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第一章
第24話『報告会議』
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リーダーの硬い声色に反応し、私達は背筋を伸ばした。
どことなく緊張した面持ちでリーダーを見つめる中、彼は
「まずはお前達の報告から聞こう」
と言って、ぐるりと周囲を見回した。
『何か掴んでいるだろ?』と主張するリーダーの前で、私はどうしようか迷う。
というのも、誰が喋るか決めてなかったから。
『あがり症のアラクネさんは無理として……』と思案する私を前に、徳正さんは手を挙げる。
「んじゃ、俺っちが代表して話すよ~」
よ、良かった……。『虐殺の紅月』の会議って、初めてだったから、ちゃんと話せるか不安だったんだ。
ホッと息を吐き出す私を尻目に、徳正さんは早速報告を始めた。
手始めに街の状況や物価の上昇、転移の最大距離などを話す。
そして終盤に差し掛かると、機嫌良さげに目を細めた。
「んじゃ、最後に『紅蓮の夜叉』について~。今朝仕入れたばかりの情報も併せて、話していくよ~」
今朝仕入れた……?って、今日も情報収集に行っていたの!?
六時に起きて、居間に行ったとき普通に朝ご飯食べてたから、徳正さんも起きたばかりなんだと思ってた……!
旅館の浴衣姿だったし……まさか、浴衣姿のまま情報収集に?
『それはない』と信じたいところだけど、徳正さんなら『ま、どうせ(速すぎて)見えないし、このままでいっか~』とか何とか言って、そのまま行ってそう。
仲間以外のことにはトコトン無頓着な徳正さんの人柄を思い返す中、彼はまず『紅蓮の夜叉』の当初の動きを説明した。
『うんうん』と相槌を打つ私達の前で、彼はテーブルに頬杖をつく。
「────てな訳で、『紅蓮の夜叉』の株は爆上がりなんだよね~。幹部メンバーが全員揃っている上に統率力もあって、直ぐに生産ギルドと連携したから物資難も凌げている。おまけにギルドマスターは、名の知れたプレイヤーである炎帝。まあ、ギルド加入希望者が殺到するよね~」
「ここまで好条件が揃ったギルドなんて、今あまりないからな」
「物資不足もそうだけど、ギルドによっては幹部やギルドマスターが不在のところもあるものね」
「幹部はともかく、ギルドマスター不在のギルドは大混乱に陥っているでしょうね」
人をまとめあげる事は割りと誰にでも出来るが、人を引っ張っていける人はそうそう居ないから。
だから、こういう時こそリーダーやヘスティアさんのような人材を必要とされる。
『ウチもリーダー不在だったら、もっと混乱していただろうし』と考える中、徳正さんは軽く手を叩いた。
「さてさて~、ここからが本番だよ~?」
そう前置きしてから、徳正さんは僅かに身を乗り出す。
「今朝仕入れたばかりの情報によると、『紅蓮の夜叉』は近々ゲーム攻略を目的とした大同盟を結束するつもりらしい。まあ、簡単に言うと『協力して皆でこの危機を乗り越えましょう』って感じかな~?んで、その同盟会議が近々開催されるみたいだね~。さすがに時間と場所までは分かんなかったけど、この同盟会議には各方面の大型ギルドが呼ばれているみたい~。あっ、ちなみにこの同盟会議は完全招待制だってさ~。『紅蓮の夜叉』や『紅蓮の夜叉』が招待したギルドから招待状を貰わないと、行けないっぽいね~」
ついにプレイヤー達が、ゲーム攻略に本気で動き出したか……。
しかも、その中心となるのは今、大注目の『紅蓮の夜叉』。
招待状を貰ったパーティーやギルドは、こぞって参加することだろう。
どことなく緊張した面持ちでリーダーを見つめる中、彼は
「まずはお前達の報告から聞こう」
と言って、ぐるりと周囲を見回した。
『何か掴んでいるだろ?』と主張するリーダーの前で、私はどうしようか迷う。
というのも、誰が喋るか決めてなかったから。
『あがり症のアラクネさんは無理として……』と思案する私を前に、徳正さんは手を挙げる。
「んじゃ、俺っちが代表して話すよ~」
よ、良かった……。『虐殺の紅月』の会議って、初めてだったから、ちゃんと話せるか不安だったんだ。
ホッと息を吐き出す私を尻目に、徳正さんは早速報告を始めた。
手始めに街の状況や物価の上昇、転移の最大距離などを話す。
そして終盤に差し掛かると、機嫌良さげに目を細めた。
「んじゃ、最後に『紅蓮の夜叉』について~。今朝仕入れたばかりの情報も併せて、話していくよ~」
今朝仕入れた……?って、今日も情報収集に行っていたの!?
六時に起きて、居間に行ったとき普通に朝ご飯食べてたから、徳正さんも起きたばかりなんだと思ってた……!
旅館の浴衣姿だったし……まさか、浴衣姿のまま情報収集に?
『それはない』と信じたいところだけど、徳正さんなら『ま、どうせ(速すぎて)見えないし、このままでいっか~』とか何とか言って、そのまま行ってそう。
仲間以外のことにはトコトン無頓着な徳正さんの人柄を思い返す中、彼はまず『紅蓮の夜叉』の当初の動きを説明した。
『うんうん』と相槌を打つ私達の前で、彼はテーブルに頬杖をつく。
「────てな訳で、『紅蓮の夜叉』の株は爆上がりなんだよね~。幹部メンバーが全員揃っている上に統率力もあって、直ぐに生産ギルドと連携したから物資難も凌げている。おまけにギルドマスターは、名の知れたプレイヤーである炎帝。まあ、ギルド加入希望者が殺到するよね~」
「ここまで好条件が揃ったギルドなんて、今あまりないからな」
「物資不足もそうだけど、ギルドによっては幹部やギルドマスターが不在のところもあるものね」
「幹部はともかく、ギルドマスター不在のギルドは大混乱に陥っているでしょうね」
人をまとめあげる事は割りと誰にでも出来るが、人を引っ張っていける人はそうそう居ないから。
だから、こういう時こそリーダーやヘスティアさんのような人材を必要とされる。
『ウチもリーダー不在だったら、もっと混乱していただろうし』と考える中、徳正さんは軽く手を叩いた。
「さてさて~、ここからが本番だよ~?」
そう前置きしてから、徳正さんは僅かに身を乗り出す。
「今朝仕入れたばかりの情報によると、『紅蓮の夜叉』は近々ゲーム攻略を目的とした大同盟を結束するつもりらしい。まあ、簡単に言うと『協力して皆でこの危機を乗り越えましょう』って感じかな~?んで、その同盟会議が近々開催されるみたいだね~。さすがに時間と場所までは分かんなかったけど、この同盟会議には各方面の大型ギルドが呼ばれているみたい~。あっ、ちなみにこの同盟会議は完全招待制だってさ~。『紅蓮の夜叉』や『紅蓮の夜叉』が招待したギルドから招待状を貰わないと、行けないっぽいね~」
ついにプレイヤー達が、ゲーム攻略に本気で動き出したか……。
しかも、その中心となるのは今、大注目の『紅蓮の夜叉』。
招待状を貰ったパーティーやギルドは、こぞって参加することだろう。
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