25 / 315
第一章
第24話『報告会議』
しおりを挟む
リーダーの硬い声色に反応し、私達は背筋を伸ばした。
どことなく緊張した面持ちでリーダーを見つめる中、彼は
「まずはお前達の報告から聞こう」
と言って、ぐるりと周囲を見回した。
『何か掴んでいるだろ?』と主張するリーダーの前で、私はどうしようか迷う。
というのも、誰が喋るか決めてなかったから。
『あがり症のアラクネさんは無理として……』と思案する私を前に、徳正さんは手を挙げる。
「んじゃ、俺っちが代表して話すよ~」
よ、良かった……。『虐殺の紅月』の会議って、初めてだったから、ちゃんと話せるか不安だったんだ。
ホッと息を吐き出す私を尻目に、徳正さんは早速報告を始めた。
手始めに街の状況や物価の上昇、転移の最大距離などを話す。
そして終盤に差し掛かると、機嫌良さげに目を細めた。
「んじゃ、最後に『紅蓮の夜叉』について~。今朝仕入れたばかりの情報も併せて、話していくよ~」
今朝仕入れた……?って、今日も情報収集に行っていたの!?
六時に起きて、居間に行ったとき普通に朝ご飯食べてたから、徳正さんも起きたばかりなんだと思ってた……!
旅館の浴衣姿だったし……まさか、浴衣姿のまま情報収集に?
『それはない』と信じたいところだけど、徳正さんなら『ま、どうせ(速すぎて)見えないし、このままでいっか~』とか何とか言って、そのまま行ってそう。
仲間以外のことにはトコトン無頓着な徳正さんの人柄を思い返す中、彼はまず『紅蓮の夜叉』の当初の動きを説明した。
『うんうん』と相槌を打つ私達の前で、彼はテーブルに頬杖をつく。
「────てな訳で、『紅蓮の夜叉』の株は爆上がりなんだよね~。幹部メンバーが全員揃っている上に統率力もあって、直ぐに生産ギルドと連携したから物資難も凌げている。おまけにギルドマスターは、名の知れたプレイヤーである炎帝。まあ、ギルド加入希望者が殺到するよね~」
「ここまで好条件が揃ったギルドなんて、今あまりないからな」
「物資不足もそうだけど、ギルドによっては幹部やギルドマスターが不在のところもあるものね」
「幹部はともかく、ギルドマスター不在のギルドは大混乱に陥っているでしょうね」
人をまとめあげる事は割りと誰にでも出来るが、人を引っ張っていける人はそうそう居ないから。
だから、こういう時こそリーダーやヘスティアさんのような人材を必要とされる。
『ウチもリーダー不在だったら、もっと混乱していただろうし』と考える中、徳正さんは軽く手を叩いた。
「さてさて~、ここからが本番だよ~?」
そう前置きしてから、徳正さんは僅かに身を乗り出す。
「今朝仕入れたばかりの情報によると、『紅蓮の夜叉』は近々ゲーム攻略を目的とした大同盟を結束するつもりらしい。まあ、簡単に言うと『協力して皆でこの危機を乗り越えましょう』って感じかな~?んで、その同盟会議が近々開催されるみたいだね~。さすがに時間と場所までは分かんなかったけど、この同盟会議には各方面の大型ギルドが呼ばれているみたい~。あっ、ちなみにこの同盟会議は完全招待制だってさ~。『紅蓮の夜叉』や『紅蓮の夜叉』が招待したギルドから招待状を貰わないと、行けないっぽいね~」
ついにプレイヤー達が、ゲーム攻略に本気で動き出したか……。
しかも、その中心となるのは今、大注目の『紅蓮の夜叉』。
招待状を貰ったパーティーやギルドは、こぞって参加することだろう。
どことなく緊張した面持ちでリーダーを見つめる中、彼は
「まずはお前達の報告から聞こう」
と言って、ぐるりと周囲を見回した。
『何か掴んでいるだろ?』と主張するリーダーの前で、私はどうしようか迷う。
というのも、誰が喋るか決めてなかったから。
『あがり症のアラクネさんは無理として……』と思案する私を前に、徳正さんは手を挙げる。
「んじゃ、俺っちが代表して話すよ~」
よ、良かった……。『虐殺の紅月』の会議って、初めてだったから、ちゃんと話せるか不安だったんだ。
ホッと息を吐き出す私を尻目に、徳正さんは早速報告を始めた。
手始めに街の状況や物価の上昇、転移の最大距離などを話す。
そして終盤に差し掛かると、機嫌良さげに目を細めた。
「んじゃ、最後に『紅蓮の夜叉』について~。今朝仕入れたばかりの情報も併せて、話していくよ~」
今朝仕入れた……?って、今日も情報収集に行っていたの!?
六時に起きて、居間に行ったとき普通に朝ご飯食べてたから、徳正さんも起きたばかりなんだと思ってた……!
旅館の浴衣姿だったし……まさか、浴衣姿のまま情報収集に?
『それはない』と信じたいところだけど、徳正さんなら『ま、どうせ(速すぎて)見えないし、このままでいっか~』とか何とか言って、そのまま行ってそう。
仲間以外のことにはトコトン無頓着な徳正さんの人柄を思い返す中、彼はまず『紅蓮の夜叉』の当初の動きを説明した。
『うんうん』と相槌を打つ私達の前で、彼はテーブルに頬杖をつく。
「────てな訳で、『紅蓮の夜叉』の株は爆上がりなんだよね~。幹部メンバーが全員揃っている上に統率力もあって、直ぐに生産ギルドと連携したから物資難も凌げている。おまけにギルドマスターは、名の知れたプレイヤーである炎帝。まあ、ギルド加入希望者が殺到するよね~」
「ここまで好条件が揃ったギルドなんて、今あまりないからな」
「物資不足もそうだけど、ギルドによっては幹部やギルドマスターが不在のところもあるものね」
「幹部はともかく、ギルドマスター不在のギルドは大混乱に陥っているでしょうね」
人をまとめあげる事は割りと誰にでも出来るが、人を引っ張っていける人はそうそう居ないから。
だから、こういう時こそリーダーやヘスティアさんのような人材を必要とされる。
『ウチもリーダー不在だったら、もっと混乱していただろうし』と考える中、徳正さんは軽く手を叩いた。
「さてさて~、ここからが本番だよ~?」
そう前置きしてから、徳正さんは僅かに身を乗り出す。
「今朝仕入れたばかりの情報によると、『紅蓮の夜叉』は近々ゲーム攻略を目的とした大同盟を結束するつもりらしい。まあ、簡単に言うと『協力して皆でこの危機を乗り越えましょう』って感じかな~?んで、その同盟会議が近々開催されるみたいだね~。さすがに時間と場所までは分かんなかったけど、この同盟会議には各方面の大型ギルドが呼ばれているみたい~。あっ、ちなみにこの同盟会議は完全招待制だってさ~。『紅蓮の夜叉』や『紅蓮の夜叉』が招待したギルドから招待状を貰わないと、行けないっぽいね~」
ついにプレイヤー達が、ゲーム攻略に本気で動き出したか……。
しかも、その中心となるのは今、大注目の『紅蓮の夜叉』。
招待状を貰ったパーティーやギルドは、こぞって参加することだろう。
2
お気に入りに追加
376
あなたにおすすめの小説

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる