものの、そっちは一体……多くても、せいぜい二体。
私は赤や青の点で埋まったマップを分析しながら、公式チャットと掲示板の情報を更新した。
街中にゴーレムを多く配置することは最初から分かっていたけど、なんだろう?この違和感は……。
まるで、人の多い場所をピンポイントで狙っているような錯覚を覚える。
よくよく考えてみれば、私達の居るところピンポイントにゴーレムが降ってきたのもおかしいし……。
もしかして────ゴーレムの出現場所の基準……というか、条件って人の多さが関係している?
もし、そうなら……色々と辻褄は合うな。
『箱庭め……面倒なシステムを組んでくれたな』と苦笑いし、私はクイクイッと徳正さんの服を引っ張った。
すると、彼は直ぐに走るスピードを緩める。
「どうしたの~?ラーちゃん」
「行き先変更です。ここから、一番近い街に向かってください。あくまで私の予想ですが、ゴーレムの出現場所は人の多さと密度に比例していると思います」
「あ~、なるほど~。街の方がたくさん居るってことね~」
私の言いたいことを瞬時に察した徳正さんは、軽いステップを踏んで方向転換をした。
勢いを殺すことなく走っていく彼の後ろで、シムナさんやラルカさんも方向を変える。
行き先は白虎の街か。
あそこは四神と呼ばれる白虎をモチーフにした街で、FROにしては珍しい観光都市だ。
『だから、人もめちゃくちゃ多い』と考えながら、私は白虎の街に関するゴーレム情報を洗い出した。
さっきはゴーレムの数と位置を見るだけで、精一杯だったから。
『到着する前に細部まで把握しておかないと』と思いつつ、文章を目で追う。
ん?ファイアゴーレム?アイスゴーレム?サンダーゴーレム?何それ?
見覚えのない単語を複数発見し、私は眉間に皺を寄せた。
絶妙な言葉のチョイスから、言いたいことは大体分かる。
恐らく、炎や氷を……いや、魔法を扱うゴーレムが存在するのだろう。
『やっぱり、通常のゴーレムとは異なるものが出てきたか』と嘆息し、私はゲーム内ディスプレイをじっと見つめる。
それにしても、魔法かぁ……ウチは物理攻撃に特化したパーティーだから、場合によってはかなり不利になるな。
相手の懐に入ることが出来れば楽勝だけど、まず懐に入れてもらえるかどうか……。
いざとなれば徳正さんの影魔法があるとはいえ、軽々しく何回も使えるものじゃないし……。
クールタイムや消費MPを考え、私は『う~ん……』と唸った。
何か対策を立てようにも、実際に戦ってみないと分からない点も多い。
『もしかしたら、案外大したことないかもしれないし』と思いつつ、私は集まった情報を全て地図やメモにまとめた。
そして、『虐殺の紅月』のグルチャに送信する。
とりあえず、これで良しっと。あとは白虎の街に着くのを待つだけだ。
私はバサバサと風に揺れる髪を押さえながら、真っ直ぐ前を見据えた。
────白虎の街到着まで、あと五分。
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